先月6月25日、26日に開催された「SAMURAI ISLAND EXPO'16」。
世界15カ国のスタートアップ企業が集結し、フィンテック、メディテック、VR、AR、AIなど幅広い分野にわたるトークセッションが行われました。

今回は、SIEで行われたトークセッションのうち、StartupsHK Co-founderのCasey Lau氏、スタートアップに特化したメディア「THE BRIDGE」の池田 将氏の2名による、海外から見た日本のスタートアップ事情と課題をテーマとしたセッションの様子をお届けします。

また、本セッションの質疑応答時に質問されていたインドネシアのSATRIA ASIA 最高経営責任者Ananda Setiyo Ivannanto氏の回答も大変興味深かったため、そちらの内容も合わせてご紹介します。

世界のスタートアップ事情と日本のユニコーン企業

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池田氏:香港のスタートアップの現状を教えてください。
Casey Lau氏:香港は変わったところで、北アジアでも東南アジアでもありません。それがスタートアップにとってよいところだと思っています。いろんなヨーロッパやアメリカのスタートアップがアジア進出にする際にファーストストップとして訪れるのです。シンガポールや香港がウェスタンスタートアップからの最初の拠点として利用される場合が多いので、街中には数多くのスタートアップコミュニティがあります。香港政府もスタートアップを支援していますね。

池田氏:香港のスタートアップ界隈で最も主導権をとっているのはどこでしょう?

Casey Lau氏:Webサミットという、アイルランドのダブリンで開かれているヨーロッパ最大級のカンファレンスを作ったPaddy Cosgrave(パディ・コズグレイブ)氏は去年の11月に30,000〜40,000人を、今年は50,000-60,000人を集めました。

Paddy氏はアジアにも進出し、既に2つのカンファレンスを開催しています。
1つはインドのバンガロールで開かれた「surge」で、もう1つが香港で開かれた「RISE」です。

ちょうど三週間前に第二回のRISEが開かれ、10,000人が集まりました。昨年の第一回が5,000人だったので、とても成長しています。
これはwebサミットのブランド力を測る一つの指標であり、ヨーロッパの人々はアジア進出を考える際にプロフェッショナリズムを求めRISEに参加するわけです。
共同開催者として協力している私もとても嬉しく思います。

池田氏:ヨーロッパのスタートアップからすると、アジア圏のどの国が魅力的なんでしょう?
Casey Lau氏:シンガポールと香港かなと。香港政府はシンガポールの素晴らしいスタートアップ投資に負けないように頑張っています。

池田氏::開催者からの視点として日本のスタートアップや起業家のRISEカンファレンスでのプレゼンスはどうなんですか?
Casey Lau氏:測るに十分なほどの日本のスタートアップが出展していない。インドや他の東南アジアの国はこぞって出展している。RISEは香港だけのカンファレンスではなくてグローバルなカンファレンスになりつつある。500の投資家を世界から迎え、起業家と簡単に会える場を創出しています。

池田氏:アジアのユニコーン企業Top10の多くがインドや中国系。そしてそのほとんどはソフトバンクから出資を受けています。
日本の企業だとメルカリとfreeeがユニコーンと言われている。メルカリやfreeeなどが世界進出をする際にどうすれば良いでしょうか。

Casey Lau氏:メルカリは世界中に競合が多数いるので、より優れた商品を作っていかねばなりません。もし、本当にサービスがよければ言語はあまり大きな問題にはなりません。

ただ、日本の起業家は日本にフォーカスしすぎているし、他の国でも起こっている問題も日本のものとしてしか話せない。この二点を解消するだけでより世界展開しやすくなると思います。

池田氏:日本人は日本語のサイトから作るのが当たり前になっています。孫泰三は英語のサイトから作れという。グローバリゼーションにいいのは?

Casey Lau氏:後者でしょうね。ちなみに香港はイングリッシュファーストです。最初にグローバル視点から考えることがスタートアップにとってとても大切です。

池田氏::BAT(baidu,alibaba,tencent)が東南アジアのスタートアップ買収に走っていますが、一体何が起きているのでしょう?

Casey Lau氏:ウェスタンスタイルのゲームはトラフィックがあるものの、中国人ではコピーができません。なので、コピーをしたいから買った、ということですね。

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池田氏:ZZZキャピタルの人はARやVRに投資してるけどその辺はどうなんでしょう?

Casey Lau氏:エンタメ業界は盛り上がるからIPOは激増するでしょう。
スタートアップは次に何がくるか、を常に考えなければならない。

池田氏::日本産業の強みはなんでしょうか?

Casey Lau氏:ロボットです。日本はロボットが有名です。クリエイティビティがすごいなと思いますね。