CDNとは、コンテンツデリバリーネットワークの略称で、同じタイミングで同じコンテンツを大量の人へ送付する方のために、「サーバーの負荷を軽減する」ことを目的として誕生した新しいネットワークです。企業のWeb担当者の方やWebサイトを運営している方にとって、CDNを利用することでどのような効果が得られるのか、これまでのサーバーとは何が違うのか、という点は気になるポイントでしょう。この記事では、CDNの概要から、活用するメリット、普通のサーバーとの違いについても詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

CDNとは

CDNとはコンテンツデリバリーネットワークの略称です。なんとなく字面でイメージがつきますが、ここで言う「コンテンツ」とは何か、という点が重要になります。

コンテンツという言葉は非常に抽象的ですが、例えば定期的に世界中のWindowsユーザーに一斉配信される「Windows Update」もコンテンツの1つです。Windows Updateに含まれている情報は様々ですが、同一のタイミングで同一の内容を、世界中に配信するというのはサーバーに対して非常に高負荷のかかる作業です。

こうしたプロセスにおいて、サーバーの負担を軽減するために誕生したのがCDNで、いつも使っているサーバーとは別の「ネットワーク配信のためのサーバー」から、複数のユーザーへ同一のコンテンツを配信できるものです。

こうした大規模なコンテンツ配信を行う際にはサーバーにかかる負荷以外にも課題となっているものがありました。通信速度の低下です。インターネットはアクセス元からアクセス先にたどり着いて目的の情報を参照するために様々なサーバーを経由しなければなりません。サーバーを経由した回数をhop数と呼び、hop数が少なければ少ないほど、高速で遅延しにくくなります。日本から海外のサイトを見るときに遅延が長く感じるのは、このhop数が多くなってしまうためです。

CDNはこのhop数を少なくするために「ユーザーから最も近いサーバーから情報を配信する」ための仕組みです。これによりサーバー側の負荷を軽減し、ユーザー側から見ても遅延の少なさや通信経路のトラブルが生じにくいネットワークを実現しています。

CDNによってできるようになったこと

ここからは、CDNを導入することで企業側にどんなメリットが生まれるのか、詳しく見ていきましょう。Web担当者の方などはぜひ参考にしてみてください。

帯域制限を気にせずWeb運用が可能になる

Webサイトやメディア運用している方はレンタルサーバーを利用していることも少なくありませんが、このサーバーには帯域制限というものが存在します。例えば100Mbpsの帯域制限が課せられている場合、100Mbps以上の通信は実現できなくなるため、アクセス過多によって100Mbps以上の通信が生じてしまった場合、タイムアウトによってWebサイトやメディアが閲覧できなくなってしまうのです。

CDNを利用するとこうした帯域制限がなくなるため、アクセスが集中した場合でも問題なくWebサイトやメディアの運用が可能になります。

転送容量を気にせずWeb運用が可能になる

レンタルサーバーの多くは1日に配信できるデータの容量が制限されている場合がほとんどです。画像や動画といった容量の大きなデータを配信する場合、この制限に引っかからないように画像や動画の配信を抑えてしまい、納得の行くコンテンツ配信ができないケースも考えられます。

CDNを利用するとこうした転送容量の制限がなくなるため、重いコンテンツも問題なく配信できるようになるので、より自由度の高いWeb運用が実現できます。また、転送容量の制限が大きいサーバーを借りると費用がかさんでしまいますが、場合によってはCDNを活用したほうが費用削減にも繋がると考えられます。

サーバーのCPU負荷を軽減でき、通信障害を防止できる

WordPressなどのCMSを利用している方は多くいらっしゃいますが、こうした動的なサイトやメディアを実現するCMSではPHPプログラムの実行やデータベースリクエストといった手続きが多く発生します。

そのため、アクセスが増加するとサーバーのCPU負荷が高まり、場合によっては503エラーやゲートウェイタイムアウトといったエラーが発生してしまい、サイトやメディアの閲覧ができなくなってしまいます。

CDNによってキャッシュサーバーを置くことで、こうしたリスクを低下させられるので、Webサイトやメディアの恒常性を確保することにも繋がるのです。