5月になり、新入社員教育も落ち着いてきた頃ではないでしょうか。
学生から社会人になった社員だけでなく、他の部署から異動してきた社員も部署の仕事に慣れてきた頃かもしれません。

管理職のみなさんにとっては仕事内容の指導から一歩進んで、部下の内面や仕事への姿勢について注目し始めた方もいるでしょう。
その中で「部下の気持ちがわからない」「どう話しかけたらやる気を出してくれるんだろう」という悩みに直面した時、部下のタイプについて考える必要があります。

今回は内向的・外向的などの人間のタイプについて解説します。

一般的に「内向的」と聞くと、根暗や社会不適格者といったネガティブなイメージを抱く人もいるかもしれません。しかし、そのようなイメージは「内向的」という言葉を生み出したユングの認識とは異なることをご存知でしょうか。
ぜひこの機会に内向的・外向的というタイプが持つ性質を正しく理解して、部下への接し方の参考にしていきましょう。

内向的・外向的とは

「あの人は内向的な人だ」という言い方を聞いたことはありませんか?
その言葉の意図するものとしては「消極的な」「あまり人と接することのない」といったものがあるでしょう。

この「内向的」という言葉は、スイスの心理学者ユングが提唱した性格分類をもとに広がった概念です。ユングは人間にはおおよそ2種類のタイプがあって、物事に対して内向的な人と外向的な人がいると指摘しました。

それでは、それぞれどういった性質をもっているのでしょうか。解説します。

参考:
『広辞苑第六版』岩波書店2008

A.内向的(introvert)

内向とは「ある人の関心や興味が心のうちに向かっていて、主観的な物事に重きをおいている状態」を指します。
内向的な人は、新しい物事や人に出会った時には困惑してしまい、押し黙ってしまったり、場に合わせて賑やかしのようなことをしてしまって後で公後悔してしまったりするでしょう。

逆に親しい人の間では能力を発揮し、他の人が驚くような成果を見せることもあります。
自己批判的で自信がないながら、いったん思い込むと多少の障害には動じないといった特徴も挙げられるでしょう。

また、ユングは内向的な人がなりやすい病として「精神衰弱症(paychashenia)」を挙げています。これは他の人との関係を断ち切り、自分の心の中で起こる葛藤に苛まれてしまうことで精神が弱体化してしまうためです。

B.外向的(extravert)

内向が心の内側に向かう動きである一方、外向とは「ある人の関心や興味が外界の出来事や人に向かい、それらとの関係によって成り立っている状態」を指します。
外向的な人は、新しい物事や人にも動じず、むしろ積極的に話しかけ、不慣れな環境でもすぐに適応します。

交友関係も広く、多くの人とスムーズに業務にあたれる一方、発言や考えが表面的なものになることも多く、ちょっとした障害につまづくという特徴も挙げられるでしょう。

ユングは外向的な人がなりやすい病として「ヒステリー」を挙げています。
他人の注意を自分に引きつけようとする自己顕示性などがもととなり、外界へ向きすぎたエネルギーを無理に内側に向けようとする無意識から障害が起こるためです。

内向的・外向的な態度に対応する4つの心理機能

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内向的・外向的とは、必ずしも二分できるものではありません。
内向的な傾向の強い人であっても、外向的な性質を見せることもあるでしょう。

また、内向的な性質を持っていたとしても、それぞれの人が得意とする心理機能によって、タイプは異なります。
ユングは、心理機能を「思考・感情・感覚・直観」の4つにわけ、それぞれ内向的・外向的というタイプに結びつけて説明しました。

思考(thinking)…物事に対して原理や物事同士のつながりを考える機能
感情(feeling)…物事に対して受け入れるか否かを気持ちによって判断する機能
感覚(sensation)…物事に接した時、ものの形や色を的確に捉える機能
直観(intuition)…物事そのものというより、背後にある可能性に気づく機能

なかでも思考と感情、感覚と直観は真逆の性質を持っていて、どちらかの性質が強い人はもう片方の力が弱いのが特徴です。

1-A.内向的思考型

内向的思考型の人は、自分の内側にある考えをもとに思考を巡らすタイプです。考えの深さから尊敬を集めることもありますが、その考えの深さを他の人に披露したり、教えたりといったことはあまり興味を持ちません。

1-B.外向的思考型

外向的思考型の人は、外界からの知識や他の人への考え方をもとに思考し、客観的な事実による理論を組み立てる傾向にあります。
社会の役に立つ理論や組織を組み立てることもありますが、一方では他の人を自分の理論に従わせようとしてしまうのも特徴でしょう。

2-A.内向的感情型

外からみると控えめで無感動なように見えるけれど、内側では同情や共感といった繊細な感情を持っているタイプです。
感情をうまく伝えられる環境であれば暖かく親切な人として交友関係を築けますが、自分の感情表現ができない環境では、心身を衰弱させてしまう危険性があります。

2-B.外向的感情型

自分の気持ちに従って生きながらも、よく気がきき、愛嬌を持って交友関係を築くタイプです。あまりに外向的になりすぎると、個性がなくなるだけでなく、感情の否定に走ってしまう場合もあります。その際には、未熟な思考機能が働き、感情的で稚拙な論理を展開してしまう可能性があるでしょう。

3-A.内向的感覚型

外からの刺激を吸収し、じっくりと自分の感覚として取り込むタイプです。その人自身の感覚で物事を捉えてしまうので、他の人との意思疎通のなかで誤解を受けてしまうことがあります。

3-B.外向的感覚型

外向的感覚型の人は、客観的な事実をそのまま受け入れるリアリストとしての側面を持ちます。このようなタイプの人は流行に敏感で物事を適当に楽しむことができますが、行き過ぎると快楽主義者となる場合があります。

4-A.内向的直観型

自分の心のなかでの出来事に関心を向け、その中から可能性を見出すのが得意なタイプです。社会に対して興味がなく、非生産的なため周囲から過少に評価される傾向にあります。
一方では、自己の表現手段を見つけることで、優れた思想家・芸術家になることもあるでしょう。

4-B.外向的直観型

社会の出来事や出会った人の中から可能性を見出し、思いつきで新しいアイディアへと取り組むタイプです。興味が常に新しいことに移るので、画期的な発明やビジネスを思いつくものの、安定して一つの仕事に取り組むことが難しい傾向にあります。

参考:
河合隼雄『ユング心理学入門』培風館1967

まとめ

内向的・外向的という概念は、ユングが提唱した性格分類をもとに広がったものです。
興味関心が内側に向くか外側に向くかという点で分けられており、内向的な人が必ずしも無気力で消極的であるということはありません。

また、内向的・外向的という物事に対する態度の違いとともに、得意な心理機能によっても人のタイプは異なります。

人間は必ずしも今回紹介した8つのパターンに分けられるわけではありません。
ですが、自分自身や部下あるいは職場の同僚などがどういったタイプの人間か考えることで、それぞれの苦手と得意なことを把握する手助けになるでしょう。