こんにちは、株式会社ブレインパッドでソーシャルメディア分析を担当している福江です。

最近ニュースを見ていると、「AI」「人工知能」という言葉を聞かない日は無いくらい様々なシーンでこれらの言葉は使われています。

しかし、人工知能(Artificial Intelligence、以下AI)という言葉はなにも新しい言葉ではなく、発祥は今から62年前の1956年まで遡ります。当時の研究者たちによって開催されたワークショップ「ダートマス会議」において、初めてAI(人工知能)という言葉が使われました。

その後何度かブームと冬の時代を繰り返し、今のAIブームには機械学習手法の1つである「ディープラーニング(深層学習)」が大きく影響しています。

今回の記事では、AI(人工知能)とディープラーニング(深層学習)といった言葉がいつ頃から人々の間で使われ始め、どのような話題がきっかけで広まっていったのかをソーシャルメディアから紐解いていきます。

そもそもAIとディープラーニングの違いとは?

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※ AI、機械学習、ディープラーニングの定義

まずAIとディープラーニングの言葉の定義について簡単に整理します。

AIというと最先端のイメージがありますが、筆者が初めてAIという言葉を身近に使っていたのは小学生の頃にプレイしたRPG「ドラゴンクエスト」です。

初期の頃のドラクエは戦闘の際にプレイヤーがキャラクターに対してひとつずつ細かく指示をする必要がありましたが、シリーズが進むにつれてキャラクターが自動的にその場の状況を判断して動いてくれる「AI戦闘」というのが導入されました。

現代においてもAIという言葉は割と広い範囲で使われており、様々なサービス、製品に「AI○○」という名称が用いられています。

一方、ディープラーニングはタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法の1つです。多層のニューラルネットワークによりデータに含まれる特徴を段階的に深く学習できます。近年のAIの精度が飛躍的に改善されたのはディープラーニングによる影響が大きいと言われ、近年のAIブームのキッカケにもなった技術です。

「AI」、「ディープラーニング」のTwitter投稿数推移

それではAIとディープラーニングという言葉がいつ頃から人々の間で使われ始め、どのような話題がキッカケで広まっていったのかを、Twitterの全量データを対象にみていきます。

具体的な設定条件と総投稿数は以下の通りです。

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※設定条件と総投稿数

まず総投稿数については「AI」が2,600万件以上に対して、「ディープラーニング」は94万件程度と、予想通りAIのほうが圧倒的に多い結果です。

続いてそれぞれの投稿数の推移を時系列に分解します。

「AI」のキーワードを用いた投稿の推移

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「ディープラーニング」のキーワードを用いた投稿の推移

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それぞれの投稿数の推移を見ると、まず「AI」については順調に右肩上がりで推移していますが、特に2016年3月に大幅に投稿数が増加していることがわかります。

一方「ディープラーニング」については、2010年~2014年頃まではあまり投稿がありません。しかし、2015年以降少しずつ投稿数が伸び始め、2016年12月~2017年3月にかけた投稿数が大きく伸びています。

急上昇トピックの正体は?

続いてそれぞれのキーワードで投稿数が急上昇した際に、話題になっていたトピックを掘り下げていきます。

「AI」に関連した主要なトピック

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※主な投稿キーワード 文字が大きいほど頻出度が高い

主なトピックは「Google」の人工知能「AlphaGo」が「囲碁」のトップ棋士イ・セドル氏と対局し4勝1敗で勝利したニュース。「マイクロソフト」の人工知能「Tay」がヘイトスピーチをし、公開停止になったニュースなど、AIにまつわる明るいニュースと暗いニュースがSNS上で賑わいました。

確かにAIが人間のトッププロ棋士を破ったというニュースは当時衝撃的で印象に残っています。

また、同期間でリツイートの多かった投稿は以下のツイートです。

AIによって具体的にどのようなことが可能で、どういった仕事に影響が出てくるかといった内容がTwitterユーザーに反響が大きかった模様です。

「ディープラーニング」に関連した主要なトピック

続いてディープラーニングに関するトピックです。

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※主な投稿キーワード 文字が大きいほど頻出度が高い

こちらは特定のトピックが大きく投稿数を引き上げたというより、複数のトピックに分散しているようです。

中央付近に「モザイク」「被写体」「特定」などの文字が大きく出ていますが、これはGoogleがディープラーニング技術でモザイク画像の被写体を解析して、元の画像を推測、再現するニュースに関連したものでした。

また、同期間でリツイートの多かった投稿として以下のようなツイートがありました。

ディープラーニングの技術を使ったFaceAppというアプリを使って写真の人物を笑っている表情に変換するというものです。

このアプリを使って歴史上の人物などを無理やり笑わせている画像などでTwitterが盛り上がっていました。

最近では写真の加工、修正が当たり前になりましたが、将来的には修正の粋を超えて写っていないものを表現するのが当たり前になるかもしれません。

まとめ:SNSでトレンド分析できる時代に

今回の記事では、SNSの投稿数をもとに今のAIブームの盛り上がり方を分析しました。

世の中のトレンドを測る指標として以前から検索エンジンの「キーワード検索数」というのがありましたが、SNSの普及に伴い「SNS投稿数」も世の中のトレンドを測る指標の1つとして利用されることが多くなりました。

今後AI、ディープラーニング関連はさらに盛り上がっていくのか、それともブームとして収束していくのか引き続き注目していきます。