さまざまなデータを素早く高い精度で加工・分析し、可視化することが可能なBIツールは、ビジネスの意思決定を迅速に行うために欠かせないツールです。現在、数多くのBIツールが存在していますが、この記事では最近注目を集めている「Microsoft Power BI」について解説します。

目次

  1. Microsoft Power BIとは?
  2. Microsoft Power BIの大きな特長
  3. Microsoft Power BIの2つの構成要素
  4. Microsoft Power BIのライセンスと価格
  5. まとめと関連記事

▼そもそもBIツールとは?知りたい方はこちら

【BIツール】データの可視化で意思決定が迅速に!活用例とおすすめツール

【BIツール】データの可視化で意思決定が迅速に!活用例とおすすめツール

BIツールを導入するメリット、活用シーン、おすすめBIツール、BIツールの選び方について解説しています。

1. Microsoft Power BIとは?

「Microsoft Power BI」は、Microsoft社が提供しているBIツールの製品・サービスの総称です。BIツールの中でも「セルフサービスBI」というジャンルに属しています。

BIツール導入のメリット

そもそも、BIツールとはどのようなものなのでしょうか。BIツールは、企業内に蓄積されている膨大なデータから必要な情報を抽出し、経営や売上拡大などのビジネス促進に活用するため、適切に分析してレポートを行うためのツールです。

ここでひとつポイントとなるのが、「誰でも利用できること」でしょう。社内の一部の担当者だけがこれらの作業を行えても、結局はその担当者にデータ分析を依頼することとなり、業務の効率化には結びつきません。社員の誰もが自分の欲しいデータを素早く抽出・分析できる。それがBIツールなのです。

2. Microsoft Power BIの大きな特長

「Microsoft Power BI」は、Microsoft社のBIツールです。日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、海外では現在、急速に普及しています。数々のBIツールがあるなかで、今注目を集めているこの「Microsoft Power BI」には、どのような特長があるのでしょうか。

セルフサービスBIである

まずひとつめの大きな特長は、「セルフサービスBI」であることです。「セルフBIサービス」とは、プログラミングの知識がなくてもデータの抽出から分析、レポート作成までを行えるツールを指します。

通常、データの分析などを行う場合はプログラミングの知識が多少なりとも必要になります。研修などを受けて経験を積めばBIツールも使いこなせるようになりますが、誰でも簡単に使えるというわけではありません。

しかし「セルフサービスBI」は、プログラミングの知識がなくても使えるように設計されています。そのため、ある程度パソコンを使える知識があれば、短期間でデータ分析などの作業が行えるようになります。まさに「誰でも手軽にデータ分析」を実現できるのです。

「Microsoft Power BI」は、ノンプログラミングで以下のようなことができます。

  • 各種データ処理(抽出、変換、統合など)
  • 視覚化された分かりやすいレポートの作成
  • 作成したレポートを組織内の人と共有
  • 作成したレポートを定期的に自動更新

これらは、ほとんどのBIツールが備えている機能ですが、これらをすべてノンプログラミングで使えるのが、「Microsoft Power BI」なのです。

あらゆるデータに接続可能

もうひとつ、「Microsoft Power BI」の特長として、あらゆるデータに接続できることが挙げられます。例えば、クラウド上にあるデータ、物理的なサーバー(オンプレミス)にあるデータにも接続でき、データを取得して分析することができます。両者のデータをシームレスに扱えるため、ユーザーはデータがどこにあるのかを意識する必要がありません。

また、Excelで作成したデータを読み込んで詳細な分析を行うこともできます。過去にExcelで作っていたシートなどを流用できるので、過去のデータを無駄にすることがありません。元々「Microsoft Power BI」はExcelのアドインとして作成された機能です。これが発展して、独立したBIツールとなった経緯があります。

なお、現在でもExcel向けのPower BIアドインは提供されています。

3. Microsoft Power BIの2つの構成要素

「Microsoft Power BI」は、以下の2つの要素で構成されています。

Power BI Desktop

「Power BI Desktop」は、各種データを抽出・変換・結合し、レポート設計を行うためのデスクトップアプリケーションです。実際に作業をする場合は、この「Power BI Desktop」を使って作業を行います。

インターフェイスはMicrosoft Officeシリーズのような感じなので、普段Microsoft Officeを使っている人ならば、それほど迷うことなく使えるでしょう。

Power BI Service

「Power BI Service」は、クラウドベースのサービスで、レポート編集や共同作業をサポートしてくれます
。このほか、Excel用のアドインやモバイルデバイスアプリなども用意されています。

BI DesktopとBI Serviceの図

4. Microsoft Power BIのライセンスと価格

「Power BI Desktop」は、一般的なBIツールと同様、1ユーザーごとの月額課金制が基本となっており、コースは2つ用意されています。

Power BI Pro 1,090円(1ユーザー/月)

「Power BI Pro」は、「Microsoft Power BI」の基本的な機能を利用することができるコースです。データの閲覧・分析からレポート作成・共有まで行えます。1ユーザーごとの契約となるため、小規模な企業や、企業内の一部の部署で導入するといった場合に向いています。

Power BI Premium 2,170円(1ユーザー/月)、543030円(1組織/月)

「Power BI Premium」は、「Power BI Pro」の機能がすべて使えることに加え、AI機能を利用することができます。AI機能を利用すると、膨大なデータからよりインサイトに直結した分析を行えたり、企業全体のデータ管理とアクセスの簡素化が可能になります。

「Power BI Premium」の料金体系は2種類あり、ユーザーごとに契約する場合は1ユーザーあたり月額2,170円となります。もうひとつは容量による課金で、ユーザー数は無制限となります。こちらは月額543,030円となり、容量が上限に達すると自動的に有料で追加されます。

少人数でAI機能を使いたい場合はユーザー単位での契約、利用者数が250人以上になるような場合は容量による契約にすると経済的です。

Microsoft Power BI価格表.png

5. まとめ

「Microsoft Power BI」は、Excelのような操作感でプログラミングの知識なしに使える「セルフサービスBI」です。また、Excelのデータも利用できるため、過去に蓄積したデータも活用できるという特長があります。

BIツールを導入したいけれど使いこなせるのか心配という企業や、すでにBIツールを導入しているけれど思うように使いこなせていない、また一部の人しか使えないといった悩みを抱えている企業は、導入の検討に値するBIツールです。

▼そもそもBIツールとは?知りたい方はこちら

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