日々大量の業務をこなすマーケティング担当者にとって、社内外のコミュニケーションをいかに高速化し、効率化するかは大きな課題でしょう。

特に企業規模が大きくなるほど、日々の業務やチームでのPDCAを回していくことは難しくなっていきます。

インターネット広告事業を展開するセプテーニも、日本国内で500名以上の社員を抱え、コミュニケーションの高速化や効率化が課題でした。同社はこれらの課題をビジネスコミュニケーションツールであるSlackの導入により、大きく改善させています。

今回はSlackを導入しコミュニケーションの質を高め、1.5倍の業務高速化・効率化を実現したSepteni Japan株式会社の皆さんにSlackの活用法について伺います。デジタルマーケティングにおいて重要な、業界の情報収集や関わるメンバーへの情報共有、クライアントとのコミュニケーションなどをどのように改善していったのか、Septeni Japanの事例を参考にしてみましょう。

インタビュイープロフィール

中川竜太氏

アドマネジメント本部 パフォーマンスデザイン部 部長。Slack導入の社内提案を実施。広告運用の仕組み化を主業務としながら、Slackの全社導入を提案。Slack導入後も、Slackを活用した業務支援の仕組みを継続的にリリースしている。

前薗直樹氏

メディア本部 第三コンサルティング部 マネージャー。広告運用コンサルタント業務と並行し、メンバーマネジメントにも注力している。

富井紗季氏

第一アカウント本部 第一営業部 シニアアカウントプランナー。社内スタッフのディレクション、および顧客との信頼関係構築を図りながら、プロジェクトマネジメントを行っている。

田中良平氏

関西支社勤務。クリエイティブ本部 ディレクション部 ディレクター。広告におけるクリエイティブ制作ディレクションを担当している。

500人規模のコミュニケーションの課題とは

ferret:
Slackを導入し、500人以上の規模で使われているとお聞きしました。それだけの人数でコミュニケーションをする際に、そもそもどのような課題があったのでしょうか。

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中川氏:
弊社は東京の他に大阪や名古屋、福岡など全国で支社を展開しており、日本国内では500人以上の社員が働いています。人数規模もさることながら、マーケティング広告運用など複数のプロジェクトが同時に走ることもあり、コミュニケーションの質と量の両方の改善が課題になっていました。Slack導入前は既存のメールなどを使っていたのですが、コミュニケーションが一方通行になりがちで、足りない情報を補うためのミーティングが必要になるなど、社員数、プロジェクト数の拡大に伴い、コミュニケーションの限界を感じ始めていました。

また、デジタルマーケティング業界はとても変化が速いことに加え、デバイスアドテクノロジーの発達により、取り扱う広告商品の複雑性も格段に上昇していました。それに伴って、弊社では営業・広告運用コンサルタント・クリエイティブディレクター・オペレーション等の各領域の専門家が連携を強化して広告主の課題解決に当たる必要性が高まっていました。

ferret:
広告主に最適な提案をするためには、複数の部署でより密なコミュニケーションが求められます。けれども従来のコミュニケーションツールではスピーディーなやりとりが難しかった、ということですね。確かにSlackならメールよりも通知に気が付きやすく、電話よりも気軽に連絡や報告ができます。
プロジェクト数が多いとコミュニケーションの中でやりとりする資料や、そもそも会議で使う資料なども増えそうです。

前薗氏:
これまではミーティングの数がかなり多くありました。作成する資料も増え、30分で終わるような共有ミーティングも1日にいくつもあり、1日がミーティングだけで終わってしまうということもありました。現在は、Slackの導入によって、短い会議などは全てSlack上で済ますことができるようになり、その分、より分析やお客様と向き合う時間に集中できるようになったというのは大きな利点と言えるのではないでしょうか。

また、私の場合は部下とのコミュニケーションも密になりましたね。

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ferret:
業務の効率化に貢献したのですね。Slack導入にはもともと、効率化に着目して導入したのでしょうか。

