三段論法とは?説得力のある文章を書くためのライティング技法
初めて記事を書く時、どのようなポイントに気を付けて書けばいいか迷う方は少なくありません。そこで意識したい指標のひとつが、論理性があり説得力があるかどうかです。ただ、初めから誰もが納得する論理性の高い記事を書くことは難しいでしょう。そこで参考にしたいのが、「三段論法」です。
今回は、三段論法の概要と、三段論法を活用したライティング技法について解説します。記事の質だけでなくライティングのスピードも変わるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
三段論法とは
三段論法とは、ある事実やその前提となる正しい情報を起点として、推理を重ねて結論を導き出す手法のことです。最初に「大前提」と「小前提」があり、最後に「結論」を出します。
三段論法は、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスが確立しました。起源は古いものの、論理的思考やライティングなどに最適な法則のため、現代でも広く使われています。
三段論法は演繹法の手法のひとつ
三段論法は「演繹法」の手法のひとつです。演繹法とは、誰もが正しいと思える事実を起点として妥当な結論を導き出す手法です。この演繹法を行うための具体的な手段のひとつが三段論法であると理解しましょう。
また演繹法は、論理的思考のベースとなる論理学という学問の中で提唱されている「論理的推論」の種類のひとつです。論理的推論については、以下の記事を参考にしてください。
参考:帰納法・演繹法・アブダクションの3つの推論過程の違い|ferret
三段論法の型
三段論法には、以下のように更に細かい種類に分けられます。
- 定言的三段論法
- 仮言三段論法
- 選言三段論法
- 仮言選言三段論
今回は、ライティング技法への応用も含め「定言的三段論法」を中心に解説します。その他の論法についても後述します。
「定言的三段論法」を理解するために、まずは有名なアリストテレスの例文を見てみましょう。
大前提:すべての人間は死すべきである。
小前提:ソクラテスは人間である。
結論:ゆえにソクラテスは死すべきである。
大前提では一般的な事象や絶対的な事実、小前提では具体的な事実を述べ、この2つの前提をもとに結論を述べています。このように、三段階に分けて思考を深めていくのが三段論法です。
三段論法を活用したライティング技法
三段論法は、論理的で説得力のある記事を書くときにも活用できます。ライティングの場合は、「主題」を入れて4段階です。この4つをあらかじめ構成として考えることで、より質の高い記事を効率良く書けます。
1.主題
まず、記事の「主題」を明確に提示します。主題がなければ、何についての記事なのか、また最後に何を言いたかったのかが分からない記事になりかねません。
これから何について書くのか、何を伝えたいのかを決めてからライティングに入りましょう。
2.理由(大前提)
主題が決まったら、その主題を支える「理由」が必要です。ここが、三段論法の「大前提」です。
例えば、以下の2つの文章を見てください。
A:パンダは哺乳類だ。
B:パンダは哺乳類だ。なぜなら胎児を出産するからである。
Aでは、「パンダは哺乳類だ」という主題のみを述べています。パンダが哺乳類であることを知らない人にとっては、理由もなくすぐに納得はできません。
一方Bでは、「なぜなら」と理由も合わせて述べているため、パンダが哺乳類であると理解しやすくなります。
ライティングにおいても、主張には必ず理由を添えることで、説得力や理解のしやすさが格段に高まります。また、主題を支える理由を箇条書きでもいいので書き出しておくと、記事全体の構成の流れも考えやすくなります。
3.証拠(小前提)
次に、理由(大前提)をより具体的にした「証拠」を述べます。ここが、三段論法の「小前提」です。
証拠(小前提)は、理由(大前提)と正しく結びつくものでないとなりません。
例えば、以下の2つの文章を見てください。
A:この動物は胎児を出産する。だからこの動物はパンダだ。
