SNSは、企業が一方的に情報を発信するだけではなく、ユーザーと相互コミュニケーションがとれるという特徴があります。その特性を活用すれば、ブランド好感度や顧客満足度の向上にも繋げていくことも可能でしょう。

しかしながら、自社の企業アカウントでどのようにユーザーとコミュニケーションをとっていくべきなのか悩んでいるSNS担当者も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Twitterで積極的にユーザーとコミュニケーションをとっている企業アカウントを参考に、SNSコミュニケーションのコツを探っていきます。

SNSでのコミュニケーション方法に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

SNSコミュニケーションのパターン

タニタに学ぶ、親しみやすい友人のような対応のTwitter運用

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株式会社タニタのTwitterアカウントは、通称「中の人」のユニークな投稿で人気を集めています。

投稿している内容を見てみると、企業情報や自社の商品情報を紹介するだけではなく、まるで友人のTwitterを見ているかのような「企業アカウントらしからぬゆるい投稿」が目立ちます。
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例えば、「〇〇な人RT」というような投稿をして、ユーザーにリツイートを促したり、食べ物や天気に関するツイートをしたりと、ユーザーが思わず反応したくなってしまうような投稿をしています。

また、他社の企業アカウントとも積極的に交流しているのも大きな特徴です。特にシャープ株式会社との掛け合いは有名で、2つのアカウントが擬人化され書籍が発売されるほど多くのファンを集めています。

しかし、タニタのTwitterは「ただゆるい」だけではありません。時には、ユーザーが投稿したタニタ製品に関する投稿をリツイートしたり、ユーザーが挙げている疑問や質問にリプライを送ったりしながら、丁寧にコミュニケーションをとっていることがわかります。過去には、ユーザーのリプライから他社との新たな交流が生まれ、コラボレーションが生まれたこともあるほどです。

毎日見ていて楽しい「ゆるい投稿」の中にも、自社に関する話題をしっかり取り上げたり、ユーザーの声を受け止めたりしている姿勢が、多くのファンを生み出すことに繋がっていると言えるでしょう。

ソフトバンクでは真摯な個別サポートにTwitterを活用

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引用:
Twitterで問い合わせをする | ソフトバンク

相互コミュニケーションが取れる特性を利用して、顧客のサポートにSNSを用いる例もあります。

ソフトバンクでは、企業の公式アカウントとは別に顧客のサポート専用アカウント「カスタマーサービス担当」を開設しています。そして、このサポート専用アカウントをソフトバンクの公式ホームページでも、お問い合わせ窓口として紹介しています。

サービスや商品に対してユーザーに疑問や不満がある場合、従来であればユーザーは店舗へ足を運んだり、メールや電話で問い合わせたりする必要がありました。それはユーザーにとって手間であり、場合によってはサービスの解約にも繋がってしまいます。

しかし、SNSであれば、投稿に「@ユーザーID」をつけるだけで気軽に質問ができます。ユーザーにとって簡単に質問ができ、SNS上で返信が受け取れることは大きなメリットと言えるでしょう。これらの質問に丁寧に回答し、ユーザーの疑問や不満を解決することは、顧客満足度の向上やブランド好感度アップに繋がります。

また、ソフトバンクのサポート専用アカウントは、自社のサービスや製品に関して「困った」「不満だった」などマイナスな投稿を探し、それらのユーザーに対して「どのような部分で困っているのか、不満があるのか」などを積極的に聞いて解決策の案内をしています。

このように自社に対してマイナスな投稿をしているユーザーに自らアプローチすることは、そのユーザーの満足度向上だけではなく、マイナスイメージの拡散を防ぐ効果も期待できます。

さらにソフトバンクのサポートアカウントは、通常時ではソフトバンクのサービスや製品紹介を投稿しているため、「ソフトバンクユーザーのお役立ちアカウント」としての役割も果たしています。

親近感のある投稿もしつつサポートもこなすドン・キホーテ

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ドン・キホーテの公式Twitterアカウントは、公式キャラクターを模した顔文字を使ったり、毎日「ドンキが9:00をお知らせします。」など時報のようなコメントと一緒に自社商品の写真を投稿したりと、ユーザーが親近感を覚えられるようなフレンドリーな投稿を多くしています。

また、過去には「#ドンキさん」のハッシュタグで、ユーザーからの質問・相談に回答する企画をTwitterで実施し、回答がおもしろいと話題になったこともあります。

このように、ユーザーが返信したくなるような投稿とユニークな返信で人気を集めているドン・キホーテの公式アカウントですが、アクティブサポートにも力を入れている点にも注目です。

