「営業活動を可視化することで、売上予測を正確に立てられるようにしたい」
「営業担当への外出中の問い合わせに対応したい」
「営業担当が退職してもスムーズに顧客情報が共有できるような環境を作りたい」

このような思いから、営業支援ツールである「SFA(Sales Force Automation)」の導入を検討する担当者営業現場は多いかもしれません。SFAは導入下からすぐにうまく活用できるわけではありません。「大きなコストを投下してまでSFAを導入したのに、運用できなかった」という失敗の事例も多くあります。

ただ、SFA導入が失敗に終わる場合は、いくつかのパターンに分けることができます。そして、「こうしていれば、失敗を防げたのに…」という対処法も存在します。

失敗のパターンや原因、防止策を知っておくことで、SFAの導入失敗は防げるはずです。そこでこの記事では、SFAの導入"失敗"パターンと、導入成功のポイントについて紹介します。

▼そもそもSFAとは?▼
営業活動を支援するSFAとは?基本からツールまで紹介

目次

  1. SFA導入失敗事例とその理由
    1. 現場の営業担当者など、社員間に浸透しなかった
    2. SFAの導入により、逆に仕事が増えた
    3. 慣れるまでに時間がかかり、結果使わなくなった
    4. 集まったデータを活用せず、分析に役立てられなかった
    5. 部署間の情報共有がうまくいかなかった
  2. SFAの適切な導入方法
    1. 事前に要望を聞く、目的を社内に周知の上で導入する
    2. 必要な機能を調査し、それをカバーしているSFAを導入する
    3. データ分析担当者を決める、支援サービスの充実したベンダーを選ぶ
    4. 導入する部署の優先順位をつける
  3. まとめ

SFA導入失敗事例とその理由

SFAの導入で「よくある失敗パターン」を挙げながら、それぞれの失敗の理由について見ていきましょう。

現場の営業担当者など、社員間に浸透しなかった

SFA導入失敗の理由として、一番多いのがこの理由かもしれません。せっかく長い検討の末、費用を投下してSFAを導入したのに、営業担当者の間でSFAが浸透しなかった…というものです。

こうした失敗を招く背景にありがちなのは、「部長や役員などの上長が勝手にSFAの導入を決めた」という状況です。確かに、SFAを導入してうまく運用が回れば、営業活動が可視化され、売上予測が立てやすくなります。だからこそ、日頃から営業部全体の売上管理を統括している管理職にとっては「SFAを導入すれば便利だ」ということがイメージできます。そして、現場の意見を聞かずにSFAを導入してしまいがちなのです。

一方で、きちんとSFAを運用するには、営業担当者各自の地道なデータ入力作業が必要になります。例えば、毎日の日報や顧客情報(名刺情報など)
、訪問履歴、手持ちの案件数、案件ステータスの変更、次回活動予定などの入力です。

営業担当者が、これまでは手帳で管理していた内容を「これからは、このSFAにすべて入力してください」といきなり方法を変えられ、入力を強いられるように感じます。そのうえ、ただでさえ外出が多く忙しい営業マンにとって、入力義務が課されることで負担が増えてしまいます。

SFAの導入により、逆に仕事が増えた

SFAが導入された現場では、営業担当者から「仕事が増えてしまった」という声が聞かれます。こういった声は、使い勝手の良くないSFAを導入してしまった際によく出てきます。

例えば、画面が見づらくてメニューが探しづらいなど、「UIユーザーインターフェース)が親切でない」SFAでは、入力の意欲が削がれてしまいます。また、機能間で情報の連動が行われないSFAを導入してしまうと、「同じ内容を何度も入力しなければならない」といった手間が掛かり大きなストレスになってしまいます。

営業の使命は、売上を上げることです。だからこそ、入力・報告などの事務仕事はできるだけ効率良く終わらせて、1件でも多く顧客へ電話をかけたり、営業を回ったり、提案書を書いたりしたいという気持ちを持っているものです。もともと「コスト」と捉えられやすい事務作業だからこそ、SFAを使うことでその負担が増えると思われてしまっては、運用も定着しません。

慣れるまでに時間がかかり、結果使わなくなった

このパターンは、かなり初期の段階でSFAの導入が失敗しています。特に、初めてSFAを導入する企業が、いきなり多機能すぎるSFAを導入してしまった場合に起こりがちなパターンだと言えるでしょう。

「過去にも別のSFAを使った経験がある」「前職でSFAを使っていた営業担当者が多い」といった職場であれば心配する必要はないかもしれませんが、多くの営業担当者が初めてSFAに触れるような職場で導入する際には、シンプルなSFAを導入しないと、定着前に失敗してしまいます。

せっかく導入しても、営業担当者に「操作がよくわからない」「手間が増える」と思われてしまっては、データ入力が定着しません。SFAを使うハードルが下がらないままでは、「やっぱり今までの方法で管理するのが一番やりやすい」と思われてしまい、次第に使われなくなってしまうでしょう。

集まったデータを活用せず、分析に役立てられなかった

SFAは単に営業管理を行うためだけのツールではありません。本来の目的は、「営業力」を強化することにあります。「営業力」の強化とは、これまで個人で身に付けられるものとされていた営業のノウハウを、体系化して営業担当者全員に共有することで、チーム全体の底上げを実現していくものです。

例えば、「こういった営業活動を行えば、受注がスムーズになる」「お客様に見積書を提出した後には、こういったアプローチを行うと成功率が高い」といった営業の勝ちパターンや、営業成績の良い担当者の行動の傾向などが徐々に明らかになってきます。

