マーケティング担当者の業務は、市場調査や競争分析、顧客ニーズの把握、プロモーション・広告コンテンツ制作、顧客対応など多岐に渡ります。

様々な業務を兼任する中で、少しでも業務を効率化して成果の出る施策や新規企画に集中したい方も多いのではないでしょうか。そのような時は業務改善や効率化をするフレームワークECRS」を活用してみましょう。

この記事では、ECRSを活用したマーケティング業務の改善方法を事例と併せて解説します。

目次

  1. ECRS(イクルス)とは
  2. ECRSの4つの原則
  3. マーケティング担当者がECRSを活用するメリット
  4. ECRSを活用したマーケティング業務の改善例
  5. ECRSを活用する際の注意点
  6. ECRSを活用して日々の業務を見直そう!

▼ECRSのフォーマットはこちら

ECRSで整理する、業務効率化のためのフォーマット

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ECRS(イクルス)とは

ECRS(イクルス)は、業務効率化を図るための視点と順番を示したフレームワークであり、以下4つの要素の頭文字を並べた言葉です。

  • Eliminate(イリミネイト):排除
  • Combine(コンバイン):結合と分離
  • Rearrange(リアンジ):入れ替えと代替
  • Simplify(シンプリファイ):簡素化

元々は製造業で使われてきたフレームワークですが、現代ではサービス業や営業、マーケティングなど様々な業務の効率化に用いられています。

一般的に、ECRSを活用して業務を効率化するには「E→C→R→Sという順番で業務を見直していくことが重要です。

ECRSの4つの原則

ECRSの4つの原則について、それぞれの概要や具体的にどのような視点で見直しを行うのかを解説します。

ECRSとは.png

Eliminate(イリミネイト):排除

まずは「Eliminate(排除)」の視点で、普段行っている業務の中で排除できるものがないかを検討します。不要な業務の排除はコストや手間をかけずに実行できるとともに、業務改善において最も高い効果が期待できるため、一番最初に行うべきとされています。

Combine(コンバイン):結合と分離

Eliminateの検討を行ったら、次は「Combine(結合と分離)」の視点で業務を見直します。Combineでは、類似している業務を結合して一本化したり、逆に一つにまとまっている業務を複数に分割したりといったことを検討します。

複数の部署が同じような業務を行っている場合、それを結合することで人員の削減を図れるでしょう。また、工程が多く一つのチームで行うには難易度が高い業務がある場合は、複数のチームに分けて対応することで効率化できる可能性があります。

Rearrange(リアンジ):入れ替えと代替

Rearrangeでは、業務の内容や順序を入れ替えたり代替手段を見つけたりすることで業務の効率化を図ります。

例えば、社内稟議を通す際に滞りが頻発している場合は、フローを見直して工程を入れ替えることで、工数や時間を削減できる可能性があります。

また、紙ベースのやり取りをしている場合は、代替手段として電子化ツールを導入することにより、業務効率化につながるでしょう。

Simplify(シンプリファイ):簡素化

最後のステップは「Simplify(簡素化)」です。それぞれの業務を見直し、複雑になっている業務を自動化・パターン化することで簡素化できないかを検討します。

業務を簡素化できれば、業務に必要な人員や時間を削減できることはもちろん、ミスを減らすことも可能です。

マーケティング担当者がECRSを活用するメリット

ここまでの内容を踏まえると、マーケティング担当者がECRSを活用することで以下のようなメリットが期待できます。

  • 業務フローを最適化できる
  • 余分な工数を削減できる
  • ヒューマンエラーを防止できる
  • 生産性が上がる
  • コア業務に集中できる

ECRSを活用して業務改善をすることで、業務フローや人員の配置などを最適化できるので、工数やヒューマンエラーを削減しつつ、生産性アップを図ることが可能です。また、普段の業務を効率化できれば他のマーケティング業務やコア業務などにも注力できます。

「注力したい業務があるけど手が空かない」「非効率な業務フローになっていると感じる」などの悩みを抱えている場合は、ECRSを使って業務を見直しましょう。

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ECRSで整理する、業務効率化のためのフォーマット

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ECRSを活用したマーケティング業務の改善例

ここでは、ECRSを活用してマーケティング業務を改善する場合の例を6つのSTEPで解説します。

STEP【1】自身の業務を整理

まずは普段行っている業務をすべてリストアップします。それぞれの業務をどの程度の頻度で行っていて、どれくらいの時間を割いているのかを洗い出しましょう。

日報を書く習慣をつけると、自身の業務を簡単に振り返ることができるのでおすすめです。

STEP【2】Eliminateで無駄な業務を排除

すべての業務を洗い出したら、「Engage(排除)」の視点で不要な業務がないかをチェックしましょう。不要な業務を見つけ出すには、以下のような視点で必要性を評価します。

・本当に必要か
・明確な目的や実施理由はあるか
・ただ慣習的に続けている業務はないか

▶ 以前から慣習的に続けている業務はないか?

