こんにちは、株式会社ブレインパッドで ソーシャルメディア分析を担当している福江です。

2018年の夏は日本列島の各所で猛暑に見舞われました。

埼玉県熊谷市では観測史上最高気温の41.1度を記録し、気象庁は今年の暑さを「災害」と表現するほど、様々なシーンで「暑い」、「暑すぎ」といった言葉が聞かれました。

しかしここ数年の夏を振り返ってみると、毎年のように「暑さ」が話題になっている気がします。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがあるように、人間というのは時間が経つと忘れてしまう曖昧なものなのでしょう。

そこで今回の記事ではTwitterで暑さに関するツイートの投稿数を過去5年分遡り、実際の気象データとともに今年の夏の暑さを検証していきます。

「暑い」、「暑すぎ」Twitterで投稿される暑さの実態

まずは気象庁が発表している各年の月別平均気温を見ていきます。
暑さがピークに達する7月と8月の平均気温を2014年から2018年までの5年分を比較しました。

image3.png
気象庁データをもとに筆者作成 2018年8月の数値は8月27日時点

今年(2018年)の平均気温を見ると7月、8月ともに過去5年で、28度を超えたのは初めてで最も高い数値であることがわかります。

全体的に7月より8月のほうが平均気温の高い年が多いのですが、去年と今年に限っては7月のほうが平均気温が高くなっています。

気象データだけを見ても今年の夏がいかに暑かったかがよくわかります。

続けてTwitterで暑さに関する投稿数を見てみましょう。
条件は以下の通りです。

image5.png

キーワードはシンプルに「暑い」もしくは「暑すぎ」を含む投稿が対象です。
この条件の場合、「暑すぎる」といった投稿も含まれます。
あまり複雑な条件は設定せず、思わず口から出てしまうようなキーワードのみに絞りました。

対象のSNSはTwitterで気象データ同様、今年を含めた過去5年間の投稿を遡ります。

image4.png

過去5年の「暑い」、「暑すぎ」を含む投稿を集計した結果、なんと1億3000万件以上の投稿(ツイート)が見つかりました。
いかに沢山の人が暑さに対する感情をTwitterに吐き出しているかがわかります。

各年で比較してみると、やはり今年(2018年)の投稿が圧倒的に多いです。
昨年(2017年)と比較すると約1.5倍程度の投稿がありました。

また、7月と8月で比較してみると、どの年も8月よりも7月のほうが投稿数が多いことがわかります。
先程の気象データによる平均気温では7月よりも8月のほうが高い年のほうが多いのですが、体感気温として6月からの気温差で暑いと感じる人が多いようです。

続いて「暑い」、「暑すぎ」の投稿には、他にどんな言葉が含まれているのか見てみます。

image7.png
※主な投稿キーワード 文字が大きいほど頻出度が高い

上図は今回の「暑い」、「暑すぎる」の投稿に含まれていた頻出単語です。
興味深いところとして暑い系のキーワードで引っ張ってきたにもかかわらず、「寒い」というキーワードも大きく表示されています。

実際の投稿を見てみると「外は暑い。けど中はエアコンで寒い」 「暑いけど寒いよりはマシ」といった投稿が多く見られました。

暑さと寒さ、どっちが良い? 「寒い」、「寒すぎ」の投稿数

暑さを語るときの定番の話題といえば、「暑いのと寒いの、どちらのほうが良いか?」という話題です。

そこで暑さと同じように、寒さに関連する投稿も同じように分析してみます。
image6.png

image2.png
過去5年の「寒い、「寒すぎ」を含む投稿を集計した結果、投稿数は1億8000万件以上で「暑い」、「暑すぎ」に比べて5,000万件ほど多い結果でした。

対象期間において夏は5回あったのに対して、冬は4回と1シーズン少ないため暑い系の投稿のほうが圧倒的に件数が多くなると思っていましたが予想外な結果でした。
これを見ると日本では暑さより寒さのほうに弱い人が多いのかもしれません。
image1.png
「暑い」系、「寒い」系の投稿推移の比較図

暑い系の投稿と寒い系の投稿を重ねて時系列で見ると、毎年5月前後に投稿数が同程度となり以降は「暑い」の投稿が増えていきます。
その後9月前後を境にまた投稿数が同程度となり、以降は「寒い」の投稿のほうが多くなっていきます。

9月というとまだ残暑が残る季節ですが、それまでの強烈な暑さに対して一気に気候が変わるため人々が変化に対して敏感になっているのかもしれませんね。

まとめ:ソーシャルメディアからビジネスの可能性が見えてくる

今回は「暑い」、「寒い」といった人間の感覚を可視化しました。
実は昨今、気象データなどをもとに商品の需要を予測するなどの動きが活発化しています。
特に季節性の高い商品、保存期間の短い商品などはちょっとした気候の変化などで大きく需要が変わってくるため在庫管理などが重要な課題です。

気象データ、ソーシャルメディアなど複数のデータの相関を分析することで新たなビジネスの可能性が見えてくるかもしれません。