自社が業界のどの位置にあるのか、また業界内ではどういった企業が力を持っているのかを考えたことはありますか?
業界内の強豪を分析することで、より深い対抗策が取れるでしょう。
そういった業界内の立ち位置を考える中で覚えておきたいのが「強者連合」という概念です。経済ニュースやビジネス書で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回は「強者連合」の意味と事例を紹介します。
強者連合とは、業界トップレベルの企業同士による提携を指し、異業種のほか同業種間でも行われます。自社の戦略として取り入れるだけでなく、業界内に起こりうる脅威としても認識しておくべき概念でしょう。

強者連合とは

強者連合とは、業界内でトップレベルのシェアを獲得している企業同士の提携を指します。
まったく異なる業種同士で組むこともあれば、同業種で組むこともあります。

強者連合のなかでも有名なものとしては、1970年代まで大きな力を発揮していた「国際石油資本(メジャー)」が挙げられるでしょう。
国際石油資本は、当時エクソンモービルやシェルなどの7社で構成されていました。
7社は互いに話しあって競争を抑制しあったり、他の企業が石油のシェア拡大を狙おうとすると一丸となって阻止したりといったカルテルを行っています。
これにより石油価格の実質的な決定権を握り、国際社会のなかで圧倒的な地位を築きました。

このように業界内でトップレベルの企業が組むことで、独自の影響力を持つことがあります。また、異業種であれば、技術提携を結ぶことで、自社では開発してこなかったノウハウを共有することができるでしょう。

ですが、日本国内において現在、国際石油資本によるカルテルのような行為は独占禁止法で禁止されています。
強者連合でも行えないことがあると認識しておきましょう。

参考:
[メジャー(国際石油資本)|nikkei4946.com]
(http://www.nikkei4946.com/knowledgebank/index.aspx?Kiso=37&pc=1)
中東における石油|明治大学
[独占禁止法の規制内容|公正取引委員会]
(http://www.jftc.go.jp/dk/dkgaiyo/kisei.html)

異業種間での強者連合

では、まず異業種間の場合、どういった強者連合があるのでしょうか。
代表的な例を見てみましょう。

1.ホンダ×Google

自動車メーカーホンダの研究開発子会社である本田技術研究所と、Googleを傘下に持つ持株会社アルファベットの子会社「Waymo(ウェイモ)」は2016年12月自動運転自動車の共同開発を行うという覚書を交わしました。

これは、本田技術研究所自身も自動運転自動車の開発を行いながらも、「Waymo(ウェイモ)」がより優れた技術を保有していたことをきっかけとしています。
また、「Waymo(ウェイモ)」にとっては本田技術研究所と組むことで、現在よりも幅広い車種や走行条件でデータが取得できるメリットがあるでしょう。

このように互いの技術やリソースを持ち寄ることで、より先進的な商品やサービスが生まれることもあります。

参考:
[ホンダ・グーグル、完全自動運転「提携」の意味|DIAMOND ONLINE]
(http://toyokeizai.net/articles/-/151512)

同業種間での強者連合

強者連合で特徴的なのは、同業種間でも連携を取られることがあるということです。
互いにどういったメリットが生まれているのかを考えながら、3つの例を見てみましょう。

1.セブンイレブン×ユニクロ

流通業界大手のセブン&アイ・ホールディングスとユニクロを運営するファーストリテイリングは、2015年8月に業務提携を行う方針であると発表しました。

セブンイレブンの店頭でユニクロの商品が受け取れるようにすることで、自社独自の強みを得ることができるというメリットがセブン&アイ・ホールディングス側にはあります。
それだけでなく、ファーストリテイリングにとってはコンビニエンスストアという新たなチャネルが得られ、かつコンビニへ配送量が増加することで自社のネット通販の配送効率の向上にもつながるでしょう。

参考:
[セブンとユニクロ、強者連合が目論む新商品開発|DIAMOND ONLINE]
(http://diamond.jp/articles/-/76869)

2.Apple×IBM

パソコンメーカーとして共に展開しているAppleとIBMは 2014年に企業向けモバイルサービスにおいて提携を発表しています。

IBM側からはビックデータ向けの分析ノウハウを提供し、AppleのiPhoneユーザー向けに提供します。Appleにとっては企業の効率化につながるアプリケーションが配信されることで、新しいビジネスチャンスになるとAppleのティム・クックCEOは指摘しています。

参考:
アップルとIBMの“強者連合”は企業向けIT市場の大再編を引き起こすか|DIAMONDIT&ビジネス

3.アサヒビール×キリンビール×サントリービール×サッポロビール

ビール大手のアサヒビール・キリンビール・サントリービール・サッポロビールの4社は2017年9月よりビールの共同配送を始めると発表しました。
人手不足により長距離トラックでの運送料金がかさむなか、4社の荷物をまとめることで貨物列車による運送を実現しようとしています。

ビールメーカーと同じく、特定の卸会社を利用することが多い、食品メーカーでも共同配送における提携が進んでいます。
こういった共同配送の取り組みが広がることで、企業にとって安価な運送料金で商品運ぶことができるだけでなく、物流業界全体にとっても業務の大幅な効率化につながるかもしれません。

参考:
[ビール大手4社、共同配送を発表 北海道で9月から |日本経済新聞]
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16HWR_W7A510C1TI1000/)
[食品大手、共同配送を拡大 北海道や九州で|日本経済新聞]
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ12I7J_S7A510C1EA6000/)

まとめ

強者連合とは、業界の中でもトップレベルのシェアを獲得している企業同士による提携を指します。全く異なる分野での技術提携だけでなく、同業種であっても行われることがあるのが特徴でしょう。

例えば、ビール会社の共同配送の場合、ライバル同士であっても手を取り合うことで安い運送費を実現しています。すでに大きなシェアを獲得している企業が組むことで、その連合内に入れない企業にとっては、より不利な状況に追い込まれてしまうかもしれません。
そのため、業界内でのシェアが小さい中小企業にとって脅威となるでしょう。

また、強者連合に対して、中小企業で提携することで商品開発力を高めたり、配送能力をあげたりといった事例もあります。
中小のスーパーマーケットによる連合体である株式会社CGCジャパンなどが、そのいい例でしょう。

業界内や他業界との連携を行うことで取れる戦略もあります。
自社でも提携によって得られるものがないか、検討してみるのもいいでしょう。

参考:
株式会社CGCジャパン