コスト削減などを目的として近年「仮想マシン」が注目を集め、"仮想化" "仮想マシン"という言葉を見聞きする機会が増えました。

しかし、聞いたことはあるけれど具体的にはどういったものなのかよくわかっていない……という方も多いのではないでしょうか。パソコン利用が当たり前となっている今の時代、ビジネスマンなら必ず知っておきたいものです。

そこで今回は、"仮想マシン" "仮想化"とは何なのか?その基礎知識や特徴などについてわかりやすくご紹介します。

ビジネスシーンでよく耳にする言葉ですので、今さら聞けない!と感じている方は、ぜひ目をとおしてみてください。

目次

  1. 仮想化とは?
  2. 仮想マシンの基礎と、できること
  3. 仮想化の2つの手法とホスト OS・ゲスト OSについて
    1. ホスト型
    2. ハイパーバイザー型
    3. ホスト OS・ゲスト OS
  4. 仮想マシン誕生の歴史
  5. 仮想マシンが導入されている理由
    1. サーバー台数を減らすことによるコスト削減
    2. 管理の手間が減らせる
    3. すぐにサーバを用意できる
    4. 複数のオペレーティング・システムが使える
  6. まとめ

1. 仮想化とは?

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そもそも仮想化とは一体どういう意味なの?と思っている方も多いのではないでしょうか。

仮想化(Virtualization)とは物理的な環境にとらわれることなく、ハードウェアに含まれるCPU、メモリなどのリソースを論理的に分割・統合する技術のことをいいます。仮想化にはサーバ仮想化・ストレージ仮想化・ネットワーク仮想化……などいくつかの種類があります 。

本記事で紹介する*「仮想マシン(バーチャルマシン、Virtual Machine、VM)」は、仮想化の技術を用いてコンピューターを動作させること*をいい、サーバ仮想化と同義です。どのようなものかざっくり説明すると、1つのサーバを複数サーバあるように分割し動作させることをいいます。実際のサーバが1つであっても、複数サーバを稼働することが可能です。

様々な仮想化の種類の中でも、特に実用化が進んでいるのがこの仮想マシン(サーバ仮想化)です。
  

2. 仮想マシンの基礎と、できること

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先にご紹介したとおり、仮想マシンとは1台のコンピュータで複数のコンピュータを動かす技術のことです。

専門的な用語で少し難しいイメージを持ってしまいますが、簡単にいってしまえば通常物理的に存在しているマシンを、仮想的に作り出して動かしているだけです。具体的にはWindows PC上でMacを動かす、 Windows PC上でLinuxを動かす……などの方法があります。

普通にハードウェアを稼働させるのでは、CPUなどのリソースが余ってしまい本来の性能を引き出すことができません。そこで活用したいのが仮想マシンの技術です。

仮想的に複数のサーバを作り出すことで、通常であれば余剰するリソースを最大限に活用することができます。
  

3. 仮想化の2つの手法とホストOS・ゲストOSについて

仮想化の2つの手法とホストOS・ゲストOSについて.png
仮想マシン環境を作り出すソフトには、大きくわけて「ホスト型」「ハイパーバイザー型 」の、2つの種類があります
  

ホスト型

ホスト型とは、OSに仮想化ソフトウェアをインストールし、その上で仮想マシンを動かす方式のことです。

既存のサーバーを使うことができるため、手軽に利用できるというメリットがあります。ホスト型に含まれる代表的なソフトウェア製品には、 VMware Player・VMware Fusion・Microsoft Virtual PC、Oracle VirtualBoxがあります。デメリットは、ハードウェアにアクセスする際OSを経由しなければいけないという点です 。
  

ハイパーバイザー型

ハイパーバイザー型は、ホストOSを使わず直接サーバにインストールし仮想マシン環境を作り出す方式のことです。

ハードウェアのリソースを直接管理できるというメリットがあります。 ハイパーバイザー型に含まれる代表的なソフトウェア製品には、VMware ESX・Hyper-V・Citrix XenServerがあります。

