Relevance(つながり)を生み出すヒントを見つける

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『Relevance(つながり):消費者及び顧客のニーズ、願望を満たすだけでなく、人口統計学及び地理学的に全体を網羅した意思決定の条件に合っている』

多くの消費者は、視覚情報を基にその商品やサービスが誰をターゲットにしたものか判断する傾向があるため、パッケージデザインなど第一印象を与える要素が非常に重要な役割を果たします。例えば、女性をターゲットにした商品の多くはピンクや淡い色を使い、男性をターゲットとしたものは黒やグレーといったシックな色を使う傾向があります。これは、消費者がもともと持っているイメージをうまく活用したアプローチではあるものの、「誰からも選ばれるブランドになる」という点を考慮すると、正しいアプローチとは言い難いのが実情です。

そこで、非常に役立つ手法がコラージュです。コラージュは、消費者が言葉で説明しづらい事柄をイメージで伝えることができるだけでなく、そこからさらに1つ1つを深堀できるため、消費者の考えをより深く理解できるというメリットがあります。

人口統計学及び地理学的に全体を網羅した意思決定の条件を見出していくためにも、年代、性別の異なるターゲットを5つほど設定し、グループごとに異なるターゲットのコラージュを作成してもらうのが良いでしょう。またグループは、できる限り性年代の異なる人々で構成し、いろいろな視点で1つのターゲット・イメージを作り上げてもらうことがおすすめです。

ただし、コラージュを作るうえで参加者に注意してもらわなければいけないのは、自分の周りにいる友人や知人を想像しながらコラージュを作成しないことです。この点が守られないと、特定の人をコラージュすることになり、非常に限定的なイメージが出来上がってしまう危険性があります。

私が定性調査でコラージュを行う場合は、必ず裁断してしまっても良いありとあらゆるカテゴリーの雑誌を用意します。例えば、男性ファッション誌、女性ファッション誌、ライフスタイル雑誌、自然をテーマにした雑誌、建築雑誌、旅行本などです。ここでの目的は、商品やサービスを使用している消費者の日常生活や考え方を深堀することなので、生活の全体像が見えるような素材が必要になるのです。

・このターゲット層の一般的な平日/休日の過ごし方について、24時間の時間割を作成してください。
・このターゲット層は、友人と食事をする時、彼女/彼氏と食事をする時、家族と食事をする時、それぞれどのような飲食店を使っていると思いますか。雑誌を使って説明してください。
・このターゲット層の平日/休日のファッションについて、雑誌を使って説明してください。
・このターゲット層が住んでいる家のインテリアについて、雑誌を使って説明してください。

これらの質問に回答してもらうことで、5つの異なるターゲット層の共通項を見出せるでしょう。また、どの流通網で最も消費者との接点を最大化できる可能性があるか、その流通網ではどのようなデザインが最も消費者の目を引くかなど、インタビューだけでは聞き出すことのできない要素を、コラージュから見つけ出すことも可能にします。