中川氏:
Slackを導入する決め手となったのは、Slackには他のツールと比較して2つの特徴があったからです。1つはオープンな環境でコミュニケーションがとれるよう設計されている点です。Slackはメンバーとして登録すれば、基本的にはチャンネルがメンバー全員に対しオープンな状態で作られます。他社のツールではクローズドでコミュニケーションを取ることが前提の設計のものもある中、Slackはオープン設計になっているという点が、我々が求めるコミュニケーションの透明性、高速化に合致しました。

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※画像はイメージです

もう1つはAPIが充実していることです。拡張性が高く自分たちが使いやすいようにカスタマイズできます。私自身少しコーディングができるので、独自のbotなどを作り、業務に活かしています。APIの充実度も他社よりも優れている点だと思います。

業務スピードは1.5倍!PDCAの高速化を実現

ferret:
コミュニケーションがオープンになり、効率化したというのは大きいですね。他に無駄の削減に繋がったことはどのようなものがありますか。

中川氏:
これまで複数に分散してしまっていた、コミュニケーション手段やツールをすべてSlack上でのやりとりに統一しました。Slackはやりとりのログを残すことができ、情報管理の面からもリスク管理という観点からも大きな利点があると思っています。

田中氏:
Slackの利点として効率化はもちろんなのですが、業務の高速化、それに伴う業務の質の向上を感じています。

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私は関西支社で勤務していることもあり、本社のメンバーと連携する時のコミュニケーションが課題でした。以前はWeb会議などで細かくミーティングする必要があったのですが、現在はほとんどなくなりました。こうしたことから業務スピードはこれまでと比べて1.5倍の速さになり、一つひとつの案件に向き合う時間を割けるようになりましたね。

富井氏:
様々なコミュニケーションがSlackにまとまっていることは業務の高速化に繋がっています。Slack上では、業務における知識の共有や、担当しているお客様の業界に関するニュースなども随時共有、蓄積されているため、何かを調べようと思った時はSlackをまず見るという癖がつくようになりましたね。

調べた事例から改善案を考え、お客様に提案するというPDCAが素早く回せるようになりました。

中川氏:
導入の狙い通りですね(笑)

ferret:
クライアントとのやりとりもSlackであればよりスピーディーですよね。今すぐに改善提案したいことを資料を添えて手軽に送れて、素早い返事を期待できます。メールや電話よりもさらに高速でPDCAを回していけますね。

お互いをサポートできる仕組み

ferret:
実際にどのように活用をされているのでしょうか。

中川氏:
弊社では一つのプロジェクトに複数の部署が横断して対応します。あるプロジェクトを例に出しますと、営業担当や広告媒体に精通している運用コンサルタント、そして広告クリエイティブ担当のように複数人の体制でのコミュニケーションをSlackを通じて行なっています。

富井氏:
例えば、今私たちで動いているチームは、営業が3名、コンサルタントが4名、クリエイティブが2名、オペレーションチーム6名いるので全員で15名です。

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弊社ではこうしたチームが複数同時に動くため、Slackでチーム生成のための仕組化に取り組みました。

Googleフォームにプロジェクト名を入れると、チャンネルを自動作成し、同時に「チャンネルができましたチャンネル」にポストされる仕組みを作りました。これはプロジェクト名が統一されるという利点や、全社員に「こういったプロジェクトが始まる」という周知にも繋がります。注目度が高いプロジェクトの場合は一気に10名以上のメンバーがこの仕組を経由してチャネルに参加するケースもあります。

ferret:
Slackをチーム作りの仕組化に利用しているのですね。業務をうまくサポートしあう中で利用していることがイメージできます。

前薗氏:
大切な業務の一つとして、お客様に向けた広告運用のレポート作成があります。レポートは毎日チェックし、どういう変化があったか、今後どういう運用を行うべきかをチームで共有しているのですが、担当案件が増えると、こうした業務は大変になります。そこで、Slackでレポート作成完了の連絡が届くチャンネルを作り、そこに運用者のコメントを加え、通知しています。そうすることで、営業担当の確認漏れも防げ、わざわざ共有する時間も少なく済んでいます。