ホストOS・ゲストOS

仮想化、仮想マシン関連の用語でよく出くわすのがホストOS・ゲストOSという用語です。ホストOSとは仮想マシンにおいて基盤となるOSのこと、ゲストOSとは仮想マシン環境にインストールして稼働するOSのことです。

例えば、Windows上に仮想マシン環境を用意し、Macをインストールした場合はWindowsがホストOS、MacがゲストOSとなります。
  

4. 仮想マシン誕生の歴史

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※画像引用元:pixabay.com

最近急速に耳にする機会が増えた「仮想化」という技術ですが、実はその歴史は意外にも古いことをご存知でしょうか。

なんと、1960年代にはすでに「仮想マシン(バーチャルマシン、Virtual Machine、VM)」という言葉の使用が始まっていました。

ユーザー個別のオペレーティング・システムを動かせるように発展させることで、今でいう仮想化が生まれた。1967年、IBM System/360モデル67で実装されたCP-67/CMSが商用ベースでは、初めてのモノとされている。また、その時始めて、Virtual Machine(VM)という言葉が使われた。

このようにして、仮想化が誕生した。
引用元:「仮想化」を理解するための誕生の歴史:ITソリューション塾:オルタナティブ・ブログ

仮想マシンは新しい技術という印象がありますが、実際には昔から必要とされた技術なのです。
  

5. 仮想マシンが導入されている理由

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なぜ、多くの企業が仮想マシンをわざわざ導入するのでしょうか。

ここでは仮想マシンが導入されている理由をいくつかご紹介します。
  

サーバー台数を減らすことによるコスト削減

物理的に複数のハードウェアを用意する場合、 当然保守点検・人件費・購入費用など運用コストがかかります。しかし、仮想マシンにしてしまえばハードウェアの台数を減らすことができ、運用コストを最小限に抑えることができます。電力も減らすことができますし、スペースもとりません 。
  

管理の手間が減らせる

通常の"1つのハードウェアに1つのアプリケーション"というやり方に比べ、管理が楽になるというメリットがあります 。
  

すぐにサーバを用意できる

仮想マシンを導入していれば、1つのハードウェアで複数を動かすことができるため、新しいシステムの導入時にサーバーを用意する手間が省けるというメリットがあります。

通常新しいサーバを調達するには時間がかかりますので、すぐに用意できるというのは非常に便利な点です。少しでも迅速に対応したいというビジネスシーンにおいて、時間をかけなくてもいいのは大きなメリットなのではないでしょうか。
  

複数のオペレーティング・システムが使える

開発をする際などに、別のオペレーティング・システムでの確認が必要になったことはないでしょうか。

仮想マシンなら、例えばWindows上でLinuxを使うことができるため、別のオペレーティング・システムでサービスの確認をしたい時などに便利です。

このように、仮想マシンという技術は多くのメリットをもたらします。

ただし、全てがメリットというわけではありませんのでデメリットを把握しておくことや、注意すべき点にも目を向けることが必要です。

例えば、コンピュータに余った資源がない場合、稼働速度が遅くなる可能性も考えられます。1台程度の仮想環境を用意するならまだしも、膨大な台数を用意しなければならないとなると、コンピュータ資源が十分にないと厳しいでしょう。
  

まとめ

以上、「仮想化」「仮想マシン」の基礎知識と特徴についてまとめてご紹介しました。いかがだったでしょうか。

今回ご紹介したとおり「仮想マシン」はメリットの多い技術ですので、多数の企業で導入が進んでいます。導入・運用に関わるコスト削減だけでなく、管理の手間やサーバ導入の手間も省くことが可能です。

仮想マシンを導入することにより、業務の環境も変わってきますので、直接仮想マシンに関係のない方も、ビジネスマンなら基本的な知識は身に付けておきたいものです。また、興味がある方は実際に仮想マシンを導入してみてはいかがでしょうか。
  

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