その数値は何を意味する?『独自性』を見つけるための「定量調査」とは
前回までに、ブランドは特定のイメージと一緒にブランド名を記憶させることが重要で、実際に消費者から選ばれているブランドはそうでないブランドと何が違うのかについて、米国Interbrand社が発表した『Best Global Brands 2018: Activating Brave』を参考にお話ししました。
今回は、Interbrand社の提唱する6つの要素である
1.Authenticity(本物)
2.Relevance(つながり)
3.Differenciation(差別化)
4.Consistency(一貫性)
5.Presence(存在感)
6.Engagement(エンゲージメント)
のうち、主に「Authenticity(本物)」、「Relevance(つながり)」、「Differenciation(差別化)」を導き出すのに、どう消費者調査を活かせるかを2回にわたって説明します。
▼前回の記事はこちら▼
消費者から選ばれるブランドは何が違うのか?
「定量調査」と「定性調査」の違い
マーケティング調査には、主に「定量調査」と「定性調査」の2つの調査方法があり、それぞれの調査方法には、以下の違いがあります。
[定量調査]
収集されたデータを数値化することを想定した上で設計された調査。数値データとしての信頼性を確保するために、比較的多くのサンプル数が必要となる。定量調査は、データが数値化されているため、誰でも理解しやすく、時系列での比較や多変量解析といった統計的なデータ処理にも適している。データを数値化するためには、質問とその回答となる選択肢が予め用意されている必要がある。
[定性調査]
対象者から発せられる生の言葉や行動、あるいは観察者が見たままの状態や印象など、ことばや文章あるいは写真といった数値化できないデータの収集を目的とした調査で、比較的少ないサンプルで実施される。仮説づくりからスタートする定量調査に対し、定性調査は仮説を見つけにくいものや、市場の新しい動きを発見しそこから仮説をつくりあげるケースなどに適している。
参照:
日本リサーチセンター
この記事ではこの2つの調査方法のうち、定量調査を使いブランドの『独自性』の見つける方法を説明します。
「Authenticity(本物)」を見分ける
『Authenticity(本物):社内で保有する事実と能力に基づく明確な物語や根拠があり、且つ消費者の持つ(高い)期待に応えられるレベルのバリュー・セットを持っている』
例えばある商品の特徴について調査した際、次のような調査結果が出た場合、あなたはどの項目が消費者の期待に応えている技術や特徴だと判断しますか?
[質問]〇〇ブランドのドライアーの特徴として、他社製品に比べ優れていると思う特徴を全てお選びください。
・音の静かさ(結果:60%)
・風力の強さ(結果:55%)
・デザインの格好良さ(結果:75%)
・軽さ(結果:50%)
・機能性の多さ(結果:45%)
この結果だけをみれば、恐らく「デザインの格好良さ」がこの商品の強みと判断する人が多いのではないでしょうか。
このような商品やサービスの強みを聞く質問は、消費者調査では欠かせない質問の一つです。ただし気をつけなければいけないのは、強みを聞くだけでは消費者の期待に応えているかを確認することはできないという点です。
では、この結果に対し、商品への満足度を掛け合わせたらどうでしょう。
・音の静かさ(結果:60%)/商品への満足度(結果:30%)
・風力の強さ(結果:55%)/商品への満足度(結果:44%)
・デザインの格好良さ(結果:75%)/商品への満足度(結果:45%)
・軽さ(結果:50%)/商品への満足度(結果:63%)
・機能性の多さ(結果:45%)/商品への満足度(結果:65%)
先ほどの他社製品の比較だけでみると、「デザインの格好良さ」が消費者から支持されていると言えます。しかし、実際の商品への満足度と一緒に見ると、満足度を高めている要因は「軽さ」や「機能性の多さ」であることがわかります。
これが他社にはない技術または特徴であるかどうかは分かりませんが、「Authenticity(本物)」として消費者の期待に応えられている可能性は大いにあると言えるでしょう。
そして、これらの特徴を再度他社のものと比較し、なぜ消費者がその特徴を評価しているのか、その技術や特徴をどう唯一無二のものとして位置付けられるかを検討することが、Authenticity(本物)を強化するうえで非常に重要になります。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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