営業の業務は報告書の作成や客先への資料・見積もり作成、問い合わせ処理など、多岐に亘ります。そうした業務の効率化を実現できるのが、営業支援ツールSFA(Sales Force Automation)です。

SFAを活用することで、売上予測や情報の共有化など多くの業務を発展させ、成功へと導くことができるツールでツールです。その一方、社内環境が整っておらず、SFAをうまく運用できずに失敗に終わるケースもあります。

そこでこの記事では、SFAの導入"失敗"パターンと、成功のポイントについて紹介します。

目次

  1. SFAを導入するメリット
  2. SFA導入失敗事例とその理由
  3. SFAの適切な導入方法
  4. MAと連携することでさらなる効果も
  5. SFAを正しく導入し、営業活動の効率化と確実な成果を目指そう

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SFAを導入するメリット

営業活動を多角的に支援するSFAには、多くのメリットがあります。なかでも、次の3つはSFAを導入した場合に得られる大きな効果となります。

・ 営業活動が可視化される
・ 営業ノウハウを標準化できる
・ 営業活動を効率化できる

一つずつ具体的に説明します。

SFA導入のメリット.jpg

営業活動が可視化される

営業活動はともすれば数字化されずらい一面がありますが、SFAを導入することにより営業の進捗状況やデイリーの営業状況を可視化ができます。

可視化することで個々の営業担当者の課題、イレギュラーな事案を見つけ出すことができるため、営業戦略が立てやすく、営業活動の改善に繋がります。

また、顧客情報や売上情報、その他多くの情報を集積することで、営業戦略に必要なデータ分析が可能です。報告レポートや会議資料なども簡単に作成でき、オペレーションもスムーズです。

営業ノウハウを標準化できる

営業担当者が把握している顧客情報、培った人脈や成功事例は、企業にとって貴重な財産です。異動や退職などで担当が変わっても、SFAが情報資産を蓄積・形成し引き継ぐことができます。

また、商談や案件事例など営業ノウハウをSFAで管理することで、アプローチの参考にしたり、分析し、よりよい営業手法を見出すことも可能です。

営業活動を効率化できる

SFAには資料作成機能が備わっているため、日報や週報、営業報告などの作成が簡単にできます。作成した資料はSFA上で共有できるので、メールなどで送付する必要もありません。

また、クラウド型のSFAであれば、外出先からSFAの操作が可能なため、資料作成のために帰社する必要もありません。業務効率化、労務改善の面からも大きなメリットがあります。

SFA導入の失敗事例とその理由

メリットの多いSFAですが、導入後の「よくある失敗パターン」も存在しますます。それぞれの失敗の理由について見ていきましょう。

SFAが社内に浸透しなかった

SFAを導入したが、営業担当者の間でSFAが浸透しなかった、というものです。

営業部門でSFAが浸透しなかった理由のひとつに、運用の問題があります。きちんとSFAを運用するには、営業担当者各自の地道なデータ入力作業が必要になります。例えば、毎日の日報や顧客情報(名刺情報など)、訪問履歴、手持ちの案件数、案件ステータスの変更、次回活動予定などの入力です。

営業担当者が、これまでは手帳で管理していた内容をSFAに入力するとなると、負担に感じることも少なくありません。入力方法やSFA導入の意義や効果などの教育の場を、事前に持つことが重要です。SFAへの入力業務の分担など、現場の状況に応じて対応しましょう。

SFAの導入により、逆に仕事が増えた

SFAが導入された現場では、営業担当者から「仕事が増えてしまった」という声が聞かれます。こうした声は、使い勝手の良くないSFAを導入してしまった際によく出てきます。

例えば、画面が見づらくてメニューが探しづらいなど、「UIが親切でない」SFAでは、入力の意欲が削がれてしまいます。また、機能間で情報の連動が行われないSFAを導入してしまうと、「同じ内容を何度も入力しなければならない」といった手間が掛かり大きなストレスになってしまいます。

