「Hey, Siri!」や「OK, Google」といったスマホに呼びかける様子から始まるCMですっかりおなじみとなった音声検索。これからはスマートスピーカーの普及により、ますます活用されていくことが予測されています。

この記事では、スマートスピーカーの普及と音声検索に関する検索アルゴリズムの進展について紹介します。

音声検索とは

音声検索とは、プレーンテキストを画面に入力するのではなく、長文の音声を検索クエリとして扱う検索システムのことです。

街中を散策している時に「ここから一番近いカフェはどこ?」とスマホに話しかけて地図やWebの検索結果からお店を探したり、家を出る前に天気予報を聞いたり、今流れている音楽の曲名を調べるアプリの”Shazam”も独自の音声検索で動いています。

スマートスピーカーの普及

現在、日本では主に「Google Home」「Amazon Echo」「LINE Clova」の3機種が一般ユーザーにも広く普及してきています。

Google Home

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Google Home

Google Homeは2017年10月6日に日本版が発売されました。Google Assistance(グーグルアシスタンス)というAIを搭載しています。

Google検索やGoogle MapsなどのGoogle関連サービスだけでなく、YouTube関連サービスともGoogleアカウントを通じて連携し操作できます。
日本語の音声認識の精度が高く、他機種よりもスムーズに操作できる点が評判を得ています。
1台あたり5アカウントまで登録が可能で、それぞれのアカウントと音声を紐付けて登録できるため、誰が話しているかを認識する話者認識機能が搭載されている点も特徴のひとつです。

音楽再生アプリGoogle Play Musicには自分が所持している楽曲を5万曲までアップロードして再生できる点や、アカウントを連携すればSpotifyやNetflixといったGoogle製ではない他社のサービスとも連携して操作可能です。

また、Actions on Googleアプリケーションを自作すればより高度な操作もすることが可能で、拡張性の高さが注目を集めている機種です。
Google Home

Amazon Echo

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Amazon echo

Amazon Echoは2018年4月3日に日本版が発売されました。Alexa(アレクサ)というAIを搭載しています。

Amazonの通販だけでなく、Amazon MusicやKindleといったAmazonのサービスと連携が可能です。
特に音楽再生に関する機能は端末間の連携がとてもスムーズで、下記のような操作ができると公式サイトに記載があります。
“マルチルームミュージック機能で、複数のEcho端末で同じ楽曲を一斉に流したり、リビングルームのEchoを通じて寝室のEchoで音楽をかけ、寝ている家族を起こすなど、家全体が音楽に包まれた生活空間へと変貌します。”

マイクの性能がよく、テレビがついている状況やAmazon Echo本体から離れた場所で呼びかけても反応する点が他機種よりも優れていると評判です。

端末を通じてメッセージ交換や通話ができる点も特徴で、家の中に複数の端末がある場合など、違う部屋の端末にメッセージを投げかけたり、スマホのメッセンジャー機能を使うようにAmazon Echoを連絡手段として使うことが可能です。

また、Kindleと連携すれば小説の朗読なども可能となり、様々な用途が想定できます。
Amazon Echo

LINE Clova

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LINE Clova

LINE Clovaは2017年10月5日に発売されました。Clova(クローバ)というAIを搭載しています。

LINEの送受信や通話、LINEニュースやLINE占いといったLINE関連サービスとの連携だけでなく、カレンダー連携や童話の朗読など様々な機能を搭載しています。

LINEの公式スタンプなどでおなじみのくまのブラウンやひよこのサリーといったキャラクターのモデルもあり、ポップで人気を集めています。

翻訳機能や音声ガイド機能など長文の音声を処理する能力も高く、家庭からビジネスシーンまで様々な利用シーンに活用が期待できる機種です。
LINE Clova

スマートスピーカーの利用シーン

Google、Amazon、LINEのスマートスピーカーが発売されて1年以上経った2019年現在、スマートスピーカーは家庭内での利用が中心に想定されています。

Google Homeは公式ページでYouTubeやNetflixとの連携ができる点や、家電との連携でスマートホーム化できる点を強調しています。

Google Home

Amazon Echoの公式ページはPrime Musicと連携ができることから音楽再生にフィーチャーしていますが、「料理、家事、子育て」のサポートができることを紹介する動画なども用意されています。

Amazon Echo

どんな時に使えるの?Amazon Echo

LINE Clovaの公式ページには「利用シーン」というページが用意されており、具体的な使い方についてイメージが湧きやすくなっています。
Amazon Echoと同様に育児や子育てといったシーンに着目していますが、LINE Clovaは「朝起きる練習に」といった項目が掲載されており、子供が自分で使うことも想定されていることがわかります。

利用シーン / LINE Clova

検索の仕組みはどうなってる?

