どのような業種・職種でも、人を相手にする限り、人の心がどのように動くのかを知っておいたほうが物事を有利に運べるのは想像に難くないでしょう。
特に、ユーザー視点が求められるマーケティングの場合は人の心の動きを体系的に捉えられる心理学への理解が不可欠です。

しかし、本気で心理学を学ぼうとしても、学ぶべき部分が膨大でどこから手をつければいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、マルケトが主催したマーケティングイベント「THE MARKETING NATION SUMMIT 2016」の特別講演として催された、メンタリストDaiGo氏による「マーケティングと心理学」をテーマにした講演の様子をお届けします。

心理学に精通し、人の心の動きを自由にコントロールすることで多くの人を驚かせてきたDaiGo氏の、マーケティングで勝つための心理テクニックが満載の講演でした。
気になる方は是非チェックしてみてください。

メンタリストDaiGo氏 プロフィール

人の心を読み、操る技術"メンタリズム"を駆使する日本唯一のメンタリスト。
TV番組へ出演多数、著書は累計100万部突破のベストセラーに。
企業の顧問や経営戦略パートナー、研修や講演、コンサル、教育誌の連載なども手掛ける。
主な著書に「一瞬でYESを引き出す心理戦略」「男女脳戦略。」(ともにダイヤモンド社)」がある。
ニコニコ動画でビジネスやコミュニケーションに使える心理術を公開中。

基本だけど最も大事なキャッチコピーの5つのコツ

コピーはイメージコピーとレスポンスコピーの2種類があります。
レスポンスコピーは反応率が全てのコピーのことです。
今日はレスポンスコピーの書き方をお話しします。

まず、ジョン・ケープルズによる売れるコピーの5つの要素をご紹介します。 

1.新情報 

新しさがないと売れない。ここ、意外とできていない方が多いんですよね。
競合と差別化できるような新しい情報がないと興味は持ってもらえないですよね。

2.ベネフィット 

得することが言えていないとだめです。例えば「iPhoneに手ぶれ補正がつきました」で終わってはだめなんです。
その機能がついたことによってどのような利益がもたらされるのか。
悪い言い方に聞こえますが、コピーって猿に向かって書かなきゃいけないんですよ。

福澤諭吉も同じことを言っています。
後輩から「どんな本を書けば売れるんですか?」と聞かれた時、福澤先生は「君は誰のために書いてるの?」と質問してんですね。
すると後輩は「僕の言っていることがわかるような、教養の高い人に読んでほしい」と答えました。

福澤先生は「だから売れないんだよ。本はね、猿にでもわかるように書かないといけないんだよ」と。
それぐらいわかりやすくしなきゃいけないんですよね。

3.興味を煽る 

どれだけ興味を煽れる書き方にできるかが大事です。
これまでの常識とは違う内容を、好奇心を刺激するようにアウトプットすることですね。

4.手軽さ

どれぐらい簡単に手に入るかもちゃんと言わないとですね。どこでも買えるとか、値段が安いとか。
これは結構どこもやってるんですが、でも手軽さだけじゃ怪しいなって思いますよね。

5.信ぴょう性

手軽さから生まれる疑いをガードするために、信ぴょう性が大事になります。
みんな地域最安値とか出してますけど、そこに信ぴょう性がないと信じてもらえない。「なんで安いのか」という部分があったほうが説得力が高くなって売れやすくなりますよね。

この5つの基本を守るだけで結構変わります。

1つのメッセージに情報は盛り込みすぎず同じ情報を形を変えて3回以上繰り返す

効果を上げたいという気持ちが強いと、コピーや広告に情報を盛り込みがちになってしまいますよね。
でも情報を盛り込みすぎると何も残りません。
広告やコピーは基本的に読まれません。
自分が言ってることや、やってることは大して伝わらないんです。

相手の記憶に残したいなら、基本的には1つのメッセージを形を変えて3回以上繰り返すんです。
全く同じメッセージを繰り返すとうんざりされて反応率が下がります。
必ず形は変えてください。

これは現代広告の父と呼ばれるデイヴィッド・オグルヴィが繰り返し主張していることです。

「3回以上」の根拠に、社会心理学者ウィルソンの説得率の研究があります。
模擬裁判のなかで、「この人は有罪だ」という証拠を何回繰り返せば陪審員が説得されるかという実験なんですが、3回繰り返すと46%。10回繰り返すと86%に説得率が上昇しました。
1回で言うより、複数に分けて形を変えていった方がいいんですよね。

僕も経験的にも納得する部分ではあります。
人が一番興味ある単語って名前なんですよ。
なので、名前を3回以上呼びかけると反応率がアップします。
僕のメルマガでも、必ず相手の名前を呼びかけるところから始まっています。

