BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールは、社内にあるさまざまなデータを統合し、迅速な意思決定に役立たせることを可能にします。ガートナー ジャパン株式会社が2019年5月に発表したビジネスワーカー向けのアンケート調査では、対象者の74%が会社でBIツールを利用していると回答しました。しかし、41%の人はでBIツールを利用しておらず、企業内の個人にはBIツールの利用がまだ十分に浸透しているとは言えません。

参考:ガートナー、企業におけるBIツールの導入状況に関する調査結果を発表

BIツールをどのように業務に役立つのかわからず、Excelで対応している人も多のかもしれません。そこで今回は、データ分析業務効率化に役立つBIツールを知るきっかけになるよう「BIツールにできてExcelにできないこと」をテーマに解説します。

BIツールにできてExcelにできないこと

BIツールなら簡単に作業ができ、Excelには難しいことをピックアップしました。Excelでは、絶対に不可能というわけではないことも含めていますが、どう考えてもBIツールの方が現実的というものを取り上げています。

大量のデータを高速に処理できる

Excelはワークシートにデータを入力する仕組みです。そのため、ワークシートに入力できるセルの数が入力できるデータの限界になります。それに対して、BIツールはワークシートのような制限がなしに利用可能です。

また、Excelは一定のデータ量を超えてしまうと動作が遅くなるというデメリットがあります。例えば、何度もデータの上書きを重ねているファイルを開く場合に時間がかかるなどの問題が生じてしまいます。思うように作業ができないファイルでは、作業効率を考えても実用的ではありません。何より画面が固まってしまい強制終了をするしかない状態に何度も陥ると、データが損失してしまう可能性もあるでしょう。

こういった点から大量のデータ処理にはExcelでは厳しいため、制限がないBIツールが使いやすいのです。BIツールは、データベースを使って、もともと大量データを処理するように設計されているので安心して利用できます。

参考:BIツールとExcelの違いとは?それぞれの使い分

さまざまなツールのデータを利用できる

BIツールは、さまざまなデータソースを集約し、それらを統合することができます。Excelのデータでも、テキストでも、SQLのデータでも構いません。ExcelではCSVなど対応できるデータ形式は限られるため、この部分は最も大きな違いと言えるでしょう。データソースの種類に左右されないことで、分析から得られる結果も豊富になるため、さまざまな成果が期待できます。

データをスムーズに共有できる

データの共有はBIツールを利用する大きな利点の一つです。Excelの場合、共有フォルダにアップしてアクセスしてもらうか、ファイルを見せたい相手にメール送信するなどの方法が必要になります。BIツールの場合は、相手に権限があれば簡単に情報共有ができるのです。

権限設定がBIツールの共有機能に大きく貢献していることも見逃せません。Excelファイルでは、パスワードを設定することはできますが、データアクセスの権限設定はできません。ファイルをどこかのドライブに格納して、そこにアクセス権限をつけることはできますが手間がかかります。BIツールの場合、ユーザーによって異なる権限設定が自由に決められるので便利です。

共有したデータの扱いにおいても、BIツールであればリアルタイムで双方がデータ変更をすることも可能ですが、Excelでは誰かがファイルを編集している間は読み取り専用でしか開けません。自由度の高いデータの共有利用はBIツールならではと言えます。

レポート作成が簡単にできる

Excelの場合、レポート作成は大変な作業です。使用するデータを他システムからエクスポートしたり、手入力をするなどして整理をします。関数を使ったり表やグラフを作るにも手間がかかるでしょう。マクロやピボットテーブルなど、知識のある人なら色々な機能を駆使しますが、エラーが発生することもありますし、作成にはそれなりに時間が必要です。後でデータを修正するのもリレーションを見直したりと一手間です。

これに対して、BIツールは、多次元分析など様々な分析機能を手軽に使え、レポートの作成にも時間がかかる設定は必要ありません。レポートのデザインを自分で考えずに済みます。また、レポートの内容を読み手がさらに詳しく見ることが可能です。Excelでは、提出されたレポート以上のことはその場ではわからず、再度詳細なレポートを作成する必要があります。BIツールのレポートは、意思決定に十分な情報を得られるように用意できるのです。

参考:レポート作成に最適なツールは?ExcelとBIダッシュボードを比較!

レポートをリアルタイムで更新できる

BIツールはデータベースに登録している情報が更新されるとレポート内容も最新の状態に更新します。常に最新の分析結果を確認して意思決定ができるのは大きなメリットです。それに対し、Excelは、データの更新は自動ではありません。データの更新が発生する度に手間が生じてしまいます。

インターネット環境さえあれば、最新データがレポートにまで反映しているBIツールの効率の良さはスピードを必要とするビジネスにおいて有効と言えるでしょう。

参考:【おすすめBIツール9選】BIツールとそのメリットとは?

BIツールとExcelを使い分ける

BIツールがExcelよりも優れている点は色々とありますが、全ての業務をExcelからBIに乗り換えるといいというわけではありません。両方を用途によって使い分けるのが便利でしょう。どのような使い分けが考えられるのかご紹介します。

データ共有の必要性に応じて使い分ける

BIツールとExcelの大きな差の1つは共有においての利便性なので、個人で進める案件ならExcelを手軽に使うのもアリでしょう。チームで共有する必要がなく、個人がPC1台でデータを使うのであればExcelで十分です。他の人にデータを見せるべきではない案件なら、Excelで作業する方がベストである場合もあります。

ボリュームに応じて使い分ける

作業ボリュームによって、利用するシステムを使い分けることも考えられます。入力が少なくシンプルな作業ならExcelの利用が便利です。データ量が大きくなると、Excelのファイルサイズが大きくなり処理動作に不安が生じる場合があるので、必然的にデータベースを使えるBIツールを選択することになるでしょう。

更新発生の有無で使い分ける

継続的な更新が発生するものはBIツールを使い、一度きりしか使わないデータの場合はExcelを使うというのも一つの使い分けでしょう。BIツールならレポートの数値の更新が自動的にできるので、定期的にアップデートが必要な資料は確実にBIツールの方が速いです。しかし、更新する予定もなく、個人的に使うデータであれば、Excelで簡単に作ってしまうほうが作業としては手っ取り早いでしょう。

それぞれのツールの利点を活かし効率化する

BIツールは、「大規模なデータの高速処理」「データの共有」「リアルタイムでのデータ更新」「セキュリティが高い」ところが優れたポイントだと押さえておきましょう。Excelは、データ量が少なく個人のみで処理する案件なら、手軽さが魅力でありスムーズに使えます。BIツールを導入したからといって、Excelを使うことがなくなるわけではありません。両方の利点を生かし、業務効率と精度の向上を目指しましょう。

企業のBIツール事例をみよう

マーケティングや営業活動にも活かせる、企業の「BIツール」活用事例

マーケティングや営業活動にも活かせる、企業の「BIツール」活用事例

BIツールは、膨大なデータ分析を瞬時に行い、企業経営に必要な意思決定などをスムーズできるシステムです。ITを活用した事業成長に取り組む多くの企業から高く評価されています。ビジネス・インテリジェンスという名前にふさわしく、どのようなビッグデータでも快適に利用できるのが強みです。記事ではマーケティングや営業活動におけるBIツールの活用事例を紹介します。実際に導入した企業の事例を把握できれば、自社にとってBIツールがどのように役立ちそうかイメージできるでしょう。