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例えば、「ドン・キホーテで購入した商品が不良品だった」といった投稿に対しては、どのような不具合があったのかなどを詳しく聞くためにダイレクトメールで詳細を求める返信を積極的にしています。

その際、通常投稿時の砕けた表現は使わずに、丁寧な言葉遣いで「お客様の意見を真摯に受け止めている」様子がわかります。

ドン・キホーテのようにフレンドリーな投稿とサポート用の投稿を同一アカウントで行う場合は、言葉遣いやサポート対応の流れにルールを設けて運用するようにするとよいでしょう。

参考:
ドンキ・ツイッターが「辛辣すぎて面白い」お悩み相談に容赦ない回答

SNSコミュニケーションを成功させる3つのコツ

1.運用目的をはっきりさせる

まずは、そのSNSを運用することで、どのような効果を得たいのかはっきりさせておきましょう。ブランド認知度をあげる、好感度をアップさせる、販売促進に繋げる、サポート対応で顧客満足度を向上させるなど、企業によってSNSで期待する効果は様々です。

もちろんすべてに対応できれば一番良いですが、SNSを運用するにはリソースが必要です。「すべての効果を期待して運用した結果、人手が足りずに中途半端な運用になってしまいほとんど効果が出なかった」ということも考えられます。

どのような目的で運用するのかを決めたうえで、SNSでやること・やらないことを決めていきましょう。

2.自社の話題に敏感になる

ユーザーは、常に企業アカウントにリプライする形で返信しているとは限りません。例えば、ドン・キホーテやソフトバンク公式サポートのように、「困っているユーザー」に対して積極的とコミュニケーションをとる場合、自社の名前を出して投稿しているアカウントを見つけられる体制を整えておきたいところです。

定期的に、企業名や商品・サービス名などでエゴサーチを行い、自社に関する投稿をしているユーザーを探すようにしましょう。

また、サポートが必要な投稿以外でも、自社に関する投稿を見つけたら、「いいね!」や「リツイート(シェア)」、「リプライ(返信)」を継続するようにすれば、ユーザーにとって身近なアカウントだと感じてもらえるでしょう。

3. 定型文での返信はしない

SNSのコメント返信でユーザーとコミュニケーションをとる際は、いつも同じ定型文ではなく個別の文章を送るように心がけましょう。

例えば、「返信ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」と言った定型文をすべてのユーザーに同じように使用しているだけでは、ユーザーはそのアカウントに再度コメントをしようとは思わないでしょう。

SNSも対面のコミュニケーションと同じと捉え、1人ひとり対して会話をするつもりでコメントを返すようにしましょう。

SNSコミュニケーションで注意したいこと

1.SNSの運用ルールを決めておく

どのような目的でSNSを運用するにせよ、運用ルールを決めておくことは重要です。

例えば、サポートを中心として運用する場合は、「○日以内にユーザーへ返信する」「保証を約束するような表現はしない」などのルールを設定しておけば、ユーザーとのトラブルを事前に回避できます。

また、複数人で運用するときにも、「人によって対応が違う」ということにもなりません。

運用開始前にルールを定め、もしもトラブルが発生したらルールを見直し、その都度追記するようにしていきましょう。

2.企業の顔として発信している自覚を持つ

SNSはユーザーと密にコミュニケーションがとれるツールです。特にフランクな口調で運用するアカウントの場合、ついつい個人で利用しているSNSと同じように友達感覚で運用してしまうこともあります。

しかし、「アカウントは企業のものである」ということは常に忘れないようにしなければなりません。

個人的な思想や世間の話題に対する意見などを投稿すると、それが会社の発言と捉えられて炎上に繋がる危険性も否定できません。

「自身が運用するアカウントは企業の顔である」という自覚をもち、自身の発言は会社の意見として捉えられるという前提のもと運用するようにしてください。

参考:
ファン獲得に成功!5つの事例に学ぶ、Twitter企業アカウント運用のコツ

まとめ

SNSの運用目的は企業によって様々です。運用の目的に合わせて、ユーザーとどのようにコミュニケーションをとって行くべきかを考え、アカウントの口調やキャラクター、投稿内容を考えていきましょう。

その際、本記事で紹介したような、人気を集めている企業アカウントの運用方法を参考にしてみてください。