Twitterは2017年5月17日、プライバシーポリシーの変更を行いました。
ログイン時にポップアップで表示されたこともあり、変更されたこと自体をご存知の方は多いでしょう。

この変更はユーザーのデータ取得及び使用方法の変更に合わせたもので、一般のユーザーだけでなく、広告主の企業にも影響があります。

今回は、Twitterのアップデートにおける変更点と、変更によってどういった影響が出るのかを解説します。
「変更されたことは知ってるけど、何が違うのかは知らない」「とりあえず同意したけど、意味はよくわかっていない」という方は必見です。

参考:
新しいデータコントロールとプライバシーポリシー|Twitter
[Twitterのプライバシーポリシーが新しくなりました|Twitterヘルプセンター]
(https://support.twitter.com/articles/20174639?lang=ja)

アップデートによる変更点

5月17日に行われたアップデートでは、新しいデータ管理機能の公開と、それに伴うプライバシーポリシーの変更が案内されました。

それでは具体的に、どういった機能が追加されたのでしょうか。
特に大きな変更点を4つ紹介します。

1.Twitterが利用しているユーザー情報を確認・編集できるようになりました

以前からTwitterではツイート内容などから年齢や嗜好を推測し、属性を絞って配信できる広告機能を公開しています。
例えば「秋葉原周辺からゲーム関連のツイートしていることが多いユーザーには、東京ビックサイトで開催されるゲーム展の広告」「梅田周辺から仕事関連のツイートをしていることが多いユーザーには、大阪駅にある貸し会議室の広告」というように、属性に合わせて配信されます。

しかし、配信のもととなる情報はツイート内容や基本情報から得た推測にすぎません。
そのため、Twitter側で推測した情報が間違っていた場合、自分の嗜好には合わない広告が配信されてしまっていました。

今回のアップデートでは、Twitterが独自に推測していた性別や年齢などを自分で確認し、自由に編集できるようになります。
間違っていた情報は訂正できるので、自分の正しい属性や嗜好にあった広告を受け取れるようになるでしょう。

2.個人を特定できない情報の提供がプライバシーポリシーに加わりました。

広告代理店などの一部のTwitterパートナーは、データの利用に同意しているユーザーに限り、ユーザーの基本情報を取得できます。
それに加え、個人を特定できない情報がTwitterパートナーへと共有されるようになります。

では、「個人を特定できない情報」とは、どのような情報を指すのでしょうか。

Twitterは、人々がツイートをした回数、特定のリンクをクリックしたまたはツイートで調査に回答したユーザー数(1人だけの場合も含む)、端末またはその利用者の特性(端末が広告を受信できる場合)、特定の場所で人々がツイートしている話題、または広告を閲覧したりクリックしたユーザーに関する広告主への集計ベースや端末レベルのレポートなどの、非個人情報、集計情報、または端末レベルの情報を共有または公開することがあります。
*引用:*https://twitter.com/privacy?lang=ja#update

Twitterではプライバシーポリシー上で上記のように説明しています。
上記にあるように、個人を特定できない情報とは、ツイートをした回数や地域ごとに人気の話題といった情報であり、メールアドレスやユーザー名は含まれません。

3.Twitterに提供するデータの制限が行えるようになりました。

ユーザー自身でTwitterに提供する情報に制限をかける機能も拡充されました。
「カスタマイズとデータ 」設定の新設により、位置情報やTwitterにアクセスしているホームページの情報を細かく制限できるようになっています。

Twitter___設定4.png

例えば上記のように、「位置情報をもとにカスタマイズ」のチェックボックスを外すと、位置情報をもとにした広告配信は行われなくなります。
設定を自分好みに変えることで、個人情報を広告配信に利用されたくないユーザーでもTwitterを気兼ねなく楽しめるでしょう。

参考:
[Twitterコンテンツを閲覧したウェブの場所に基づくカスタマイズ|Twitterヘルプセンター]
(https://support.twitter.com/articles/20169942)

4.カスタマイズのデータが端末間で共通化されました。

Twitterを複数の端末で利用している場合、それぞれの端末でログインした時の情報に合わせて広告配信が行われていました。

アップデート後は、別端末を利用している時に取得した情報も広告配信の参考にされるようになります。
例えば、スマートフォンでスポーツメーカーのホームページを見ていた場合、パソコンでもスポーツ系の広告が出やすくなるでしょう。

今後も端末ごとに広告配信に利用する情報をわけたい場合は、「カスタマイズとデータ 」内にある「すべての端末間でカスタマイズ」のチェックボックスを外すことで分けることができます。

参考:
[複数の端末におけるカスタマイズについて|Twitterヘルプセンター]
(https://support.twitter.com/articles/20175310)

アップデートによる影響

では、アップデートの内容により、具体的にはどういった影響が現れるのでしょうか。
「一般ユーザー」と「広告主」の両面で見てみましょう。

一般ユーザー

ユーザーはTwitter側で利用する自身の情報を管理できるようになります。
広告配信のために提供する情報設自由に決められるので、自分の興味のない広告が表示される確率が低くなるでしょう。

【ユーザーデータの編集】
Twitter>設定とプライバシー>Twitterデータ

Twitter___設定.png

【広告配信設定の切り替え】
Twitter>設定とプライバシー>プライバシーとセキュリティ>カスタマイズとデータ

Twitter___設定2.png

広告主

ユーザーが自分の情報を正しく変更できることで、広告を配信している企業にとってはターゲティングの精度が上がる可能性があります。

2014年に総務省が行った調査によるとTwitterユーザーのうち76.5%ものユーザーが匿名で利用していることがわかっています。
このようにTwitterには高い匿名性があり、入力されている誕生日や位置情報も誤った内容で記載されている場合がありました。

そのため実名での利用を義務付けているFacebookと比較すると、ターゲットとなる属性の情報に信ぴょう性を持てない広告主も多かったでしょう。
ユーザー自身が正しい属性を修正すれば、その精度は高くなります。

また、属性による広告配信には繋がらなくても「個人を特定できない情報」を活用することで、企業にとって有益な情報が得られるかもしれません。

参考:
平成27年度情報通信白書|総務省

まとめ

2017年5月17日にTwitterから公開されたアップデート内容は、ユーザーがTwitterに提供するデータのコントロールに関連したものです。
Twitterが利用するユーザーのデータのうち、ユーザー自身が編集できる内容が拡充され、提供するか否かの判断もユーザー自身で決められるようになりました。

ユーザーは自身のどういった情報が広告に利用されているか細かく知れるようになり、間違った情報は自分の手で編集できます。
正しい情報への修正が進めば、広告の属性配信の精度は上がるため、広告主にとっても注目したい機能と言えるでしょう。

最新のプライバシーポリシーだけでなく、過去のプライバシーもTwitterは公開しています。
以前の内容と見比べて、どのような表記が加わっているのか改めて確かめてみるのもいいでしょう。

参考:
Previous Twitter Privacy Policies|Twitter