「意図したデザインアイデアが伝わらない・・・」
そんな思いをしたことのあるプロジェクトマネジャーはいませんか?

思い通りのアイデアがデザイナーに伝わらないのは、共有不足なのではなく、共有の方法に問題があるのかもしれません。そこでデザイナーをはじめとして、デザインアイデアの共通認識を行うために「ムードボード」と呼ばれるカンバスを作成することがあります。

今回は、デザインの方向性を共有する「ムードボード」を便利ツール5選とともに解説していきます。アイデアを共有するのに困ったら、ムードボードを作成してみてはいかがでしょうか。
  

チーム内のデザイン認識のズレを防ぐ「ムードボード」とは?

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画像引用元:BURST by shopify

*ムードボード(Mood Board)*とは、インテリアやファッション、グラフィックなどのデザイン分野で、アイデアやコンセプトを画面や紙面にコラージュとして作成したものを指します。

「ミニマリズムなデザインをしましょう!」とチーム内で共有していても、人によって「ミニマリズム」のイメージにズレが生じる場合があります。

そこで、写真やイラスト、テクスチャー、配色やカラーパレットにメモを添えてムードボードを作ることで、チームのデザイン認識のズレを防ぐことができるです。
  

チームでの「ムードボード」の作成を加速させる便利ツール5選

ムードボードは、印刷したものを紙面に切り貼りしたり、Power PointやIllustratorなどに素材を貼り付けたりして作成することもできますが、1人で作成するのは簡単でも、チームでまとまって作成することは難しいかもしれません。

そこで以下、チームで「ムードボード」作成を行うことができる、オススメのコラボレーションツールをご紹介していきます。
  

1. Moodily

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[Moodily]は、誰でも簡単にムードボードを作成することができるサービスです。通常、ムードボードの作成には自分たちで素材を集めなければなりません。

しかし、Moodilyでは必要な素材を指定するだけで、Tinderにも似た「アリ」か「ナシ」かのフリック操作を行うだけで簡単にムードボードが作成できます。

1-https://ferret.akamaized.net/images/5a1a3a31781b872b97000389/original.png?1511668269

「アリ」「ナシ」で振りわけたムードは、「Show Board」をクリックすることで閲覧することができます。

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それぞれの素材をクリックすることで、素材の配色を確認したり、コメントを残したりすることができます。

[Moodilyを使ってみる]
  

2. MURAL

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MURALは壁に付箋を貼り付けるような、アイデア出しに使われるツールです。ムードボード作成に特化しているわけではありませんが、ムードボードを作成するのと同様にアイデアを絞り出して、カテゴリーわけをしながらムードの方向性を決める手助けをしてくれるでしょう。

付箋はコラボレーションの中で議論しながら張り替えることができ、張り替えの履歴をタイムラインで確認することもできます。


  

3. niice

Niiceは、ドラッグアンドドロップで簡単にコラボレーティブなムードボードを作成することができるサービスです。

ドラッグ&ドロップで挿入した要素は、「スマートレイアウトエンジン」によって自動的に整列されます。画像だけではなく、GIFアニメや動画を挿入することもでき、画像の編集ソフトがなくても簡単に彩度や明度を変えることが可能で、ムードボードに合わせた編集を行うことができます。

コメント機能も直感的です。画像の中で注目したいところをクリックしてコメントを残すだけなので、リアルタイムで簡単に議論を行うことができます。


  

4. Bokmark OS

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Bokmark OSは、ブラウザと一体になったムードボード作成ツールです。

アイデアのもととなるクリエイティブは、イウンターネット上から収集することが多いと思いますが、ブラウザを別に立ち上げながら作業をするのは不便です。Bokmark OSはブラウザと一体になっており、気になる画像や動画があれば、右に並んであるフォルダにドラッグ&ドロップをして保存をするだけで、クリエイティブを素材の専用スペースに保存することができます。

もちろんコラボレーション機能やプライバシー設定も充実しており、スマートフォンなどを使って外出先でもクリエイティブを確認することができます。画像だけではなく、キャッチコピーのような短いテキストをアイデアとして保存することも可能です。


  

5. Moodzer

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[Moodzer]は、自分が作成したムードボードを公開・シェアすることのできるソーシャルネットワーキングサービスです。

オンライン上でムードボードを作成したのち、ムードボードにタイトルを付けて保存します。自分でムードボードを作成するだけではなく、ほかの方が作ったムードボードを閲覧することもできるので、インスピレーションが湧き出るためのアイデアの接点が多くなるのも特徴です。

まだ、ベータ版(正規リリースの前の段階)のため多くの機能が実装されているわけではありませんが、利用は無料なので試しに使ってみるのもいいでしょう。

[Moodzerを使ってみる]
  

成功する「ムードボード」作成のコツ

上にご紹介したツールは、ムードボード作成を加速させる、非常に便利なツールであることは間違いありません。

しかし、ムードボードは作成のしやすさ以上に、作成方針を明確にしたほうが、アイデアの齟齬が起きず、効率的にプロダクトデザインに取り掛かることができるようになります。

そこで最後に、ムードボード作成で気を付けておきたい「3つのコツ」をご紹介します。
  

1. テーマとなる「キーワード」を決める

ムードボードは、デザインチームだけで作成することもあれば、クライアントと一緒に作成することもあります。

もし、訴えたいブランドイメージがあるのであれば、そうしたイメージの「キーワード」となる言葉を複数あげて、キーワードにマッチする画像やテクスチャを集めてみるといいでしょう。

例えば、「シンプル」で「明るい」、「モダン」なムードボードであれば、以下のようになるでしょう。

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画像引用元:Pinterest

一方、「シンプル」であっても、「パステルカラー」「自然」など、別の組み合わせを加えれば、次のようなムードボードになります。

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画像引用元:Pinterest

キーワードは1つだけだとムードが曖昧になってしまうので、いくつかのキーワードを用意しましょう。キーワードが複数設定されていれば、より具体的なものになるでしょう。
  

2. ミスマッチを排除する

一旦作成したムードボードでも、持ち寄ってメンバー同士で話し合って、本当に求めているイメージだけがそこにあるのかを確認することが大切です。

一度作成したムードボードの中でも、「これは求めているものにそぐわない」というものがあれば、ミスマッチとして除外していきます。しかし、除外したものは、削除するのではなく、「除外リスト」に残しておきましょう。

こうすることで、「こういうイメージは求められていないんだ」ということが可視化されるので、除外リスト自体が今後のプロダクトデザインの参考になるからです。

ミスマッチを排除したら、集まったクリエイティブの共通点を探して、言語化してみるのもいいでしょう。「白い」「余白の十分ある」「クリーンな」デザイン、といったように、見えなかった共通点が見出せることがあるからです。
  

3. 1つのものに執着する

「キーワード」を決めてたくさんのクリエイティブを集めたとしても、全体としてなにかしっくりこないことがあります。

そんな時には、複数のクリエイティブの中でキーワードに一番しっくりくるものを選び出し、そのイメージに近いかどうかで判断を行うようにしてみましょう。

ある1つのクリエイティブを基準とするだけで、統一感が感じられなかったムードボードが、ある程度のまとまりを得ることができるでしょう。
  

まとめ

ムードボードを作成すれば、チームメンバーの頭の中にあるイメージを具現化することができるので、プロダクトデザインを行う際に大いに役に立ちます
その際、ムードボードの統一感を意識しながら作成すると、上手くいくでしょう。

今回ご紹介したツールは、コラボレーションに役に立つツールばかりなので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。