B:この動物は胎児を出産する。しかし胎児を出産する動物には人間や馬など数多くの種類がいるため、この動物がパンダであると断定はできない。
どちらの内容の方が信用できるでしょうか。
「胎児を出産する動物には人間や馬など数多くの種類がいるため」と証拠を掲げているBの方が信用できるといえるでしょう。
ライティングにおいても、理由の根拠となる事実やデータはきちんと集めておきましょう。
4.結論
最後は「結論」です。ここで主題に対する「解」を示す必要があります。
ただ結論のみを述べるのではなく、「主題の理由(大前提)と証拠(小前提)を簡潔にまとめてから結論につなげる」ことが大切です。結論に辿り着くまでの過程を繰り返すことで、記事の内容が改めて明確になり、ユーザーに伝わりやすくなります。
記事の印象を決める心理的効果
三段論法に加えて、ライティングで使える心理学的なテクニックも2つ紹介します。
記事の構成や内容、ライティングの癖によってどちらのテクニックを採用した方がいいかは変わってきますので、効果的だと思う方をぜひ取り入れてみてください。
初頭効果
初頭効果とは、人は一番最初に受けた印象が記憶に残りやすく、また変化もしにくいという心理的効果を指します。
ユーザーの興味を惹くキャッチコピーで心を掴み、記事詳細をクリックしてもらうときなどに活用できます。ユーザーの関心を掴みにくい主題である場合により有効でしょう。
親近効果(終末効果)
親近効果とは、初頭効果とは逆で、一番最後に入ってきた情報が記憶に残りやすいという心理的効果を指します。終末効果とも呼ばれます。
段階的に論理を進め、最後に再度内容を振り返りながら結論を示すことで、「論理的な記事」だったという印象を更に強めることができます。
その他の三段論法
今回ライティング技法に応用した、「定言的三段論法」の他の3つの三段論法についても解説します。
1.仮言三段論法
仮言三段論法とは、仮言命題(条件付き命題)利用した三段論法のことです。
大前提:もし今日晴れなければ、私は出かけられない。
小前提:もし私が出かけなければ、私は友人と会えない。
結論:従って、もし今日晴れなければ、私は友人と会えない。
上記の例文のように、一般的な事実とは反した事象や例を利用できるのが特徴です。つまり、大前提で一般的に偽であるような事象を述べて、全体として真を主張する論法です。
2.選言三段論法
選言三段論法は、大前提に選言命題(選択肢のある命題)を置き、小前提でその命題を肯定または否定することで、結論を導き出す三段論法のことです。
大前提:私は肉を選ぶか、または魚を選ぶ。
小前提:私は肉を選ばない。
結論:従って、私は魚を選ぶ。
上記の例文は、まず大前提に「肉か魚か」という選択肢を置いた上で、小前提で「肉を選ばない」と片方を否定することにより、「魚を選ぶ」という結論を導き出しています。小前提の肯定・否定によって結論が変わる三段論法です。
3.仮言選言三段論法
仮言選言三段論法は、前述した「仮言三段論法」、「選言三段論法」を合わせた三段論法のことです。
大前提:もし、この卵を買うなら、新鮮なモノか安いモノを買うべきである
小前提:しかし、この卵は新鮮でも安くもない
結論:従って、この卵を買うべきではない。
上記の例文のように、大前提で仮言命題と選言命題の両者を提示するのが特徴です。
「三段論法」を活用した構成作りから始めよう
記事を書くときは、闇雲にライティングを始めるのではなく、あらかじめ構成を考えておいたほうが効率的に書き進められます。構成や結論を何も考えないままライティングを始めてしまうと、途中で内容の軸がぶれたり、内容自体が変わってしまいかねません。
また、きちんと構成を考えた上でライティングを終えたとしても、最後に再度記事全体を見直すことも大切です。記事を見直す際は、以下の4つに注意するといいでしょう。
- 主題は明確かつ複雑化していないか
- 示した理由は本当に説得力があるか
- 理由を証明するデータは本当に正しいか
- 構成は説得力のある順番になっているか
論理的かつユーザーが引き込まれるような記事を書くためにも、まずは構成づくりから始めてみてはいかがでしょうか。
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