日本を訪れる外国人観光客は年々増加しています。それにともない、多くの企業が訪日外国人をターゲットとしたサービスを展開し始めました。自社でも新しく、訪日外国人をターゲットとしたサービスを考案している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

訪日外国人をターゲットとした施策のひとつに、「ナイトタイムエコノミー」があります。夜間の消費活動を喚起することで、更なる顧客満足度と経済を向上させようという動きのことです。

今回は、ナイトタイムエコノミーについて解説します。

ナイトタイムエコノミーとは

ナイトタイムエコノミーとは、夜間の経済活動を指します。「夜間市場」とも呼ばれ、主な時間帯は午後8時〜午前3時です。

企業の夜間の経済活動は、最近では飲食店の24時間営業が短縮されるなど、縮小のニュースが増えていました。しかし訪日外国人に対しては、観光旅行の一環として夜間にサービスを展開する動きもあります。

日本の現状

夜間帯の観光に不満を抱く訪日外国人

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アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年版)|公益財団法人日本交通公社

上図は、各国の訪日外国人に「日本旅行で不満だった点は何ですか?」という質問への回答です。アメリカを筆頭として、言語の不通や費用の割高感に次いで不満を抱いていることがわかります。

観光立国施策の柱に

訪日外国人が夜間の観光に不満を抱いていることは、言い換えれば夜間の観光にニーズがあるということでもあります。

そこに経済成長を見込んで、国は訪日外国人向けの観光施策として推進しています。ナイトタイムエコノミーを推進することで、観光事業の成長や地域活性化、経済成長に繋がると見られています。

2017年4月には、「時間市場(ナイトタイムエコノミー)創出推進議員連盟」が設立されました。

また、2016年に風営法が改正され規制が緩和されたことで参入障壁も低くなり、夜間でのサービスを展開し始めた企業が増えています。

店舗と交通網の営業時間拡大が鍵

日本では、人材不足の深刻化により営業時間を短縮する企業も相次いでいます。

参考:
ロイヤルホスト、24時間営業廃止へ 定休日も導入検討|朝日新聞

ただ、ナイトタイムエコノミーを推進していくためには、店舗や公共交通機関の営業時間の拡大が欠かせません。今後は、観光の時期などに応じて柔軟に営業時間を変更する、地域を限定した夜間イベントを開催するといった手法が有効になるかもしれません。

ナイトタイムエコノミーの先進国は?

世界に目を向けると、ナイトタイムエコノミーが積極的に進んでいる国もあります。

アメリカ(ニューヨーク)

アメリカのナイトタイムエコノミーといえば、ブロードウェイが有名です。ブロードウェイの開演時間は午後7時〜8時以降で、終演は午後11時を越えることもあります。しかし、、ニューヨークの地下鉄が24時間運行しているため、観客は夜中まで遊ぶことができます。

イギリス(ロンドン)

イギリスのロンドンでも、2016年から金曜日と土曜日は電車の運行を24時間体制にしました。今後、10年をかけて4兆円市場まで育てていく方針を打ち出しています。

市民の安全を守るために、「犯罪および反社会的行為の抑制」「アルコールと健康対策」といった評価基準を元に優良認定地域を定める「パープルフラッグ」という取り組みも行っています。

また、「夜の市長(ナイトメイヤー)」と呼ばれる先導役が、深夜の交通整理やビザの取得などを行っています。