ネットショップ販売で守るべき5つの項目

「医薬品」をネットショップ販売する上で守らなくてはいけない5つの項目を紹介します。
なお、実際の販売にあたっては「厚生労働省のホームページ」、もしくは厚生労働省が発表する「一般用医薬品のインターネット販売について(PDF)」を必ずご確認ください。
  

1. 有形店舗が運営すること

「医薬品」のネットショップ販売は「有形店舗(実店舗)」を運営していることが前提となります。ネットショップのみでの運営はできません。
実際、アマゾンジャパンが日本国内で「第1類医薬品」を販売を始めた際も「アマゾンファーマシー」という有形店舗を登録しています。

有形店舗(実店舗)は、週に30時間以上を目安に運営し、購入者の見付けやすい位置に標識を設け、用意に出入りできる構造であることが求められます。ほかにも、照明は60ルクス以上、実際に陳列されている商品をネットショップで販売することが条件として定められています。

参考:
Amazon.co.jp ヘルプ: 一般用医薬品、動物用医薬品に関する表示
  

2. 薬剤師の駐在

「第1類医薬品」を販売するためには、薬剤師による確認と情報提供が必要です。ネットショップ販売の場合は、メール等でやり取りを行うため、営業時間内に薬剤師が有形店舗に常駐していなければなりません。また、薬剤師の氏名や出勤シフトをネットショップ内に掲載します。販売時には、販売した薬剤師の氏名、販売時間などの記録を保存するというルールがあります。
  

3. 電話や対面での連絡先の明記

医薬品のネットショップ販売は、基本的に薬剤師とのメール等で確認を行った後に販売します。ですが、電話や対面での相談に対応できるように、住所や電話番号など連絡先を明記する必要があります。営業時間内の連絡先はもちろん、営業時間外の連絡先も明記します。
  

4. ネットでの販売が禁止されている医薬品を取り扱わない

ネットショップで販売できない医薬品もあります。「医療用医薬品」は、医師による処方箋が必要であるためネットショップでの販売はできません。また、「要指導医薬品」についても対面販売の義務があります。
  

5. 広告の禁止(口コミ・レビュー含む)

医薬品は購入者による口コミ、レビュー、レコメンドを禁止しています。ネットショップの売上に関わる「レビュー」ですが、医薬品である以上、絶対に掲載はできないため注意しましょう。

参考:
一般用医薬品のインターネット販売について PDF
  

ネットショップでの医薬品販売に対するニーズとは

ここまで紹介してきたように、「医薬品」のネットショップ販売を行うためには、有形店舗を持ち、薬剤師を雇用し、環境を整える必要があります。そのため、簡単には参入できない市場といえるでしょう。しかし、消費者のニーズがあるのも事実です。身体的な理由で移動が困難な方や、生活時間の関係で営業時間に入店できない方だけではなく、コンプレックス系商品(育毛剤など)を購入したい場合などがニーズとして挙げられるでしょう。

実際、大阪薬科大学が行った2013年に行った調査によると、ネットでの医薬品販売に対して「良いことだと思う」「どちらかといえば良いことだと思う」と答えた人は68.5%にものぼりました。また、2015年に「くすりの適正使用協議会」が発表した資料によると、ネットショップでの購入に対して「副作用」などの懸念よりも「価格」を重視する傾向が強いことがわかっています。また、営業時間を気にせず購入できることを評価する傾向があり、購入自体に不安は感じない方が半数を超えるという結果です。

購入時のリスクに対して不安を感じなさ過ぎるのは問題ですが、一方で非常に需要が高いことがわかります。

参考:
一般用医薬品のネット販売解禁から半年後の実態調査結果を発表
一般医薬品のインターネット販売に対する生活者の意向