中川氏:
Slackが単なる連絡ツールとならないように、遊びを持たせる仕掛けを作りました。例えば自分の投稿に「重要」というスタンプを押すと、翌日に「重要」スタンプが押された投稿をまとめて1つのチャンネルに投稿する仕組みや、嬉しいトピックの投稿には「吉報」スタンプを押すと、吉報が集まるチャンネルに投稿される仕組みなどを作っていきました。

500人以上という大きな組織だとどうしてもチャンネル数が多くなってしまいます。各チャンネルでコミュニケーションされている内容を、全員が入っているチャンネルに自動的に集約する仕組みを作ることで、その投稿から自分が普段見ていないチャンネルを覗きに行くきっかけになります。こうした仕組みによって、よりコミュニケーションが活発になれば、という工夫の一つです。

隙間時間を有効活用して残業時間が減少

ferret:
コミュニケーションがスムーズになり、業務が円滑に進む一方で作業量が増えてしまうという心配も出てくるように思います。

中川氏:
Slackを導入してから残業時間はむしろ減少傾向にあります。

Slackでコミュニケーション量が増えるのは確かなのですが、これは隙間時間を有効に活用しているから、ということだと思います。例えば、導入前はクリエイティブ担当者が営業担当に連絡したい場合に、外出中で連絡がつかないと、その分空き時間ができてしまっていましたが、その空き時間の有効活用ができるため、お客様への提案内容の質や量の増加に繋がっています。

前薗氏:
先ほども説明したように、弊社では部署を横断してプロジェクトに取り組むため、全員が同時に状況を把握する必要があります。Slackによって誰が何をやっているのかの把握が非常に早くなりました。

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広告運用で特に重要な数値の変化なども、botから通知が来るのでプロジェクトメンバー全員で動きを把握できます。今まではミーティングで共有しないといけなかったことも、Slack上で簡単に共有できるようになりました。

常にコミュニケーションを取り合える体制作りがプロジェクトの質の向上に繋がり、中川が言うように残業時間の減少に貢献しているのではないでしょうか。

覚えなければいけないことが減り、業務の高速化につながるSlack

ferret:
Slackが業務の中心になっているのですね。

中川氏:
そうですね。最近ではSlackのプラットフォーム内で業務を完結できないかと試行錯誤しています。例えば、Slack上のbotから簡易なマニュアルにアクセスできるため、細かな手順を覚える必要はなくなってきています。業務で覚えておかなければいけないことが減りましたね。

田中氏:
クリエイティブ業務でもマニュアルや共有事項の活用に使っています。クリエイティブ事例チャンネルというのを作り、プロジェクトを動かす中で得た事例などを蓄積しています。

クリエイティブ業務ではキュレーションメディアであがっている記事をシェアし、業務に生かすことが多くあります。以前は都度その記事をブックマークしたり、ただ覚えておいて後から共有したりするなど、どこに何があるか集約できておらず、あまり質の良いコミュニケーションができていませんでした。また、記事に対する考察を共有する方法も、スクリーンショットを撮って送り合うなど、作業が煩雑になっていました。

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しかし、Slackなら記事情報が集約できるだけでなく、その記事に対する考えや考察をスレッド内でいろんな人がやりとりすることもできます。さらに、元メッセージのリンクをコピーして共有すれば、そのキューレーションメディア記事に対する考察を他のチャンネルでも共有できます。

オンラインでデジタル化できて、いつでもどこでも見ることができ、共有できる。これらが利点だと感じています。

中川氏:
弊社では一つのプロジェクトを通じて、多くのメンバーが関わります。おそらく、同じような規模の企業ではそうだと思うのですが、プロジェクト案件が増えるたびにコミュニケーションの量は増えていく。そこで覚えなければいけない業務や知識の増加がSlackの利用によって解決できるのだと思います。

まとめ

Slackによりコミュニケーションの高速化や業務の効率化を実現しているSepteni Japanにお話を伺いました。

膨大な情報を取得し、日々変化する数値を見ながら素早く問題点を発見し、改善案を模索していく必要のあるデジタルマーケティング業界。スピーディーかつ正確な情報共有が求めれらる業界だからこそ、コミュニケーションのスピードや質にはこだわっていかなければなりません。

PDCA高速化のためには、コミュニケーションツールの見直しが必須だと言えるのではないでしょうか。