松竹梅の価格を設定する時は比率を3:4:6にする

ゴルディロックス効果ってご存知でしょうか?
松竹梅の法則って言ったほうがわかりやすいかもしれません。

価格を特定の比率にすると狙った商品が売れやすくなります。
3つの価格帯を設定する時、3:4:6の比率で提示します。

必ずしもこの比率にする必要はないんですが、ポイントは安いものと高いものは価格差が倍になるところです。
すると、人は真ん中のちょうどいいのを選びやすくなるんです。

ただ、選択回避と現状維持の法則に注意しましょう。
人間は選択肢が増えれば増えるほど選べなくなります。

有名な実験があります。スーパーの店頭で24種類のジャムと6種類のジャムを販売した時、24種類の方が足を止める人は多いけど、6種類のジャムの方が売り上げは6倍になりました。

多すぎても少なすぎてもダメなので、だいたい3〜5択までがいいんじゃないかと思います。

SNSで共感を呼ぶには、朝にはポジティブ、夜はネガティブ→ポジティブに転化するような内容を発信

あとは、「おしゃれ」な文章より「感情的」な文章のほうがいいです。
Twitterで実験するとわかりやすいです。

僕は、ツイートにあえて誤植を入れることもあります。すると反応率が高まります。
情報過多の今、いかに目を留めてもらえるかが重要なんです。

朝6時はポジティブなツイート、夜はネガティブからポジティブに転化するような文章だと反応が良くなるんですよ。
人って夜にはネガティブな感情が優位になりやすいんで。

人間心理を見る為には、統計データを見ることが大事です。
これをやるようになってから、毎月コンスタントに1万人フォロワーを増やせるようになりました。
コツを見つけてやっていくと持続的な効果が見込めます。

悩みをあてるためのフレームワーク「THE SCAM」

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人の悩みはたった7つに分類できます。「THE SCAM」と呼ばれるフレームワークです。
ちなみに「THE SCAM」って「インチキ」という意味です。

【THE SCAM】
Travel 移動・変化
Health 健康
Education 教育
Sex 恋愛・結婚
Carrier 仕事
Ambition 夢・野望
Money 金

ただ、7つだと一般の方にはすこし扱いずらいので、さらに簡単にした「HARM」をご紹介します。

Health 健康
Ambition 夢・野望
Relation 人間関係
Money 金

この4つの中で、相手を見れば2つに絞れます。
例えば高校生の場合はHとMが消えますよね。
AとRが残って、相手がもし高校1年生だったらどうでしょう。
新しい学校に入って、夢というより人間関係に悩んでいる確率が高いですよね。
逆に高校3年生の場合は、夢に悩んでいる可能性が高いです。

2つまでに絞れたら、当てずっぽうで言ってみましょう。
なんでメンタリストが当てられるのかというと、絶対に引かないからなんですよ。
人間は自分のことを知ってほしい、聞いてほしいと思っています。
自分が一番興味があるのは自分のことです。
だから、キリストが生まれるはるか昔から、タロット占い師は全く同じ手法を繰り返しても食いっぱぐれないんですよね。

相手の心を読むポイントは「口周りの筋肉」

商談やプレゼンの時、自分が言っていることが本当に刺さっているのか気になりません?
刺さっているかどうかは、相手の口の周りの筋肉から読み取ることができます。

口の周りの筋肉がきゅっとしまっているのは、NOのサインです。
相手はもう聞きたくないとかんじているので、その時は話題を変えて質問すればいいんです。

逆に口の周りの筋肉がリラックスしている場合は、もっと話を聞きたい、もっと喋ってOKというサインです。
もっと聞きたいって思うと、口に軽い隙間ができたり、笑顔になったりするんですよね。

相手の反応を見ながらプレゼンを編集する

ところで、映画の予告編は面白かったのに本編はイマイチだと思った経験ないでしょうか?
なぜ予告編は面白いのに本編にがっかりしてしまうことがあるのか。
答えは簡単で、面白いところだけ編集してるからです。
プレゼンもかくあるべきです。

人によってささるポイントって違いますよね。なのに、例えば特徴が5つあると、どれも同じ長さで喋ってしまう人が多い。
人は興味あるところは短く感じて興味ないところは長く感じます。
だから、相手の口元を見ながら、興味なさそうなところはサラッと、興味を引いてそうだと思うところはしっかり話してみましょう。

マーケターは神話を読むべき

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マーケターは物語を読んでください。
広告文やコピーは商品を買わせるための文章ですが、文章そのものをお金を出してでも読みたいと思われる物語は人の心を掴んでる証拠ですよね。
なのでストーリーを大事にしたほうがいいですね。

一番良いのは神話です。
いろんな国に神話がありますが、文化交流がない世界で同時多発的に生まれたのに、どこにも同じような話が生まれているんですよね。
神話には、人間の心の根本に刺さる構造が隠されているんじゃないかとよく言われています。
その神話の構造を流用すれば、人の心を掴めるんじゃないかなと。

神話の常套構成を1つ紹介します。
基本は「上げて下げてまた上げる」という構成です。
主人公が登場して、成功するかなと思ったらどん底に落ちて、どうにか這い上がって最後は成功するという簡単なものです。
ぜひ興味のある方は神話を読んでみてください。