2023年10月1日から、消費者庁によるステルスマーケティングに対する法規制が施行されます。ユーザーからの口コミやレビューをマーケティング施策に活用する際に、今後何が問題になってくるのか、詳細が気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ステルスマーケティングに対する法規制の内容や罰則、注意すべきポイントなどについて、法律事務所ZeLo・外国法共同事業の官澤康平弁護士に伺いました。

プロフィール

官澤 康平弁護士
法律事務所ZeLo・外国法共同事業 弁護士(第一東京弁護士会所属)
2011年東京大学法学部卒業、2013年東京大学法科大学院修了、同年司法試験合格。2014年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、同年長島・大野・常松法律事務所入所。2019年8月法律事務所ZeLo参画。主な取扱分野は、M&A、ルールメイキング/パブリック・アフェアーズ、ジェネラル・コーポレート、訴訟・紛争、危機管理・コンプライアンスなど。執筆に「総会IT化を可能とするシステム・技術への理解」(ビジネス法務2020年12月号)、『ルールメイキングの戦略と実務』(商事法務)、『実践 ゼロから法務!―立ち上げから組織づくりまで―』(中央経済社)など。

▼ステルスマーケティング規制についてわかる!アーカイブセミナー配信中

【アーカイブ配信】その広告表現は大丈夫?マーケター・SNS担当者が知っておきたい「ステマ規制」

【アーカイブ配信】その広告表現は大丈夫?マーケター・SNS担当者が知っておきたい「ステマ規制」

2023年10月1日より、ステルスマーケティング(ステマ)の規制が始まりました。マーケター・SNS担当者へ向けて、今回のステマ規制の概要と実務における留意点を、事例を交えてお伝えします。2023年10月17日に開催したセミナーのアーカイブ配信となります。

目次

  1. 2023年10月から始まるステルスマーケティングに対する規制の内容
  2. ステルスマーケティングに対する法規制が進む背景
  3. 規制に違反した場合の罰則
  4. 事業者と個人のインフルエンサーが気を付けるべきこと

2023年10月から始まるステルスマーケティングに対する規制の内容

ferret:
ステルスマーケティングに対する法規制では、どのようなことが違反になるのでしょうか。

官澤弁護士:
2023年10月1日から施行されるステルスマーケティングの法規制では、事業者の表示であるにもかかわらずそのことを隠したり分からないような形で表示を行わせたりすることが、ステルスマーケティングとして規制の対象となります。

インフルエンサーやアフィリエイターに依頼して表示させる場合

官澤弁護士:
インフルエンサーがダイエット食品を紹介する例で考えてみます。

●インフルエンサーが発信する情報が広告であるか否かは、消費者に影響を与える

あるインフルエンサーが自分のスタイルを維持する目的で自分の意思でダイエット食品を使用し、そのことをSNSなどで紹介したとします。

SNSを見たインフルエンサーのファンは、好きなインフルエンサーが紹介しているため、自分も使用したいという気持ちが自然に芽生えるかもしれません。

一方で、インフルエンサーが企業からの依頼を受けて宣伝目的でダイエット食品の紹介をしていたものだった場合は、ファンとしては、インフルエンサーが自分の好みで使用する食品ではないということで、自分も使用したいという気持ちが湧きにくいのではないでしょうか。
このように、インフルエンサーが発信する情報が広告であるか否かは、消費者に影響を与える要素です。

ステルスマーケティングとは

●今回の法規制の規制対象

これまでは、事業者がインフルエンサーにお金を払って商品やサービスをPRしてもらう際に、そのことを隠して、インフルエンサー自身が自発的に選んで使っているもののようにアピールしてもらうことがありました。

今回の法規制では、そうした「事業者による表示であるにもかかわらず、それを隠しているようなものが対象となりました。

インフルエンサーへの依頼だけに限らず、アフィリエイターや購入者に対して、「良い商品だったと投稿してください」など表示内容の決定に関与するような形で依頼をしてしまうと、規制対象となってしまいます

ステルスマーケティングの規制対象-1







ステルスマーケティングの規制対象-2











【特集】マーケ担当者が知っておきたい法律知識