コンテンツマーケの様々な手法の中でも、いちばんの主軸といえるメルマガ施策。BtoCではSNSに次いで2位の45.5%が、BtoBではSEO施策を超えて最多の51.6%の企業がメルマガに取り組んでいます。

古くからある定番施策だからこそ逆に、改めてメルマガの方法論を見直す機会というのは少ないもの。前任者が決めたルールをそのまま引き継いでやっているものの、果たして現状の方法が正しいのかどうかわからない・・という担当者も多いでしょう。

施策の見直しには専門家によるコンサルティングを受けるのが一番。しかし本当に有用なアドバイスがもらえるのか、そして成果が上がるのかイマイチよくわからない、という状況では検討しようにもできません。

そこで本記事では大手テーマパークのメルマガ改善コンサルの実例を通して、具体的なイメージを掴むヒントをお届けします。どのようなアドバイスが受けられ、どんな成果が挙がるのかがわかればNEXT ACTIONもクリアになるはず。さらに踏み込んだ内容を知りたい、という方は最後に紹介するセミナー動画も併せて視聴ください。

メールマーケのコンサルを疑似体験

というわけで、大手テーマパークの支援をはじめ100案件以上のコンサルティングに携わってきた、シナジーマーケティング株式会社・クラウド事業部でマーケティングコンサルタントを務める多々良 史弥氏にお話を伺いました。

ferret:
まずはどのような部分から着手されたのかお聞かせください

多々良:
まず最初に、ROAS(Return On Advertising Spend)ベースでの成果指標を定めました。先方の希望はメール配信をするCRMツール「Synergy!」の利用費に対して、メルマガ経由のチケット売上を2倍程度にしたいというもの。ROAS200%なので利用費が月額10万円なら毎月20万円がメルマガ経由の売上目標値になります。

そこでまず最初に出てきた障壁が「メルマガからの売上数値が計測できていない」ということでした。現状が把握できなければ改善後の目標値も定められないので、GAの設定や売上推計の式などを整理するところから始めました。

数値が計測できるようになると「配信頻度は月6回を固定とし、さらにコンテンツ改善を行えば目標は達成できそうだ」というラインが見えてきたので、そこから3カ月のコンサルティングの取り組みが正式にスタートしました。

まずは「メール件名」の改善で開封率をUP

ferret:
成果計測できる状態になれば、あとは改善していくだけですね。具体的にどのような内容改善を行ったのでしょうか?

多々良:
まずはメール内容の改善に着手しました。一番インパクトが大きいのがメール件名の改善なので、開封率を上げるための取り組みを進めていきました。

興味を惹くタイトルの付け方などの参考例も見てもらいながら件名の改善を行うなどもやったのですが、一番インパクトが大きかったのが「絵文字」を使うことでした。メールがクリックされないのは内容以前にメールボックスに埋もれて視認されていないのが原因である場合が多いので、まずは視認性を上げることで開封率は上がります。

BtoCの場合、メール件名の冒頭になるべくカラフルな絵文字を使うと開封率は2割ほど、つまり開封率15%の場合だと18%くらいまであっさりと伸びます。もちろんなんとなくクリックする人も増えるのでその先のCVRは多少下がりますが、絶対値としてのCV数は増えます。

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トリガーメール設定で取りこぼしを防ぐ

ferret:
メール件名の改善といえばキャッチコピー的な惹きのある文言にアタマがいきがちですが、絵文字で視認性を上げるというのは盲点でした。

多々良:
メルマガの改善においては割と枝葉末節の話が多いのですが、まずは絵文字の活用のようにすぐにできて成果がグッと上がる方法から着手するのが確実です。

また、同じように絶対に成果が上がるのが「未読者への再送メール」です。一度メールを送って開封しなかった人に対して、3日後にメールの件名を変えて同じ文面のメールを送る。これは1通目を送るついでに設定できるので最小限の手間でかなりのパフォーマンスアップが期待できます。

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上記は別案件のパフォーマンス例ですが、再配信によって開封数は27%UP、クリック数は30%UP、そして実購入数は56%も上昇しています。また、再配信によってメルマガの配信解除を心配する方もいますが1通目と2通目の間で解除率に変化はありません

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当社の過去事例で月間10本からデイリー配信の月間30本に増やしたケースがあるのですが、上図の通り解除者数はほとんど変わりません。一方で開封数やクリック数などは大きく伸びています。成果を挙げるには開封率やクリック率よりも開封数やクリック数、その先の購入数など「絶対値」に着目するのが近道です。

ユーザーはメルマガだけでも一日に平均6通受け取っており、メールボックスはタイムライン状態といっていいでしょう。よって送ったメールはそもそも視認されていないケースも多く、再配信や通数を増やすことで取りこぼしを防ぐことができます。

ferret:
配信頻度を増やしたからといってストレスを感じさせるのでは、という心配をする必要はなさそうですね。他に有効なトリガーメールはありますか?

多々良:
売上増に最も効果的なトリガーメールといえばまず思い浮かぶのが「カゴ落ちメール」だと思います。実はこれも、1通だけで終わっては取りこぼしが残ってしまいます。2通目・3通目とリマインドを続けることで売上を最大化できます。

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たとえば上記のケースでは、1通目だけなら100万円の売上だったところ、2通目・3通目でリマインドを続けることでさらに70万円程度の上積みができています。カゴ落ちユーザーは最も購入に近い場所にいると考えられるため、取りこぼしには細心の注意を払うべき対象といえます。

学習コストの削減はもちろん、投資費用も回収できるメルマガコンサルティング

ferret:
枝葉末節ではなく成果の上がりやすいポイントを押さえて改善することが大事なんですね。3カ月の改善コンサルの結果、テーマパークのパフォーマンスはどうなりましたか?

多々良:
当初設定したROAS目標に対して、3カ月目には1.5倍程度の達成率まで改善することができました。

ferret:
一度コツを押さえれば以降はその基準で施策を打ち続けれらますし、トリガーメールは時間が経つほどに成果が積もっていくので、コンサルティングの費用が一定かかったとしても、充分に回収できますね。

また学習コストの削減という観点も見逃せないですね。兼務マーケターも多い中、自習で成果につなげるのは容易ではありません。様々な企業を支援してきた中で培われた「確実に効く再現性の高いノウハウ」を教わることで、最短距離で目標を達成できるということがわかりました。本日はありがとうございました。

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