コマースとメディアの両輪

ferret:
FACYには1日10本ほど、月間で300本もの記事コンテンツが掲載されています。大手ニュースサイトに使われることも多いですよね。コンテンツはどのように制作されているのでしょうか。

埴岡 氏:
今だとFACYプラットフォーム上でのユーザーニーズをコンテンツ化するのに加えて、出したコンテンツがある分野に偏らないようにコントロールしています。
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通常の記事コンテンツはサイト上にカテゴリーがありますよね。ですが、ただカテゴリーごとの分析だと次のコンテンツをつくるための仮説が作りづらい。弊社では記事コンテンツごとに「アイテム別」というユニークな区切りにしています。

例えば、スカート。ファッションの商品情報紹介カテゴリーがヒットしたとして、その中でどのアイテムがヒットしたのか、という話しを毎週キーワード別に出しているんです。そこからヒットしやすそうな企画から出しています。

ferret:
コマース的なPDCAを回しながら、そこでいいものだけを上げていって記事化しているのですね。つまり、コマースとメディアの両輪が必要ということですね。

オフラインでのコンバージョンをあげる仕組み

ferret:
サービス利用者のオフラインでのコンバージョンが高いと聞いているのですが、その仕組みはどのようにされているのでしょうか?

埴岡 氏:
コンバージョンまでは正直数値ベースでは把握していないのですが、あるお店では送客数が1.5倍から2倍くらいになった、というデータはあります。FACYの記事では絶対にどこで買えるかを記載しています。

ユーザーからすると商品情報を見て、買いたかったり、実際に見てみたいと思ったりした場合に、そこの住所に行けばいいだけです。導線がシンプルなので、送客率が高くなっているのだと予想しています。

ferret:
足を運ばせるきっかけづくりというのは、そもそも日本のデジタル界隈ではあまりなかったと思います。その辺りは最初からきっかけづくりを狙った事業だったのでしょうか。

埴岡 氏:
そうですね。ニューリテールプラットフォームを作りたいという狙いがあった上で、最初は店舗に送客するというのが至上命題でした。

ferret:
ただ、最近ではプラットフォームに決済機能もつけられていますよね。

埴岡 氏:
1年前は決済機能はなく、O2Oの送客機能だけでした。

「FACYで買えなかったから店舗行く」というユーザーが「FACYで買えるから買う」となっているので、FACY上での購入に流れているようです。

ferret:
店舗側手数料の20%は、他社と比べると約半分。とても安いですよね。それは送客が十分できているからそのパーセンテージでも上手く行けるだろう、ということでしょうか。

埴岡 氏:
そうです。あとは、僕らが目指しているビジョンとして「FACY上での売上高が目標金額に到達しないと退店ですよ」ということはしません。これが他社サービスとの大きな違いです。

これをするとお金を持っている企業しか表に出ないので、ユーザーメリットになりにくい。最後は価格競争になります。どこがどれだけセールやるか、という話にしかなりません。

そう考えたときに、我々は「地方の売り上げ規模が小さい個店さんと繋がりたい」という想いから、20%に設定しています。40%にすると個店さんが潰れてしまうので……。

ferret:
ただ、FACYを見ると1万円以上の商品が多く、安価なものは出さない印象があります。そこに理由はありますか?
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埴岡 氏:
これは弊社代表の小関がAmazonから出て立ち上げたときの思想とも繋がりますが、うちはコモディティは売らないと決めています。その結果として、単価が他の3倍くらいになっています。AmazonやZOZOはコモディティを販売しているため、単価を落とすとコモディティ戦争になるからです。

FACYで取り扱っている商品は、ある程度の財布の余裕というところは必要になってくると思います。ただ「いい商品だから購入した」というのではなく、「お気に入りのお店やスタッフが勧めてくれるから購入した」というストーリーになっていくと、ユーザーのLTVが上がってくると考えています。