Twitterでトレンド入りしたもののなかから、気になる話題のワードを深く掘り下げていきます。今回のワードは、2020年5月13日に発表されたニュースリリース以降、注目を集める『コオロギせんべい』。なぜ日本に馴染みのない「昆虫食」が発売まで至ったのでしょうか。そこには、近年問題になっている食糧危機が大きく関係していました。
コオロギせんべい.png
Google トレンドにてデータ抽出
参考:無印良品 コオロギせんべい ネットストア先行販売のお知らせ

『コオロギせんべい』とは?

無印良品を展開する株式会社良品計画は、2020年5月20日に無印良品のネットストアにて『コオロギせんべい』の先行販売を開始しました。徳島大学との協働で開発されたコオロギせんべいは、食用コオロギをパウダー状にして練り込んだせんべいのこと。エビに似た香ばしいコオロギの風味を活かし、シンプルな味付けに仕上げてあり、癖がなくお酒のおつまみにも最適と口コミでも良い評判が溢れています。

Twitter上ではリリース直後から、「昆虫を食べる」という発想に拒否反応を示す人や、目新しさに興味を持つ人など反応はさまざま。

また、任天堂から発売された「スーパーマリオRPG」に登場するアイテムの中に「コオロギせんべい」があり、架空の食べ物が実際に食べられる、とツイートする人も多く、「スーパーマリオRPG」も併せてTwitterのトレンドワード入りを果たしました。

参考:無印良品 コオロギせんべい ネットストア先行販売のお知らせ

なぜコオロギなのか?

高い栄養価

良品計画の調査にて、コオロギは、動物性タンパク質の家畜(鶏・豚・牛)よりも、100gあたり約2.5〜3倍近くのタンパク質量を含んでいることがわかっています。つまり、家畜に比べて、効率よく必要な栄養素を摂取できるのです。

2018年に国際的な総合科学ジャーナル誌「Nature(ネイチャー)」では、コオロギの粉末を2週間食べ続け、腸内フローラが改善されたとするアメリカの論文が発表されています。

環境への負荷が少ない

コオロギのような昆虫を育てるためのエサや水の必要量や、温室効果ガス排出量は、家畜に比べて少ないため、昆虫食を推進することは環境への負荷軽減に役立つ、と注目を集めています。

効率的に生産可能

コオロギは、飼育が容易で、他の昆虫に比べても約35日で成虫になるなど成長も早く、効率的に生産可能です。また、コオロギは雑食でエサの選択肢も広いため、昨今の食糧廃棄問題にも貢献すると期待されています。

参考:コオロギが 地球を救う?
未来の食事は「藻」と「昆虫」がカギ 12年後にも現実に

「昆虫食」が注目される背景

2013年の国際連合食糧農業機関(FAO)の発表によると、世界のほぼ8人に1人が慢性的な飢餓に苦しんでいる可能性があると考えられており、食糧危機問題は深刻化しています。そんな食糧危機に対する解決策の一つとして、FAOが「昆虫食」が推奨したことをきっかけに、昆虫食は世界中から高い関心を寄せられているのです。

また、ちとせ研究所によると、世界人口が増えるなか2030年には、たんぱく質の供給が足りなくなると予測されています。たんぱく質は、水分を除くと人の体の6割も占める重要な栄養素。効率的にたんぱく質を摂取できる昆虫食は、家畜の代替えとしての役割を期待されています。

参考:世界の食料不安の現状 2013年報告
未来のタンパク質源をつくる

昆虫食が食糧問題解決の救世主となるか

世界では、ヨーロッパを中心に一般的にスーパーなどで昆虫食を簡単に手に入れやすい国もありますが、日本では、長野県のイナゴの佃煮などの郷土料理は有名ではあるものの、昆虫食が一般化しているとはまだまだ言い難いです。

食糧危機やたんぱく質の確保など、私たちの身近に起きる深刻な問題に、地球に優しい未来食であるコオロギせんべいのような昆虫食がどこまで貢献してくれるのか期待したいです。

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