「あなたは今の自分から変わりたいと思っていますね?」

上記のような誰にでも当てはまる曖昧な分析を、自分だけに当てはまると錯覚する現象を「バーナム効果」と呼びます。

今回は「バーナム効果」について解説します。

バーナム効果とは

バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な分析を、自分だけに当てはまるものだと錯覚してしまう現象を指します。
アメリカの心理学者バートラム・フォアの名をとって「フォアラー効果」ともいいます。

バーナム効果の一例

曖昧で一般的な分析の例として次のような例が挙げられます。

「あたなは最近悩み事を抱えていますね?」
「ときどき自信を持てない時がありますよね?」
(年配の人に対して)「体の調子が悪いところはありませんか?」

一般的な人であれば悩みが1つもない方が珍しいですし、常に自信を持っている人も少数派でしょう。
ですが、言われた人からすれば「自分のことを言ってる」と自分だけに当てはまる分析であるように感じてしまうのです。

以上のように、バーナム効果を発生させるポイントは誰にでも当てはまるような曖昧な分析をあたかも個別の情報として提示する点にあります。

バーナム効果を繰り返し発生させると、相手は「自分のことをよくわかっている」と思い込み、信頼されやすくなります。

ちなみに、バーナム効果が特に強くなるのは、分析結果が前向きである時や、診断を下す人の権威を感じている時であるという研究結果が出ています。

日常に溢れるバーナム効果の例

1.血液型診断

バーナム効果が応用される例として血液型診断が代表的です。よく各血液型の人について以下のように言われます。

「A型は几帳面な性格」「B型はマイペース」「O型は大雑把」「AB型は二重人格」

ところが、A型でも几帳面じゃない人もいますし、B型でも几帳面な人はいます。

それほど「几帳面」という言葉は曖昧で一般的であるにも関わらず、「自分だけに当てはまる」「診断は正しい」と思ってしまいます。

このようなバーナム効果によって、A型とB型の診断結果を取り替えたとしても診断を適切だと思ってしまうでしょう。

2.占い

占いにもバーナム効果は利用されています。

「あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。」
「楽しく過ごしているはずのときに、突然むなしさを感じてしまうことはありませんか?」

一見すると考えていることを読み取って分析したかのような言葉ですが、実際は誰にでも該当するような曖昧な発言です。
ですが、言われた本人からすれば「自分のことが言い当てられている」と思って、占い師を信頼するきっかけになるかもしれません。

バーナム効果の応用の仕方

バーナム効果を活用する意味は、「相手に自分のことをわかってくれている」と思わせるところにあります。自分のことを理解していると思ってもらうことで、信頼感を得ることができます。

例えば、年配の方向けに健康食品を売るのであれば次のように言えるでしょう。

「最近健康に不安はありませんか?」
もう少し具体的にして
「最近思うように体が動かないことはありませんか?」

などと言うことができます。ある程度年配の人になると1つや2つの健康の悩みがあるでしょう。
誰にでも当てはまることを利用して、いかにも相手のことを理解しているかのごとく用いるのがバーナム効果を応用した方法です。

「自分の個人的な悩みを言い当てられている」と思ってもらえればこちらの話の説得力が増します。