GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple、Micrisoft)やBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)など世界規模で影響力を持つ巨大企業が存在感を見せる中、日本でも資本・業務提携、経営統合などを通して、単独での事業推進ではなくお互いの事業力や資本力を活かした新たな経営体制で勝負をかける取り組みが目立ちます。

これらのお互いの事業力や資本力を活かした取り組みとして、「業務提携」「資本提携」「経営統合」「合併」の4つがあります。どれも企業同士の提携を意味しますが、その内容は異なります。今回はこれら4つの意味を事例を交えて解説します。

業務提携とは

業務提携とは、経営が独立している企業同士が、提携契約により決まった業務について共同して業務を行うことです。なお、提携と言うと2社間というイメージを持つかもしれませんが、3社以上での提携もあります。
1社だけでは資金や人材・ノウハウが不足している場合に、それらを補い合える他社と共同し各社のノウハウやリソースを共用することで市場での競争力をつけるのはもちろん、コスト削減も可能になります。
業務提携は株式取得など資本の移動が発生しないため契約の締結が比較的スムーズに行える一方、両社の関係性が低いため契約解除も容易に行いやすい傾向にあります。また、該当業務にあたる情報を他社に提供することにもなるため、技術や顧客、その他自社が培ってきたノウハウが流出する懸念もあります。

参考:
業務提携|M&Aキャピタルパートナーズ

業務提携の事例

BEENOSとメルカリが業務提携
フリマアプリ「メルカリ」と、越境ECサポートの代理購入サービス「Buyee(バイイー)」との業務提携の事例です。Buyeeが翻訳、海外発送、お問合せ対応などを行うことで、メルカリの出品者は特別な対応をすることなく100か国以上の海外のお客様に商品を販売することが可能になります。

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資本提携とは

業務提携が契約で結ばれた業務に限り共同で取り組むのに対して、資本提携は経営支配権を持たない程度にお互いの株式を取得し合い、資本的な結びつきを得ることを言います。

資本提携を行うことで企業間の関係を強化できるとともに、一般的には資本提携のニュースリリースによって双方の株価が上昇する可能性が高まります。一方、両社が経営的に独立している業務提携に比べて、資本提携は関係が強固なため容易に提携解除しにくくなります。また資本を持ち合うことで経営の自由度が低下するデメリットもあります。

似たものとして「資本業務提携」がありますが、これは資本提携にあたる協力内容をより明確にするため、共同する業務内容まで契約に定めたものです。一般的には、資本提携と合わせて業務提携も行うことが多いです。

参考:
資本業務提携|M&Aキャピタルパートナーズ

資本提携の事例

NTT都市開発(株)、リノべる(株)の 業務提携および出資に関する基本合意の締結について
リノベーション・プラットフォーム事業をおこなう「リノベる」と、総合不動産ディベロッパーのNTT都市開発による資本業務提携の事例です。不動産・建築・金融業界に関する高度な知識と関係性が求められるリノベーション業界において、NTTグループが保有する資産の利活用や、街づくりにおけるリノベーションなど広範囲での協業が考えられます。

経営統合とは

経営統合とは、統合する会社同士で持株会社を新たに設立し、その持株会社の傘下に双方企業をおき、両社の全株式を管理するものです。持株会社の傘下に置くことで、各社の法人格を引き続き残すことができます。
2018年に経営統合したVOYAGE GROUPとサイバー・コミュニケーションズ(電通の100%子会社)を例にとると、経営統合に伴い持株会社「株式会社CARTA HOLDINGS」を設立し、その傘下にVOYAGE GROUPとサイバー・コミュニケーションズが入りました。なお、電通がこの持株会社を子会社化したため、VOYAGE GROUPは電通グループとなりました。

参考:
サイバー・コミュニケーションズとVOYAGE GROUP、 持株会社名を「株式会社CARTA HOLDINGS」に決定

経営統合の事例

経営統合に関する基本合意書の締結について
2019年11月に業界を驚かせた、ヤフー親会社のZホールディングスとLINEの経営統合です。非常にややこしいのですが、図式は以下の通りです。
まず経営統合に向けて、ソフトバンクとNAVERが現LINEの全株式を取得し、現LINEの非公開化(上場廃止)を目的とした株式公開買い付け(TOB)を実施します。さらに、現LINEの株式を50%ずつになるように取引し、現LINEをソフトバンクの連結子会社とします。
続いてソフトバンクが保有しているZホールディングスの株式(44.6%)を現LINEに移管し、現LINEの子会社とします。そして、現LINEの子会社となったZホールディングスの傘下に、LINEの事業を継承する新会社とヤフーを傘下におきます。
ソフトバンクを親会社とすると、LINEが子会社、持株会社となるZホールディングスが孫会社、その傘下のヤフーとLINEの事業継承会社がひ孫会社となります。

image1.png

画像引用:
経営統合に関する基本合意書の締結について

合併とは

合併には「吸収合併」と「新設合併」の2種類がありますが、どちらも複数の会社をひとつの法人格に統合することを意味し、片方もしくはすべての企業の法人格が完全に消滅します。
「吸収合併」は、企業A(存続会社)が企業B(消滅会社)のすべてを吸収し承継する手法です。この場合、企業Bの法人格は完全になくなります。
「新設合併」は、企業A、企業B両方の法人格がなくなり、新しく設立した会社に両社の全てが引き継がれます。この場合、新設する新会社が事業を行うにあたる許可等を取り直す必要があり手続きの手間がかかるため、実際にはあまり行われる手法ではありません。

合併は企業が完全に一体化することで統合のメリットを早期に享受することができる一方、統合に伴う現場の業務負荷が大きく、また類似する事業を行っていた場合はユーザーや顧客が重複していることが多いため市場全体の取引が縮小する可能性も危惧されます。

参考:
合併と経営統合の違いとは | M&A・事業承継の理解を深める

合併の事例

完全子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

小林製薬による、桐灰化学(小林製薬の完全子会社)の吸収合併の事例です。
小林制約は2001年に桐灰化学を子会社化し、カイロを中心とした温熱製品は小林製薬グループの大きな事業の柱のひとつとなりました。地球温暖化に伴うカイロ需要の低下や市場の競争激化の中で、より開発・販売を促進することを目的に合併に至りました。

まとめ

企業同士がどのような手法で提携・統合を行ったかを知ることで、今後これらの企業がどんな戦略で市場の競争に立ち向かおうとしているのかがよく分かります。

また前述したLINEとヤフーの経営統合をきっかけに、IT業界全体で市場競争力を早急に上げなければという危機感が湧いたのも非常に印象深いです。この事例に限らず、1つの提携・統合によって関連する市場や競合他社の動きも変わってくるので、業界理解という目的だけでなく、業界での自社の立ち位置・ブランディング形成のためにも、市場全体を俯瞰して見ると良いでしょう。