入力・報告業務がスムーズに行えるなど効率化を肌で感じられるシステム構築が必要です。

上手く使いこなせず、結果使わなくなった

いきなり多機能すぎるSFAを導入してしまった場合に起こりがちなパターンだと言えるでしょう。

多くの営業担当者が初めてSFAに触れるような職場で導入する場合は、シンプルな機能のSFAを導入しないと、「操作がよくわからない」と避けられ、定着前に失敗してしまいます。

SFAに必要以上の機能を持たせると、かえって現場に拒否反応を起こす可能性があるので機能選定には注意が必要です。

集まったデータを活用できなかった

SFAは単に営業管理を行うためだけのツールではありません。本来の目的は、SFAによって「営業力」を共有化し、営業活動全体を強化することにあります。

例えば、「こういった営業活動を行えば、受注がスムーズになる」「お客様に見積書を提出した後には、こういったアプローチを行うと成功率が高い」といった営業の勝ちパターンや、営業成績の良い担当者の行動の傾向などの分析結果を活用できれば、SFA導入は成功と言えます。

しかし実際はほとんどの企業において、蓄積されたデータの分析など応用ができず、SFAは単なる営業活動入力ツールに留まっているのが実情です。データの活用が成功に結び付く事例の教育など、SFAのメリットを浸透させることが重要です。

社内での情報共有がうまくいかなかった

SFA導入の大きな目的には、「情報共有を円滑にしたい」というものもあります。情報共有がスムーズに進めば、「営業担当者の外出中に問い合わせが入っても、取引内容などを見て質問に回答する」といったことができます。

また、マーケティング部と営業部など、異部署・部門間で情報共有ができるようになれば、「マーケティング部が企画したセミナーにお客様が来場したので、翌日営業部からお礼のメールを入れる」といったこともできます。

しかし、社内全体でSFAの連携がとれていなかったり、部門ごとに仕様の異なるSFAを導入していると、円滑な情報共有ができません。顧客情報を部署内・部署間で閲覧できる環境に保管すること、会社全体でSFAの仕様を合わせ、情報を共有することのメリットを周知していくことが大切です。

▼SFAの導入を検討している方はこちら

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SFAの正しい導入方法

ここまで、SFA導入が失敗に終わってしまういくつかのパターンを紹介してきました。SFA導入で失敗しないためには、どのような導入準備を行えばよいのでしょうか。SFAの運用を定着させるために欠かせない、適切な導入方法のポイントについて紹介します。

事前に社内に周知し同意を得た上で導入する

大事なことはトップダウンで導入を決めるのではなく、事前に現場の営業担当者の要望を汲み取ることです。

SFAを導入しても現場に浸透しないのは、SFA導入前に現場と合意形成ができていないからです。SFAを導入することで現場や営業担当者にとってどのようなメリットが生まれるのかをきちんと検討・説明した上で導入することで、SFAが使いやすくなります。

合意形成のために現場の課題をヒアリングする場を設けましょう。

例えば、

・ タスクが漏れてしまっていた
・ 別の営業担当者がアプローチ中の顧客に売り込みの電話をしてしまった
・ 個人の売上目標と進捗をリアルタイムで把握できたら助かる

など、日々営業現場で発生する課題事前にヒアリングしておきます。そういった課題を解決し、要望を叶える方法としてSFA導入を提案できれば、営業担当者や現場も導入に協力しやすくなります。

「SFAを導入すれば便利だろう、営業管理ができるだろう」という安易な気持ちで導入するのではなく、導入前にしっかりと話し合い、導入時にはSFAを使う全員に対して、「導入目的」と「SFA導入にともなって必要になる作業」、「その作業の進め方」をはっきりと伝えることが大切です。こうすることで現場も納得し、混乱せずにSFAを使い始めることができます。

必要な機能を調査し、それをカバーしているSFAを導入する

現場でのヒアリング後に考えるべきなのは「自分たちの目的を果たすには、どのような機能が必要なのか」という観点でSFAを選ぶことです。

多くのSFAは、基本機能がどれも似通っています。そのため、ベンダーの担当者に問い合わせると、他社のSFAと差別化をするためにも、新機能やマニアックなオプションなどを詳しく説明する場合も多いでしょう。初めてのSFA導入で「多機能・高機能すぎるSFA」を導入しても、使いこなすことはできません。それに、操作を習得するまでに時間が掛かりすぎると、営業担当者がSFAを敬遠して使わなくなってしまいます。