音声検索は、入力される検索キーワードが口語体であったり文章になることで長文化しやすかったりと、テキスト検索における検索キーワードとは異なる点が多々あります。
検索の仕組みを担っているアルゴリズムは長文化した検索キーワードにどう対応しているのか、また、Webページ側ではどのような対策が必要なのかを紹介します。

ハミングバードアップデートとは

ハミングバードアップデートは2013年に実施されたGoogleの検索アルゴリズムの更新です。
ハミングバードアップデートは、複雑な検索キーワードに対してそのキーワードの文脈や意図を読み取り、関連性の高い検索結果を返すためのアルゴリズムです。
ハミングバードアップデートでは、ペンギンアップデートパンダアップデートとは異なり、コアアルゴリズム(検索アルゴリズムの基幹部分)の更新がされました。

ハミングバードアップデートの実施により、Googleの検索アルゴリズムは文章理解力が向上し、音声検索で入力した口語体の検索キーワードなども認識できるようになりました。
Googleのアルゴリズムについては以下の記事でも詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。

SEOに大きな影響を与えたGoogleの主なアップデートまとめ

音声検索で重視されていると思われる要素

Webページを作る際の音声検索対策に有効と思われる要素について紹介します。

2018年1月のウェブマスター向けオフィスアワー(オンラインGoogleの担当者が様々な質問に答えたり、直近のアルゴリズムに関する情報について話したりする映像配信イベントのこと)にて、ジョン・ミューラー氏は音声検索の最適化について以下の項目が重要であると発言しています。
English Google Webmaster Central office-hours hangout / 2018/1/9

  • 構造化データ
  • 質問に対する回答に利用されやすいコンテンツ

ページのもつ情報を、検索エンジンが理解しやすいように構造化データでも記述することで音声検索の結果に採用される可能性が高まります。
また、「日本で一番高い山は?」という質問に対する回答として「日本で一番高い山は富士山です。」といったように質問を繰り返す形の文章が用意されていると、質問系のキーワードでは採用されやすくなる可能性があるといいます。

さらに、Actions on GoogleGoogleアシスタントを拡張した機能)を活用することも有効であるとジョン・ミューラー氏は発言しています。

Google アシスタントの拡張

レシピ、ニュース、ポッドキャストなどのコンテンツは構造化マークアップが可能です。
これらの情報を構造化データで記述することで、音声アシスタントで自分のページが採用される可能性が高まります。

他にも、

  • ページの表示速度が速いこと
  • ページHTTPS化されていること
  • 文章がシンプルで読みやすいこと
  • PC検索において上位表示されていること

などが音声検索でも採用されやすいページあるとする説を、バックリンコ社が独自調査の結果として発表しています。

音声検索対策として独立した対策方法はなく、あくまでもGoogleのガイドラインに沿った良質なコンテンツが採用されているといえるでしょう。

まとめ:今後の音声検索は何をしたらいい?

一般家庭にもスマートスピーカーが普及し、端末に話しかける形で検索する機会が増えている中、音声検索を意識したコンテンツ作りも重要度を増していくと考えられます。

音声検索に必要な対策は、通常のSEO対策と大きく変わりはありません。

情報を構造化データにすることで検索エンジンが内容を読み取りやすいようにしたり、サイトのパフォーマンスをあげることで検索エンジンやユーザーが扱いやすいようにしたりすることは、通常の検索エンジン対策で求められていることと同じです。

しかし、特に今後音声検索での利用が増加すると思われる子供向けのコンテンツや料理のレシピを提供しているサイト、ニュースを提供しているサイトなどは音声検索も意識してテキストの見直しやより詳細な構造化データを記述する必要があるかもしれません。

まずは自分のサイトの構造化データが正しいかどうか、表示速度などのパフォーマンスがGoogleの基準を十分に満たしているかどうかを確認してみるのがいいでしょう。