プレゼンテーション(以下、プレゼン)にしろ、文書作成にしろ、他者に何かを伝える際には「論理的思考」が重要です。なかなか論理的思考ができないと悩んでいる方は、論理的思考を実践するためのフレームワークを利用することをオススメします。

今回は、論理的思考を深めるために知っておきたい「帰納法」「演繹法」「アブダクション」をご紹介します。

一度理解してしまえば、文章を書く際はもちろん、普段の会話やビジネス上の話の展開方法などにも活用できます。

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論理的思考(ロジカルシンキング)とは

論理的思考とは、筋道を立てた考え方、またはわかりやすい説明を行うことを指します。社内なら対上司・部下、社外なら対クライアントなど、ビジネスシーンにおいて何かを説明する機会は日常茶飯事です。

このことからも、ビジネスマンにとって論理的思考を身に付けることは必要不可欠といえます。
  

論理的思考(ロジカルシンキング)のメリット・デメリット

1. メリット

人間が考える時、必ず用いるのが文字です。そのため、論理的思考を身に付けると、文字を用いる全ての活動においてメリットが生じます。
  

1-1. 考える能力の向上

今回解説する「帰納法」「演繹法」「アブダクション」は、考えるための基本的な方法論です。人間であれば日常的に意識せずやっていることではありますが、これらの方法論を意識することで、よりスムーズに考えをまとめたり、展開させたり、多様な切り口を思い付いたりできるようになります。

教師や上司など、目上の立場の人に「それぐらい人に聞かないで、自分の頭で考えろ」と叱られた経験を持つ方もいらっしゃるはずです。「自分の頭で考える」というのは、論理的思考を身に付け、考える能力を鍛えることです。

1-2. 書く能力の向上

論理的思考の有無は、書かれた文章に如実に表れます。論理的思考を感じられる文章には、明確な意見と合理的な根拠が過不足なく盛り込まれており、読み手をスムーズに納得させる力を持っています。

ビジネスマンなら、セールスレターや提案書など、読み手に何かしらの意志決定や行動を促す文章を書く機会も多いです。論理的思考を身に付けることで、書く文章の説得力が格段に高まります。
  

1-3. 話す能力の向上

論理的思考を意識していないと、話にメリハリがなかったり要点がぼやけていたりと、内容の伝わりにくい会話をしてしまいがちです。事実と意見をわけ、後述するMECEやロジックツリーを意識すると、話す内容がグッと簡潔になります。

論理的思考を身に付ければ、社内であれば「報連相」が上手くなり、評価を高めることにつながるでしょう。社外であれば、商談やプレゼンなどの機会に威力を発揮することでしょう。
  

2. デメリット

論理的思考にはメリットばかりではなく、デメリットもあります。論理的思考を万能視することで、逆に話の説得力や自分の行動力を失うことにもつながりかねません。

2-1. 相手の感情を考慮する必要がある

人間は論理だけで動く生き物ではありません。名著『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ著、社会行動研究会訳)は、人間が説得されるプロセスにおいて、いかに感情の力が影響しているかを描き出しました。

論理的思考は、話の説得力を高めます。しかし、実際に人を行動へ促す際には論理だけではなく「女優の○○も使っている!」「今だけ○○%オフ!」といった感情に訴えかける文言が威力を発揮することがしばしばです。

論理的思考が不要というわけではありませんが、そこに感情というスパイスを加えることを意識するべきです。

2-2. 行動力が失われることがある

論理的思考に囚われすぎると、考え過ぎの状態に陥っていつまでも行動できなくなってしまう可能性があります。後述しますが、論理的思考というのは事実と意見を明確にわけることが原則です。この時、「事実」というのは過去のデータや体験を利用することになります。

人間の行動力を奮い起こすのは、緻密な論理的思考よりも非合理的なほどの情熱であることが多いものです。「とにかくやる」という姿勢が仕事の生産性を高めるというのは、多くの自己啓発書やビジネス本が教えるところでもあります。

参考:
ロジカルシンキングの弱点を考えてみた:ロジックを超えたロジックの話 | メタップス社長 佐藤航陽のブログ