大事なのは、「自社のSFA導入目的や実現したいことが、そのSFAでどのように叶えられるのか」ということと、「いかに営業担当者に負担を掛けないSFAであるか」ということです。

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例えば、営業担当者からSFAへの要望としてよく聞かれるものに「スマートフォン対応」があります。日報や顧客情報の入力をスマートフォンからも行うことができれば、外出先からも入力できるため手間を軽減することもできます。こうした視点からの機能要望は、現場の意見を聞かないと意外と浮かびにくいものなのです。

また、導入時には、使う機能を指定したり、わかりやすいマニュアルを用意したりといった配慮があれば、より運用が定着しやすいでしょう。

データ分析担当者を決める

せっかくSFAを導入したのに、勝ちパターンの分析などができず「SFAがただの記録ツールになってしまった」という事態を防ぐためには、あらかじめデータ分析担当を決めておきましょう。分析担当は、営業部のマネージャーなど管理職の方でもいいですし、営業アシスタントの方に任せてもよいでしょう。

単に「SFAのデータを分析する」といっても、

・ 受注に至るまでの適切な訪問回数を知りたい
・ クライアントの業種と提案商材の相性を知りたい
・ 営業担当者別の、提案から受注までのリードタイムを知りたい

など、いろんな分析目的が考えられるため、「分析したいこと」と「その分析を行うためにはどのようなデータが必要か」ということまで、事前に社内の関係者で話し合っておくことが大切です。

支援サービスの充実したベンダーを選ぶ

「そもそも何を分析すべきかがわからない」「分析したいけれど、人手が足りない」という場合には、支援サービスの充実したベンダーからSFAを導入することをおすすめします。

ベンダーによっては、定例会を開いたり、遠隔サポート体制を敷いたり、多くの企業の課題解決実績を持ったコンサルタントの専属サポートを受けられたりと、手厚い運用支援をメニューとして有料提供している会社もあります。

また、SFAを活用するためのセミナーや、他社の事例紹介の機会を定期的に設けているベンダーもあります。

「導入して終わり」という姿勢のベンダーではなく、「運用やデータ活用まで支援してくれる」ベンダーからSFAを導入するとよいでしょう。

導入する部署の優先順位をつける

SFA導入に重要なのは各部門がそれぞれ独立して目標を追うのではなく、「協力してお客様に貢献しよう」という共通意識を持つことが必要です。協力体制を構築するために複数の営業グループで同じSFAを導入する際には、まず優先度の高い部署から導入して運用のメリット・デメリットを洗い出し、使い勝手が良ければ別部署で導入するなど、段階的に導入した方が成功しやすいでしょう。

MAと連携することでさらなる効果も

近年急増しているのが、SFAMAマーケティングオートメーション)とのセットのサービスです。マーケティングは、営業活動をより効果的に進めるためにはなくてはならないプロセスです。

営業活動の前段階で、自社Webサイトやメールマガジン、SNSなどで見込み客の抽出、集客をMAで行います。見込み客に対して営業活動を行うことで、無駄のない営業活動と成果が見込めます。

SFAとMAを組み合わせることで、業務効率も上がり、多くの効果が期待できます。

SFAを正しく導入し、営業活動の効率化と確実な成果を目指そう

営業活動支援ツールであるSFAは、営業担当者の活動状況の可視化や、情報の共有化、戦略立案が立てやすいなど、多くのメリットがあります。一方、SFA導入後運用に失敗し、期待ほどの効果を得ることができなかったという例も少なくありません。

SFAを導入する際には、社内の周知や必要機能の調査、データ入力担当者の決定など、事前に環境の整備が必要です。さらにSFA単体だけではなく、MAと連携することで、営業活動がより効率的になり、成果を上げることができます。

SFAを導入して改善されたことや解決した課題、こ導入の際は、「SFAを導入して良かった」と思えるように、準備からしっかりと進めていきましょう。

▼SFAについて詳しく知りたい方はこちら

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