「コロナ疲れ」「withコロナ」「アフターコロナ」など、新型コロナウイルスの流行拡大とともに使われるようになった言葉のひとつ「エッセンシャルワーカー(essential worker)」。

新型コロナウイルスの流行に伴い、社会貢献の一環として、エッセンシャルワーカーの支援や応援に取り組む企業も増えてきています。いち早くこうした取り組みを始めた企業は、意図している/していないにかかわらず、社会的イメージアップもつながっています。
直訳すれば「必要不可欠な(essential)」な「働く人(worker)」という意味のエッセンシャルワーカー。具体的にいったいどんな職種を指すのでしょうか?

エッセンシャルワーカーとは何?

エッセンシャルワーカーとは、“人々が日常生活を送る上で欠かせない仕事を担っている人”を指す言葉です。新型コロナウイルスの流行を収束させるため、各国でロックダウンや外出自粛などの政策が講じられています。こうしたロックダウン化でもストップさせるわけにはいかない、必要不可欠な仕事(essential service/business)に従事する人(=エッセンシャルワーカー)たちは、不安を抱きながらも出勤し、私たちの生活を支える仕事を担ってくれています。

エッセンシャルワーカーにあたる職業

では、具体的にどんな職種がエッセンシャルワーカーにあたるのでしょうか?
代表的な例として挙げられることが多いのが、医師や看護師、薬剤師、介護士などの医療・介護従事者です。新型コロナウイルス感染者のみならず、医療や介護を必要とする方にとって、必要不可欠な存在です。私たちの命と健康を守ってくれている存在ですから、イメージしやすいのではないでしょうか。

また、宅配便の配達員や運送業者・郵便局員などの流通に従事する人、スーパーやドラッグストアなどの小売業に従事する人、公共交通機関で働く人、電気やガス・水道・通信などインフラ業に従事する人、消防員や警察官、公務員などもエッセンシャルワーカーです。

エッセンシャルワーカーを巡る企業の活動

世界では、エッセンシャルワーカーを励まし、感謝の意を伝える取り組みとして、商業施設やビルをブルーにライトアップしたり、毎日決まった時間に拍手を送ったりするムーブメントが広がっています。エッセンシャルワーカーを従業員として抱える企業のなかには、独自に従業員への感謝と応援の取り組みを始めたところも。また、エッセンシャルビジネスではない業種からも、エッセンシャルワーカーへの支援や応援に乗り出す企業が出始めています。

新型コロナウイルス流行時のこうした企業の取り組みは、それが目的ではなかったとしても、結果的に企業イメージのアップにつながっています。いくつかその事例を見てみましょう。

総額3億円を従業員に支給した「ライフ」

いち早く、新型コロナウイルスの感染流行に対して対策を講じたのが、近畿・関東を中心にスーパーマーケット「ライフ」と展開している株式会社ライフコーポレーションです。
スーパーマーケットは、外出自粛要請が出た後も、市民の生活に欠かせない存在です。新型コロナ流行下では、外出自粛によって通常よりも多くの客が来店し、店舗は混雑、従業員の業務負担も増大しました。

こうした事態を受け、ライフコーポレーションでは社員だけでなくアルバイト・パート従業員約4万人に対して、「緊急特別感謝金」として総額3億円を支給することが報じられました。

参考:3億円でありがとう スーパー「ライフ」、従業員に支給 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

ライフではこの他にも、5月7日には店舗の衛生環境の維持と従業員の体と心のリフレッシュを目的とした臨時休業を実施しています。
エッセンシャルワーカーでもある従業員を守る姿勢を明確に打ち出したライフコーポレーションは、「緊急特別感謝金」の支給が発表された後、4月後半には5年ぶりの株価高値を記録しています。

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画像出典:Yahoo!ファイナンス (株)ライフコーポレーション(2020年5月22日)

このように、エッセンシャルワーカーを従業員として雇用する企業の取り組みが、企業イメージを向上させ、結果的に株価にも影響を与えることもあるのです。
「この企業は、従業員のことを考えてくれる」というイメージを結果的に多くの人に広げているという点を考えれば、ライフコーポレーションの取り組みは、株価だけでなく、今後の雇用にも良い影響を及ぼしているとも考えられるでしょう。

参考:
ライフコーポレーション プレスリリース(2020年5月7日)

家賃無料で部屋を提供した「OYO LIFE」

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画像出典:OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社プレスリリース(2020年5月18日)

もちろん、エッセンシャルワーカーを雇用していない企業でも、エッセンシャルワーカー支援・応援のための取り組みは可能です。
例えば、スマートフォン一つで物件探しから賃貸契約・支払いまで完結できる革新的なサービスの提供を通じて、新しい時代のライフスタイルを提案しているOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社(以下、OYO LIFE)もその一つ。2020年4月24日に医療従事者に対して50人分の部屋無償提供を発表。5月18日にも第2弾として、医療従事者やエッセンシャルワーカーに対して100室の部屋を無償提供することを発表しました。

第一弾では医療従事者に限定していた部屋の無償提供を、第二弾では小売や物流など医療従事者のみならず「エッセンシャルワーカー」全体に広げて開始したこの取り組み。

2019年にヤフーと合弁会社を設立して、新しい価値観のサービス(OYO LIFE)提供を始めた企業として、知名度の向上にも一役買うことが期待されます。