オウンドメディア制作に携わる中で、読者に読みやすい記事を届けるための「校正」や「校閲」のツールは不可欠です。特にライターや編集者は、日常的に活用している方も多いのではないでしょうか。

校正・校閲ツールは、記事の誤字や脱字、表記の揺れを発見できます。ただ、全ての誤りを見つけられるわけではないので、ツールに頼りすぎるのは危険です。

誤字をできる限りなくすためには、人の目で確認する作業も大切です。コツを掴めば、ある程度誤字脱字を減らすことができます。

今回は、校正・校閲の基本的な手法について解説します。

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「校正」「校閲」は何が違う?

完成した文章をチェックするとき「校正」「校閲」という言葉を使います。この2つの言葉は「文章に間違いがないかチェックする」という意味では同じですが、それぞれチェックする内容が異なります。

校正とは:「文字の誤り」をチェックすること

校正とは、文字をチェックする作業を指します。チェックするものを「文章」ではなく「文字」として捉え、漢字や助詞の間違いなどの誤字脱字がないか確認します。

【具体例】

(誤)
feretは、Webマーケティングに携わる約36万人の会員が集う、国内最大級の実戦型Webマーケティングメディアです。

(正)
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校閲とは:「文章の誤り」をチェックすること

校閲とは、文章をチェックする作業を指します。慣用句や熟語の使い方が間違っていないかを確認します。文章全体の内容が矛盾していないか、事実と異なることを書いていないかも調査します。

【具体例】

(誤)
ferretは、Webマーケティングに携わる約36人の会員が集う、国内最高級の実践型Webマーケティングメディアです。

(正)
ferretは、Webマーケティングに携わる約36人の会員が集う、国内最大級の実践型Webマーケティングメディアです。

校正・校閲のポイント

前述したとおり、校正・校閲のためのツールは多数あります。ただ、ツールだけでは全ての間違いを発見することはできません。
ツールの利用に重ねて、人の目も加えた二重チェックを行うことをオススメします。

自分で校正・校閲を行う場合は、以下のステップを踏みましょう。

【1】執筆後、確認までタイムラグをつくる
【2】データは紙にプリントアウト
【3】項目ごとにチェックする
【4】文章を音読してみる
【5】他の人に二重チェックをしてもらう

【1】執筆後、チェックまでタイムラグをつくる

自分が執筆した文章をチェックする際は、時間を置いてから行うと効果的です。執筆直後は記憶が新しいままなので、チェックをしても執筆時と同じ見落としをしてしまう可能性があります。

夜完成したらチェックは朝にする、他の業務を挟んでからチェックに入るなど、文章を寝かせてから作業に入ることで、客観的な視点で見直しやすくなります。

【2】データは紙にプリントアウトする

パソコンで文章を執筆した場合は、紙にプリントアウトしてからチェックすることをオススメします。
パソコンのディスプレイと紙面では、見え方も変わります。特にパソコン上でスクロールしながらのチェックは、文字が追いづらく間違いを見落してしまう可能性が高くなります。

【3】項目ごとにチェックする

チェックする際は、一度の読みで全ての項目をチェックするのではなく、項目ごとにチェックを進めます
掲載メディアのレギュレーション(決まりごと)を満たしているかを確認した後、「データ」「漢字」「人名・地名」など、項目ごとにチェックしましょう。

内容に気を取られすぎない

誤字・脱字をチェックする校正段階では、文章の意味や内容を読み取り過ぎないよう気をつけましょう。
内容を理解しながら読み進めると、誤字や変換ミスがあっても勝手に頭の中で推察してしまい、見落としてしまうことがあります。

校正は、文章ではなく文字を追うイメージでチェックし、内容が読みやすいかどうかは校閲段階で確認するようにしましょう。

【4】文章を音読してみる

黙読でチェックを進めると、知らず知らずのうちに読むスピードを上げてしまい、間違いを見落としてしまう可能性が高まります。

そこで、声に出して読み上げてみることをオススメします。音読することで1文字1文字を確認できるほか、文章のリズムも感じ取れます。読者がテンポよく読み進められるような文章になっているかも確認してみましょう。

【5】他の人に二重チェックをしてもらう

最後に、別の人に二重チェックをしてもらいましょう。自分でどんなに慎重にチェックしたとしても、100%確実に間違いを発見できるとは言い切れません。

読み合わせ校正

他の人に協力してもらう校正作業として「読み合わせ校正」があります。校正者は2人1組になり、1人が原稿を読み上げて、もう1人は聞きながら原稿を見て間違いがないか確認します。

校正記号

原稿をプリントアウトして紙で校正・校閲を行う場合は、「校正記号」を用います。書き方は統一されているため、覚えておくと他社とのやり取りでも活用できて便利です。今回は利用頻度の高い記号をピックアップしました。

【1】文字の修正・削除・追加
【2】文字の入れ替え
【3】改行
【4】アルファベットの大文字・小文字の変更

【1】文字の修正・追加・削除

【1-1】文字の修正

校正・校閲_-_1.jpg

1文字の修正の場合は、修正文字に斜線を引き、修正後の文字を指示します。

校正・校閲_-_2.jpg

複数文字の修正の場合は、修正開始文字から修正終了文字までを斜線で挟み、その間に打ち消し線を引いて修正後の文字を指示します。

【1-2】文字の削除

校正・校閲_-_3.jpg

文字を削除する場合は、削除する文字に斜線を引き、「トル(トルツメ)」と書いて指示します。

【1-3】文字の追加

校正・校閲_-_4.jpg

文字を追加する場合は、「」で追加する箇所を指定し、上図のように追加する文字を指示します。なお、縦書きの場合は「」で指定します。

【2】文字の入れ替え

校正・校閲_-_5.jpg

隣り合った文字を入れ替える場合は、入れ替える文字を上図のように挟んで指示します。

校正・校閲_-_6.jpg

離れた文字を入れ替える場合は、入れ替える文字を上図のように囲んで指示します。

【3】改行

校正・校閲_-_7.jpg

改行する場合は、改行後に行末と行頭となる部分に上図のような記号を書いて指示します。

【4】アルファベットの大文字・小文字の変更

校正・校閲_-_8.jpg

アルファベットの大文字と小文字を変更する場合は、それぞれ変更したい文字を丸で囲み、大文字を小文字にしたい場合は「小」、*小文字を大文字にしたい場合は「大」*の文字を丸で囲んで両方の丸を繋げます。

まとめ

文章の校正・校閲を行う場合には、ツールの活用と人力での確認どちらも行うことをオススメします。ツールで大枠を確認した後、人の目でも念入りにチェックしてみましょう。

「たったの1文字」の間違いが、重大な誤解に繋がることもありえます。もしそれが人名であった場合は、本人にとって大変失礼なミスです。発信側の責任として、誤りはできる限り潰していくための仕組みを作っておきましょう。