Webマーケティングに欠かせない分析能力。情報収集から分析、データを活用した施策の立案まで。多様な手段とプロセスがある中、何から学ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、Web解析を軸としたマーケティング戦略の立案や集客施策などを展開する株式会社プリンシプルの木田和廣氏と山田良太氏に、これからマーケターに求められる解析スキルやセンスを磨くヒントについてお話を伺います。

プロフィール

木田 和廣氏

株式会社プリンシプル 取締役副社長 1989年早稲田大学政治経済学部卒業。豊田通商、カーポイント(現カービュー)、起業経験を経て、2011年株式会社プリンシプルへ参画。Googleアナリティクス公式ヘルプフォーラムで初の「トップコントリビューター」に認定。企業向けセミナー講師の実績多数。
著書:『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版』『できる100の新法則 Tableau ビジュアルWeb分析 データを収益に変えるマーケターの武器』(インプレス)

山田 良太氏

株式会社プリンシプル チーフテクノロジーマネージャー。2010年に新卒で入社した会社にてERPパッケージ開発にプログラマーとして携わったのちに、マーケティングチームを経て、Web広告運用・Webマーケティングを行うチームの立ち上げに参加。 AdWords Script/APIのプログラムコード開発、Googleアナリティクスの高度なトラッキングコードのカスタマイズ、Googleタグマネージャといったテクノロジー領域の推進に注力。2016年Googleアナリティクス公式ヘルプフォーラムで2人目の「トップレベルユーザー」として認定。2017年株式会社プリンシプル入社。同社の技術力を日本トップレベルへ牽引中。
ブログSEM Technology」においてGA/GTM/AdWordsのマニアックなテクノロジー領域の情報を発信。

数字を操る力だけが分析に必要なスキルではない

ferret:
お二人は日々どんな業務をされているんですか?

木田氏:
私のメインの仕事は営業ですが、名刺には「チーフエバンジェリスト」と書いています。私たちはスペックの決まった物質的なものを営業しているわけではなく、クライアントのビジネスを伸ばすためにどんな手段で何をすべきかを正しく伝導することが売りものになります。ですので、クライアントごとに営業するものも営業の仕方も異なります。また、クライアントが最初から全ての課題を教えてくれるわけではないので、現場ではまずクライアントの課題を引き出すところから仕事が始まります。ですので、分析のプロフェッショナルである以前に、課題を引き出す雑談力が必要な仕事になります。

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木田 和廣氏

ferret:
課題のヒアリングからチーフエバンジェリストのお仕事は始まるんですね。山田さんは、どんな仕事をされているんですか?

山田氏:
今はCTM(チーフテクノロジーマネージャー)として会社全体の技術をバックアップしています。現場からは常にたくさんの技術的な要望が上がってくるので、高次元で解決すべきものを抽出して対応しています。例えば「クライアントへ共有するためにこのデータをわかりやすい状態にしたい」という要望に対して、蓄積されたデータをわかりやすくビジュアライズしたり...。

木田氏:
山田さんはこれはできないだろうと思われていたことも、叶えてしまうので社内では、マジシャンと呼ばれています(笑)。逆に「このケースだったら、こんな風に見せたほうがいいんじゃない?」と、戦略にまでアドバイスをくれるんです。彼はエンジニアとしての素養はもちろん、Webマーケターとしてのセンスが非常に高いので、営業の私たちと言葉の通じない場面がほとんどないんです。

ferret:
営業とエンジニアの間に共通言語が多いと、スムーズに施策が進みそうですね。

山田氏:
そうですね。Webマーケターが技術の全てを学ぶのは難しいと思いますが、例えば、クライアントの課題がjavascriptで解決できるかどうかだけでもわかれば、その場で判断して、javascriptを使ってどう解決するかをエンジニアに相談できますよね。お互いに歩み寄れるレベルで基礎を学び、共通言語を少しでも揃えられたら、チームとしての分析業務はぐっと捗ると思います。

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山田 良太氏

ferret:
データ解析のための数字を読み解く力を身につける前に、まずは本質的な課題発見や共通言語を増やす努力など、コミュニケーションの基礎を整えるべきですね。