企業のコーポレートサイトには、住所や資本金などの基本的な情報を公表するだけでなく、企業のイメージアップにも貢献するような情報を入れた方がいいでしょう。

イメージアップにつながる情報の1つとして、「CSR」があります。
CSR」とは企業の社会的責任を指します。CSRの取り組みを掲載することで、顧客や取引先だけでなく地域社会に対しても、「弊社は世の中をよくするために尽力している」というメッセージを伝えることができます。

今回は、CSRとは何なのか、そして企業活動事例、ホームページへの掲載方法を、事例をもとにご紹介します。企業のアピール方法に悩んでいる方は、まずは手軽に行えるコーポレートサイトの見直しを考えてみましょう。

CSRとは

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略称で「企業の社会的責任」を意味し、『広辞苑』では下記のように解説されています。

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)
企業は利益を上げ、最低限の法的責任を果たすだけでなく、企業活動を通じて市民や地域、社会の要請に対し積極的に貢献すべきとする考え。

企業はビジネスを行う以上、商品やサービスだけでなく従業員や生産拠点を通して社会と繋がっています。その中に企業がいることにより社会に悪影響を及ぼすようなことはあってはいけません。
企業には「社会的責任」を果たし、社会に良い影響をで与え続けることが求められています。

企業がCSRに取り組む最大のメリットは、社会からの信頼を得られる点にあります。
また、それ以外にも下記のようなメリットがあります。

・ 法令違反など、社会の期待に反する行為によって、事業継続が困難になることの回避
・ 組織の評判、知名度、ブランドの向上
・ 従業員の採用・定着、士気向上、健全な労使関係への効果
・ 消費者とのトラブルの防止・削減やその他ステークホルダー(取引先や地域など)との関係向上
・ 資金調達の円滑化、販路拡大、安定的な原材料調達

引用:やさしい社会的責任― ISO26000 と中小企業の事例 ―

工場による環境汚染や、労働基準法を無視した労働環境などは大きなニュースとして報道されることもあり、企業の信頼性を確保する上で大切な視点と言えるでしょう。

企業のCSR活動事例

CSRにおける取り組みを消費者や社会全体に伝えるために、ホームページで掲載を行っている企業をご紹介します。
掲載内容だけでなく、事業に内容に合わせた取り組みを行っていることに注目してみてみましょう。

ヤマトホールディングス

CSRの取り組み|ヤマトホールディングス.png
CSRの取り組み|ヤマトホールディングス

宅配大手のヤマトホールディングスでは、安全運転を行うための教育体制や、CO2排出量の少ない低公害車の導入実績などを紹介しています。

くらしのサポートサービスとして提供しているコミュニティ拠点「ネコサポステーション」の紹介ページでは、サービスの提供先である多摩市や都市再生機構の担当者の方の声も掲載しています。

富士フィルム

CSR(企業の社会的責任)の取り組み___富士フイルム.png
[CSRの取り組み|富士フィルム]
(http://www.fujifilm.co.jp/corporate/environment/index.html?_ga=1.228025693.1102691693.1481086623)

カメラ製品を中心に展開している富士フィルムでは、CSRの取り組みとして分野ごとに細かく分けたページを掲載しています。
コンゴ民主共和国や南スーダンなどの紛争地域で現地の武装集団の資金源となっている鉱物を原材料として仕入れないことや、工場での水の使用量などを明らかにしています。

オムロン

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CSR(企業の社会的責任)|オムロン

体温計を中心としたヘルスケア製品のメーカーであるオムロンは、血圧計の開発などを通して心臓病の予防に貢献していることを掲載しています。

このような事業活動を通じた社会貢献をCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)といい、新たに社会的な課題を解決するアイディアが生まれることが期待されています。

参考:
共通価値の創造(CSV)

カルビー

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社会・環境活動|カルビー株式会社

食品メーカーのカルビーでは取り組みの分野ごとだけでなく、CSRで重視している課題についても掲載しています。

第三者の意見として一般社団法人 品質と安全文化フォーラム代表理事からの取り組みへの評価も掲載しているのも特徴的です。

CSRページの作り方

ご紹介してきたようにCSRへの取り組みはサービスの内容や業態によって異なります。
そのため、掲載する際は自社の規模や内容に合わせて変えるようにしましょう。

ページの構成としては、取り組んでいる内容ごとにまとめていく方法の他に2つの分類方法があります。
たくさんの取り組みを行っているほど掲載するページが多くなりがちなので、消費者にとって分かりやすい分類を行うよう気をつけましょう。

ステークホルダーごとに作る

ステークホルダーとは、社員や株主、取引先のほか、消費者や地域住民などの企業と利害関係を持つ人や組織を指します。
それぞれのステークホルダーに対して貢献している内容を記載することで、ホームページを見た人に取って自分に関係のある項目を参照することができます。

具体的には下記のような分類が考えられるでしょう。

・株主…経営情報の公開、組織体制の強化
・取引先(顧客)…フェアアトレード、お客様窓口の設置
・従業員…ハラスメントの防止など労務環境の改善
・地域社会…地域住民への工場見学会の実施、ゴミ拾いなどの環境活動

例:
NTT東日本
[三菱UFJフィナンシャルグループ]
(http://www.mufg.jp/csr/)

ISO26000の中核主題に合わせて作る

企業の社会的責任に関わる国際的規格ISO26000では、CSRの中心として取り組むべき課題を中核主題として7つ定めています。
少し難しい言葉が並びますが、体系立てられた掲載を行えます。

参考:
[やさしい社会的責任― ISO26000 と中小企業の事例 ―]
(http://iso26000.jsa.or.jp/_inc/top_iso/2kaisetsu.pdf)

具体的には下記のような掲載内容が考えられるでしょう。

・組織統治…企業理念、経営情報の公開、組織体制の強化
・人権…発展途上国の拠点での児童労働の禁止、ハラスメントの防止への取り組み
・労働慣行…労務環境の改善
・環境…工場による環境汚染の防止、ゴミ拾いなどの環境活動
・公正な事業慣行…フェアトレード、経営情報の公開、公正取引に関わる法令の遵守
・消費者課題…食の安全など
・コミュニティへの参画及びコミュニティの発展…地域住民への工場見学会の実施

例:
ALSOK

まとめ

今回はコーポレートサイトCSRへの取り組みを紹介している企業の事例をもとに、ホームページへの掲載方法について解説しました。
ご紹介した企業は規模の大きな企業が多く、最初は「こんな大きな取り組み、自社ではやってないよ」と思われる方もいるかもしれません。
ですが、CSRは企業として「どのように社会に貢献しているか」という幅広い内容を含んだ概念です。規模は違っても、消費者にとって役に立つものを提供していることはどこの企業でも同じでしょう。

CSRの概念に照らし合わせながら、自社行っている取り組みを見てみると新しい発見があるかもしれません。
まずは小さな取り組みでも、ホームページを使ってアピールポイントに変えてみましょう。