
無駄な努力とお別れ。「採用される」提案書のつくり方
徹夜で仕上げた提案書が「一瞬で不採用になった」「全く相手にされなかった」ということはビジネスパーソンなら誰しも経験があるのではないでしょうか。この記事では「頑張ったけど報われなかった提案書問題」を解決するべく、「採用される提案書」の進め方・書き方の手順を解説します。
解説するのは、長年広告代理店でプランナーとして活躍し、数々の競合コンペを獲得してきた久利洋生氏。現在はコクハク株式会社COOとして活動されている氏が長年の経験から培ってきた実践的なノウハウと進め方を、ferret読者だけに限定公開します。
目次
まずは、マインドセットから
提案する側にとって、最も重要なことは何か。 それは提案が採用されることです。
この意識を持つことがとても大切です。提案書を書くという行為が自己満足になってしまったり、きれいな書類を書くことが目的になってしまったりしてはいけません。提案書はあくまで採用されるための手段にすぎません。
例えばコンペに呼ばれて企画提案するケースなどでは「惜しくも2番で不採用だった」 といこともあったりすると思いますが、2番でも3番でも採用されない提案では全ての努力が無駄になってしまうという点には全く差がありません。
まずは「絶対に採用してもらうのだ」という意志を持つことが大切です。
提案書はどこを向いて書くものなのか?
提案書を書くシーンには「社内プロジェクト」「新規事業立案」「クライアントワークの提案書」などさまざまなケースがあると思いますが、共通するのは提案する相手がいること。
仮に「この企画は最高だ」というおもしろい企画やアイデアが浮かんだとして、自分ひとりで実行できるのであれば「提案」という行為も「提案書」も本来的には必要ありません。
提案書は提案する相手を巻き込んで、一緒に、共通の課題を解決していくためのものになります。勘違いしがちなのは、提案する相手を敵や審査員のように対立構造として勝手に設定してしまうこと。
提案書を書く段階で、
- 何のために提案書を書こうとしているのか(巻き込む人との共通のGOAL)
- 誰に向けて提案をするのか(この提案を一緒に形にしてくれるパートナー)
をまずは自分の意識の中で明らかにして、「巻き込み方の設計」をしっかり行うことがとても重要になります。
実践!採用される提案の進め方
ここまでのマインドセットができてきたら、いよいよ具体的な実践方法です。提案書は大きく3段階で書く前提で動きます。
提案書の3つの種類
この3つの提案書を書く前提での具体的な動き方は、下記の順序になります。
❶ 提案で目指すこと=「最大の目的」の話し合いを行う
(相手から与件をいただく場合はオリエンがこの役割)
❷ 目的を中心に据えた、仮のストーリーを文字だけで書く 【提案書①】
❸ ❷をベースに具体的な戦略・アイデアを追加した「7割提案書」をつくる 【提案書②】
❹「7割提案書」の要素から、一度、最終的な提案相手の意見を聞いてみる
❺「最終提案書」でプレゼンテーションを行う 【提案書③】
仮にオリエンから提案までが1週間だったとした場合、無計画に上記ステップの❶から一気に❺まで飛んでしまい、 オリエン以降に相手の意見を聞くことがないまま、いきなり企画書でプレゼンしている人は多いのではないでしょうか?
