デザインに関する勉強を行いたいときには、デザインスクールに通ったり、リファレンス本を購入したりなど、さまざまな方法があります。
ただ、基本を学ぶだけでは、思い通りのデザインにならないことがあります。

デザインの印象を左右するものとして、レイアウトやタイポグラフィなどさまざまなものが挙げられますが、その中でも大きな割合を占めるのが配色です。
色彩の効果的な使い方や配色ルールを押さえておくことで、デザインが見違えるほど変わることがあります。

今回は、色彩の知識を広げるために押さえておきたい8つの用語をまとめました。
意外と見逃している用語もあるかもしれませんので、ぜひ一通りチェックしてみてください。

色彩の知識を広げるために押さえておきたい8つの用語

1. コンプレックスハーモニー

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コンプレックスハーモニー(complex harmony)は、不自然な色相環を持つカラーパレットのことで、青紫寄りの色をより明るく、黄色寄りの色を暗くする配色方法です。

この反対のナチュラルハーモニー(natural harmony)は、黄色寄りの色を明るく、青紫寄りの色を暗くすることで、より自然な色合いにする効果があり、インテリアデザインなどでよく見られる配色です。
一方、コンプレックスハーモニーは、大胆なファッションや、メッセージ性の強い前衛的なWebデザインなどによく用いられます。

2. ハレーション

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ハレーション(halation)は、明度差がない彩度が高い色を組み合わせて目がチカチカし、不快感を起こすような色の組み合わせのことを言います。
ハレーションが発生すると生理的な不快感を生み出すので、デザイン上はインパクトがあり目を引きますが、目や脳が疲れてしまうのでできるだけ避けるべきでしょう。

また、カメラ用語では、ハレーションは太陽光など強い光が当たることにより、光の周りが白くぼやける現象を説明する言葉としても使われます。
ビジネスの世界でも、悪影響を与えるものの代名詞として使われることがありますが、それはこのカメラ用語から借用した言葉だと言われています。

3. ホワイトバランス

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ホワイトバランス(white balance)はデジタルカメラの用語で、白いものが白く写されるように色の補正を行う機能のことです。

デジタルカメラでは、光の色を数値で表した色温度(単位:K ケルビン)によって、光の色を人間に見える感覚に置き換えますが、色温度が低いと赤っぽく、色温度が高いと青っぽく見えてしまいます。
そのため、ほとんどのデジタルカメラには「オートホワイトバランス」と呼ばれる、ホワイトバランスの自動補正機能が付いています。

色温度が適切に設定されていないと、デザイン的にも不自然で調和が取りづらくなってしまいます。
しかし、万一カメラ側でホワイトバランスの補正がうまくいかなくとも、Photoshopなどの画像処理ソフトで後からバランスを取り直すこともできます。

4. ウォームシェード・クールシェード

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同じピンク色でも、サーモンピンクとローズピンクでは、色のあたたかみの感じ方が変わってきます。

20世紀を代表する色彩学者フェイバー・ビレン氏によれば、同じような色味でも、温かみを感じる色であるウォームシェード(warm shade)と青みを感じるクールシェード(cool shade)に分けられます。
サーモンピンクはオレンジ色に近いのでより暖かく感じ、ローズピンクはベースが紫に近いクールシェード系なので、やや寒色系に近いといえます。

同じような色味でも印象が変わるこの理論は、肌の色や髪の色などによって、一人ひとりそれぞれに似合う色を見つけるパーソナルカラーに応用されています。
スーツの色やワイシャツの色など、身につける色をウォームシェードとクールシェードで使い分けることで、人が受ける印象が変わってくるのです。

5. カマイユ

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カマイユ(camaïeu)とは、フランス語で言う「単色画」から派生した言葉で、わずかな明度差を利用した配色方法のことを言います。
カマイユを利用した配色でデザインを行うと、絶妙で曖昧な印象になりますが、スローで静寂な印象を与えることができます。

カマイユは基本的に色相は同一か隣接しているのが原則ですが、オレンジと赤、ピンクなど、類似色相を使う場合はフォカマイユ(フォとはフランス語で「偽の」の意)と呼びます。
パステルカラーを利用したブランドは、頻繁にフォカマイユ配色を使いますが、カマイユに比べてフォカマイユのほうが自由度が増し、より自然な色合いになるでしょう。

6. デュオトーン

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デュオトーン(duotone)とは「duo」(2つの)と「tone」(色)を組み合わせた造語で、ベースとなるミドルトーンとハイライトカラーの2色を中心としたハーフトーンのことを言います。

2015年末にSpotifyが特設サイトで使用したことでWebデザイン界を中心に浸透していき、2016年からよく見られるようになりました。

近未来的な洗練されたイメージを与えますが、配色を間違えるとハレーションを起こす場合があるので、色の組み合わせには注意が必要です。

7. セパレーション

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セパレーション(separation)とは、グレーと白、青と水色、赤とオレンジなど、色相が近い色を識別しやすくするように、あえて区切り色を入れる方法のことを言います。

カマイユ・フォカマイユ配色の場合、単調でのっぺりとした印象になりがちですが、あえてセパレーションカラーを入れることで、スッキリした印象になります。
ファッションコーディネートでもアクセントカラーとしてセパレーションを取り入れることがあり、セパレーションを入れることでキリッと引き締まった印象になります。

8. カラーキャスト

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カラーキャスト(color cast)はデジタルカメラの用語で、「色かぶり」とも呼ばれています。
室内でフラッシュを使用せずに写真を撮影すると、黄ばみが強くなることがありますが、カラーレベルを補正することで黄ばみの原因であるカラーキャストを除去することができます。

カラーキャストの除去は、レベル補正ダイアログボックスでグレーのカラーピッカーを調整することで、すばやく行うことができます。
場合によっては「レッド」「グリーン」「ブルー」のカラーピッカーを調整し、自然な感じに補正していきます。

まとめ

デザインに関するリファレンス本を読むと、配色に関して基本的なことは載っていますが、文字どおり「基本的」なものが多く、知識の幅が増えないこともあります。

今回ご紹介した8つの用語の他にも、テキストにあまり載っていない用語はたくさんありますが、そうした用語を皮切りに知識を広げていくことで、より配色が洗練されていくでしょう。