例:以前から計測している指標の棚卸し
現在のKPIと合致しているかをチェックし、合致していなければ計測をストップ

例:ルーチンの報告会や定例会議の整理
会の実施が改善につながっているかチェックし、つながっていなければ実施をストップ

STEP【3】Combineで類似する業務をまとめる、分ける

不要な業務を排除したら、「Combine(結合と分離)」の視点で類似する業務をまとめたり分けたりします。業務を結合・分離する際の視点の例は、以下の通りです。

・複数の部署やメンバーが同じような作業を行っていないか
・一つの成果物を作るのに何種類ものツールを使っていないか
・分割することで簡略化できる業務はないか

また、マーケティング業務を効率化する際は、以下のような視点で業務を見直すと良いでしょう。

▶ 他のメンバーが行っている作業と重複はないか?

例:複数の担当者が同じような指標を計測している
作業担当を一人にする

▶ 同じタイミングで処理した方が効率がよい作業はないか?

例:Wordで原稿チェック、ツールで画像作成、管理画面で入稿、というフローになっており、各ツールを行き来している
原稿チェックを入稿後にまとめて行い、完了後に画像をまとめて作るというフローにして、ツールを行き来する手間を減らす

▶ 他のメンバーと分担したほうが効率がよい作業はないか?

例:1人の担当者がTwitterやFacebook、Instagramなど複数のSNSを運用している
FacebookやInstagramに精通した他の担当者に任せ、自身はTwitter運用に集中する

STEP【4】Rearrangeで業務フローを見直す

業務の排除・結合・分離ができないかを検討した後は、「Rearrange(入れ替えと代替)」という視点で見直しを行います。Rearrangeを検討する際の視点は、以下の通りです。

・手戻りが頻発している業務はないか
・順番を入れ替えることで効率化できる業務はないか
・より効率的に業務を遂行できる人員・手段はないか

▶ やり直し、手戻りが発生しやすいフローになっていないか?

見直し前 見直し後
1.ページ改修の提案
2.上長による許可
3.ページ構成案提出
4.上長による確認
5.修正
6.上長による再確認
7.公開
1.ページ改修の構成案提出
2.上長による確認
3.修正
4.上長による再確認
5.公開

上記のようにページ構成案を前倒しすることで、上長指示による修正時間を削減可能です。

Webサイトのイメージ作成を効率化したい場合は、見たまま編集ができるCMS「ferret One」もおすすめです。

STEP【5】Simplifyで業務をわかりやすく

最後に、「Simplify(簡素化)」の視点で業務をわかりやすくしましょう。複雑な手順・フローをシンプルにするとともに、誰でも理解しやすい形に整えるのが効果的です。

この工程では、以下のような観点で見直すのが良いでしょう。

・ツールを活用して定例的な作業を自動化・効率化できないか 
・テンプレートを作成して、繰り返し発生する資料作成の時間を短縮できないか
・業務マニュアルを作成し、ヒューマンエラーや人材育成にかかる時間を削減できないか

▶ 自動化できるルーチン作業はないか?

例:サイト更新作業の依頼文章を毎回作っている
Slackの「ワークフロー機能」を使って自動化する

参考:Slack ヘルプセンター「ツールの連携とタスクの自動化」

▶ アウトソーシング、あるいは内製化した方が効率的なことはないか?

例:サイトの文言を修正したいが、外部業者やデザイナー・エンジニアに頼むと時間がかかる
CMSを導入して内製化する

なお、ferret Oneなら自分たちで簡単にサイトを作成・修正できるため、「Webサイトの作成・更新を内製化したい」という場合におすすめです。

▼ferret Oneの詳細はこちら

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STEP【6】振り返りと改善

ECRSの順に業務を見直したら、定期的に成果の振り返りを行いましょう。業務改善を行う前と比較し、「工数は削減できているか」「他の業務にもリソースを割けるようになったか」などをチェックします。

想定していたよりも業務改善の効果が感じられない場合は、改めてECRSに沿って見直し・改善することが大切です。

ECRSを活用する際の注意点

ECRSを活用する際には、以下の2つに注意しましょう。

  • 目的を明確にする
  • 他の部署やメンバーと連携する

業務改善に取り組む際は、「現状担当している業務の工数を〇時間削減する」「4つ持っている業務を2つに減らす」などの具体的な目標を決めることが重要です。

目的を明確にすることで、振り返りの際に効果を定量的に評価できます。また、周囲の関係者と協力して取り組むことも大切です。

特に、チームで進めている業務の改善を行う場合は、各部署が独立して業務改善を進めると逆に業務効率が低下してしまう恐れがあります。関係者間で密にコミュニケーションをとりながら、業務の見直しを行いましょう。

ECRSを活用して日々の業務を見直そう!

ECRSは、「業務を効率化したい」「他の業務に取り組むためのリソースを確保したい」といった場合に役立つフレームワークです。今回紹介した手順に沿って実施するとともに、関係者と連携をとりながら進めていきましょう。

ECRSで業務効率を改善する際は、以下のフォーマットをご活用ください。

ECRSで整理する、業務効率化のためのフォーマット

ECRSで整理する、業務効率化のためのフォーマット