採用される提案にするためには、段階を踏むことがとても重要な要素になります。
具体的に公開!提案書の書き方
提案書の構造は、マーケターにはお馴染みの「目的・戦略・戦術」の順番がセオリー。
相手が提案を採用したくなるかどうかのポイントは「この提案を採用したら、確かにうまくいきそう」と感じるかどうかです。 うまくいきそうという状態は、一緒に設定した「目的」が「数字」という結果で達成できそうと感じることができること 。
① どうしてこの提案をすることになったのか
② この提案を採用(実施)するとどんな良いことが起きるのか
③ 結果をこの数字で判断していきましょう
というストーリー(流れ)を持って説明していくのが最善です。
文字提案書(提案書❶)
提案書をつくる際に、いきなり考えをパワーポイントに書いていくのはとてもハードルが高いですし、無駄が多い作業になります。まずは自分の考えが整理しやすいように文字ベースで、項目を洗い出して考えるのが得策です。
有効な実施方法は文字提案書です。まずはあまり深く考えず、「こんな項目かな」「今考えている内容はこういうことかも」をテキストベースで書いてみましょう。
※メモを活用した文字企画書の項目サンプル
7割提案書(提案書❷)
文字でストーリーが整理できたら、パワーポイントの各ページ(左上など)にページタイトルを置きながらページネーションを作ってみます。 デザインは後で整理すればいいので、要素をいったん置くのがポイントです。
ページの中身に関しては、体裁はこだわらなくて良いですが、
①提案書の目的(最終的な目指す目標数字)
②現在の状況や課題
③どうなったら成功か(成功のイメージ)
④こんな戦略がいいのではないか(ターゲットはこんな人で、こんなことを狙う)
は言語化できているようにします。
これをベースに、現在考えている施策のアイデアを写真やメモ、イメージの湧きやすい事例のURLなどを置いて膨らませていきます。
企画書を複数人の共同作業で書いている場合は、「ここはみんなで考えたい」「◯◯さんアイデアお願い」など、いま不足している部分や、この後さらに考えたいことを見える化しておくことも重要です。
※7割提案書のイメージ。文字企画書で書いた項目(タイトル)を各ページに配置。現在考えていることを文字や画像で置いてみる
具体案が不足していても、提案の流れが確認でき、自分で理解できるようになっていれば「7割提案書」は完成です。この段階で可能であれば、提案書から目的、現在の状況、成功のイメージ、考えている戦略と施策案の一部分、程度を抜粋して提案相手と意識のすり合わせができると採用される確率はぐっと高まります。
仮に相手とズレがあった場合はズレの修正を含めて提案書の仕上げに入っていきます。
ズレの確認事項は「目的」なのか「戦略」なのか「戦術(施策案)」なのか。ここを正確に把握することが大切です。 目的は一致しているが戦略がズレている場合には戦略の修正、戦略も近しいことが確認でき、施策のアイデアがズレているようだったらアイデアを変えるという対応が大切です。
「7割提案書」の最大の役割はこのズレがないかを確認することになります。
最終提案書(完成版)(提案書❸)
最終提案書(完成版)の最大のポイントは、相手に真意がちゃんと伝わること。そして、この提案は一緒にやってみたいとワクワクしてもらうことにあります。
このとき考慮するのは
- 伝え方(資料だけなのか、プレゼンもできるのか)
- 伝わる文量
- 読みやすい文字の大きさと印象に残りやすい画像やグラフの見せ方
になります。
仮に「7割提案書」までの段階で、目的(ゴール像)や戦略(誰をどう狙うのか)までざっくり共有できていれば、後は「最終提案書」であなたが一番通したかったアイデアの魅力とそのイメージを相手に思い浮かべてもらえれば、もう採用は目の前です。
最後に、これを実施したときに、どの数字を追いかけていくといいのか、どんなスケジュールで行うのか、コストはどのくらいかを設計しておけば、採用を決意してから動き出すまでを具体的にすることができ、共通の目的に進むことができるようになります。
<まとめ>採用される提案書とは
ここまで読んでいただいた読者のみなさまはすでにお気づきかもしれませんが、採用されるのは「提案書」ではなく「提案」です。提案書は自分の頭の中にある考えやアイデアを可視化して相手を巻き込み、意志疎通しながら同じ方向へ向かうための手段でしかありません。
提案書を書くのはとても時間がかかる行為なので、絶対にその努力を無駄にしないよう、正しいステップを意識して進め方と書き方のスキルを取得していくことをおすすめします。
いきなりパワーポイントに向きあわず、いきなり時間をかけず、ぜひ「相手と同じ方向を向く」という意識を体に染み付けることからはじめてみてください。
▼成功のイメージを整理する!企画書フレーム

汎用企画書のフレーム
企画書のフレームをダウンロードできます。パワーポイント形式です。
▼提案書をつくる際のおすすめフレームワーク

PEST(ペスト)分析とは?やり方やコツ、分析に役立つフレームワークを解説【テンプレートあり】
今回は、さまざまなビジネスフレームワークの中でも、特に自社を取り巻く外部環境を分析する「PEST分析」についてご紹介します。 PESTの4つの要因は企業努力のみで変化させられるものではないため、おろそかにしがちですが、今後自社が進む方向性を決定するためには欠かせません。 まずは本記事を参考にしながら、そもそもPEST分析とはなにか、どのような影響が考えられるのかを把握して、ビジネスチャンス獲得の手がかりの1つとしてみてはいかがでしょうか。

3C分析を分かりやすく解説!市場分析から成功要因を導く方法とは?
