専門領域を極める情報収集

ferret:
データ分析に必要な情報収集のセンスは、どうやって磨けばよいのでしょうか。

山田氏:
私は「情報の幅を広げること」と「情報を深めること」2つを意識しています。幅を広げるときは、様々なキュレーションメディアやWebメディアを参照しますが、情報を深めるときは、技術書やマニュアルを読み込むようにしています。GAのようなツールに関しては、ソースコードまで読み込んでいますね。難読ではありますけど、まずはやってみるのが大事かなと。ツールをカスタマイズするときに、深く情報を読み込んできた経験が生きてくるんです。短期的な効果は期待できませんが、センスを磨き、知見を蓄積していくことにつながっているはずです。

ferret:
木田さんはどのように情報収集をされていますか?

木田氏:
実は、あまり積極的な情報収集をしていないんです。じゃあ、どこからインスパイアされるかというと、同業界の感度の高い人たちがどんなところにアンテナを張っているか、常にSNSでウォッチしているんです。ただし全てを網羅的に見るのではなく、自分が得意なことに特化してアンテナを張っています。そうすると、自分が深掘るべきことが見えてくるんです。

10,000時間自分の時間を投入するとどんな分野でも専門家になれるという理論がありますけど、1つの分野で高みに到達すると、知り合う人たちのレベルも必然と高くなって、繋がりが自分の第二のブレーンとして機能し始めるんです。情報収集の領域を定めて深めていくと、同じ志を持つ仲間が増えて、結果としてセンスも磨かれていくのではないでしょうか。

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ferret:
とすると「情報の幅を広めること」よりも「深めること」に、木田さんは重きをおいていらっしゃる?

木田氏:
そうですね。今は10年前に存在しなかったツールや技術がたくさんありますよね。領域が広がるほどに、専門家の登場が追いつかず、現代は常に専門家が求められる状況にあると思います。何か1つのことを極めるのは、リスクもあるし恐れがつきまとうものです。しかし極めるべき道を間違えても、その道を極めようとした手法は、別の道でも生きるはずです。

山田氏:
ジェネラルな道へ行くのも素晴らしいことですが、自分の専門性をどこに着地させるかを若いうちにみつけて極められると、Webマーケターももっと生きやすくなるんじゃないでしょうか。

木田氏:
そうですね。強い立場で組織や日本を動かしていく人でさえも、全ての情報には精通できない時代です。何か困りごとがあったとき専門性の高い有識者に頼らざるを得ない。必要とされるときのために、刀を磨いておいて、いざというとき切れるようにしておく。そういうマインドが、今後どの職種においても必要ではないでしょう。

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