マーケティング戦略で使用される3C分析。ブランディングにも使用できる汎用性のある分析手法ですが、KSFを導き出すために大変重要です。この記事では、3Ⅽ分析を実例を交えて紹介し、市場分析に役立てられるよう分かりやすくまとめました。

図解でわかるSWOT(スウォット)分析。考え方や使い方、分析事例を紹介【テンプレートあり】
この記事では、数あるビジネスフレームワークの中でもSWOT(スウォット)分析の各要因の解説に加えて、分析結果をどのように戦略策定に活かしていけばよいか、について解説します。新規事業創造などの大きな事柄を検討する際はもちろん、自分の業務を見直すなど、様々な場面で使用できます。フレームワークを使った考え方を取り入れてみましょう。
- 広告
- 広告とは販売のための告知活動を指します。ただし、広告を掲載するための媒体、メッセージがあること、広告を出している広告主が明示されているなどの3要素を含む場合を指すことが多いようです。
- テキスト
- テキストとは、純粋に文字のみで構成されるデータのことをいいます。 太字や斜線などの修飾情報や、埋め込まれた画像などの文字以外のデータが表現することはできませんが、テキストのみで構成されたテキストファイルであれば、どのような機種のコンピューターでも共通して利用することができます。
- ページ
- 印刷物のカタログやパンフレットは、通常複数のページから成り立っています。インターネットのホームページもまったく同じで、テーマや内容ごとにそれぞれの画面が作られています。この画面のことを、インターネットでも「ページ」と呼んでいます。ホームページは、多くの場合、複数ページから成り立っています。
- タイトル
- ホームページのソースに設定するタイトル(title)とは、ユーザーと検索エンジンにホームページの内容を伝えるためのものです。これを検索エンジンが認識し検索結果ページで表示されたり、ユーザーがお気に入りに保存したときに名称として使われたりするため、非常に重要なものだと考えられています。「タイトルタグ」ともいわれます。
- ページ
- 印刷物のカタログやパンフレットは、通常複数のページから成り立っています。インターネットのホームページもまったく同じで、テーマや内容ごとにそれぞれの画面が作られています。この画面のことを、インターネットでも「ページ」と呼んでいます。ホームページは、多くの場合、複数ページから成り立っています。
- URL
- URLとは、「Uniform Resource Locator」の略称です。情報がどこにあるのかを示すインターネット上の住所のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。各ページのURLは、インターネットブラウザの上部に文字列として表示されています。日本語では「統一資源位置指定子」という名称がついていますが、実際には日本でもURLという語が使われています。
- タイトル
- ホームページのソースに設定するタイトル(title)とは、ユーザーと検索エンジンにホームページの内容を伝えるためのものです。これを検索エンジンが認識し検索結果ページで表示されたり、ユーザーがお気に入りに保存したときに名称として使われたりするため、非常に重要なものだと考えられています。「タイトルタグ」ともいわれます。
- ページ
- 印刷物のカタログやパンフレットは、通常複数のページから成り立っています。インターネットのホームページもまったく同じで、テーマや内容ごとにそれぞれの画面が作られています。この画面のことを、インターネットでも「ページ」と呼んでいます。ホームページは、多くの場合、複数ページから成り立っています。
おすすめ記事
おすすめエントリー
同じカテゴリから記事を探す
カテゴリから記事をさがす
●Webマーケティング手法
●ステップ
●ツール・素材
- CMS・サイト制作
- フォーム作成
- LP制作・LPO
- ABテスト・EFO・CRO
- Web接客・チャットボット
- 動画・映像制作
- アクセス解析・広告効果測定
- マーケティングオートメーション(MA)
- メールマーケティング
- データ分析・BI
- CRM(顧客管理)
- SFA(商談管理)
- Web会議
- 営業支援
- EC・通販・ネットショップ
- 口コミ分析・ソーシャルリスニング
- フォント
- 素材サイト
●目的・施策
- Google広告
- Facebook広告
- Twitter広告
- Instagram広告
- LINE運用
- LINE広告
- YouTube運用
- YouTube広告
- TikTok広告
- テレビCM
- サイト制作・サイトリニューアル
- LP制作・LPO
- UI
- UX
- オウンドメディア運営
- 記事制作・ライティング
- コピーライティング
- ホワイトペーパー制作
- デザイン
- セミナー・展示会
- 動画・映像制作
- データ分析・BI
- EC・通販・ネットショップ
- 口コミ分析・ソーシャルリスニング
●課題
●その他