こうした分析結果を活用できれば、SFA導入は成功と言えます。しかし実際はほとんどの企業において、SFAは単なる営業活動入力ツールに留まっているのが実情です。

その理由はいくつかあり、一つは、そもそもSFAに蓄積されたデータをどのように分析すべきかが分からないというものです。もう一つは、そうした分析担当を担える人材がいないというものです。

データの活用までに至らなければSFAの本領も発揮されないため、予算見直しのタイミングで「入力、管理の用途だけなら、Excelなど他の方法で行う方が、費用も掛からないしいいのでは?」という話が出てきてしまう可能性もあります。

部署間の情報共有がうまくいかなかった

SFA導入の大きな目的には、「売上予測を立てたい」「営業力を強化したい」といったものがありますが、他には「情報共有を円滑にしたい」というものもあります。情報共有がスムーズに進めば、「担当営業マンの外出中に問い合わせが入っても、取引内容などを見て質問に回答する」といったことができます。

また、マーケティング部と営業部など、部門間で情報共有ができるようになれば、「マーケティング部が企画したセミナーにお客様が来場したので、翌日営業部からお礼のメールを入れる」といったこともできるので、顧客情報を部署内・部署間で閲覧できる環境に保管することは大切なのです。

しかし、例えば営業部とマーケティング部で連携の取れないSFAを導入してしまうと、同じ情報を二重三重で入力しなければならなかったり、一旦CSV形式で書き出してから情報共有しなければならないといった事態に陥ってしまいます。他に、「●●営業部ではSFAツールA」「▲▲営業部ではSFAツールB」など、異なるSFAを導入してしまった場合は、マネジメント層があちこちのSFAのアカウントから閲覧しなければならないなどの手間が発生してしまいます。

SFAの適切な導入方法

ここまで、SFA導入が失敗に終わってしまういくつかのパターンを紹介してきました。それでは、SFA導入で失敗しないためには、どのような導入準備を行えばいいのでしょうか。SFAの運用を定着させるために欠かせない、適切な導入方法のポイントについて紹介します。

事前に要望を聞く、目的を社内に周知の上で導入する

大事なのは「SFAを導入するので、活用するように!」とトップダウンで導入を決めるのではなく、事前に現場の営業担当者の要望を汲み取ることです。SFAを導入しても現場に浸透しないのは、SFA導入前に現場と合意形成ができていないからです。SFAを導入することで現場や営業担当者にとってどのようなメリットが生まれるのかをきちんと検討・説明した上で導入することで、SFAを使いやすくなります。

合意形成のために現場の課題をヒアリングする場を設けましょう。例えば、「タスクが漏れてしまっていた」「別の営業マンがアプローチ中の顧客に売り込みの電話をしてしまった」「個人の売上目標と進捗をリアルタイムで把握できたら助かる」など、日々営業現場で発生する課題を事前にヒアリングしておきます。そういった課題を解決し、要望を叶える方法としてSFA導入を提案できれば、営業担当者や現場も導入に協力しやすくなります。

SFAの導入によって現場の作業負荷がどの程度増える可能性があるのか、営業担当者を混乱させるプロセスは発生しないか、などのリスクも先に考えておくべきでしょう。導入前の段階から現場を巻き込んで検討することで、営業マンにもSFAの導入目的やメリットを感じてもらいやすく、導入後も主体的にSFAを活用してもらいやすくなるはずです。

「SFAを導入すれば便利だろう、営業管理ができるだろう」という安易な気持ちで導入するのではなく、導入前にしっかりと話し合い、導入時にはSFAを使う全員に対して、「導入目的」と「SFA導入にともなって必要になる作業」、「その作業の進め方」をはっきりと伝えることが大切です。こうすることで現場も納得し、混乱せずにSFAを使い始めることができます。

必要な機能を調査し、それをカバーしているSFAを導入する

現場でのヒアリング後に考えるべきなのは「自分たちの目的を果たすには、どのような機能が必要なのか」という観点でSFAを選ぶことです。

多くのSFAは、基本機能がどれも似通っています。そのため、ベンダーの担当者に問い合わせると、他社のSFAと差別化をするためにも、新機能やマニアックなオプションなどを詳しく説明する場合も多いでしょう。これまでにもSFAを導入したことがあり、「さらに高度なSFAを求めている」という場合はそうした付加機能を検討しても問題ありませんが、初めてのSFA導入で「多機能・高機能すぎるSFA」を導入しても、使いこなすことはできません。それに、操作を習得するまでに時間が掛かりすぎると、営業担当者がSFAを敬遠して使わなくなってしまいます。

大事なのは、「自社のSFA導入目的や実現したいことが、そのSFAでどのように叶えられるのか」ということと、「いかに営業マンに負担を掛けないSFAであるか」ということです。

例えば、営業担当者からSFAへの要望としてよく聞かれるものに「スマートフォン対応」があります。日報や顧客情報の入力をスマートフォンからも行うことができれば、外出先からも入力できるため手間を軽減することもできます。こうした視点からの機能要望は、現場の意見を聞かないと意外と浮かびにくいものなのです。

また、「入力した顧客情報が、見積書や会議資料に反映される」というような、入力の手間を最小限に済ませてくれる機能も、現場での優先度は高いでしょう。現場の声を聞きながら必要な機能を絞りSFAを選ぶことで、営業担当者側も「自分たちの要望を汲んでツールを導入してくれた」と運用意欲がわきやすくなります。また、導入時には、使う機能を指定したり、わかりやすいマニュアルを用意したりといった配慮があれば、より運用が定着しやすいでしょう。

データ分析担当者を決める、支援サービスの充実したベンダーを選ぶ

せっかくSFAを導入したのに、勝ちパターンの分析などができず「SFAがただの記録ツールになってしまった」という事態を防ぐためには、あらかじめデータ分析担当を決めておきましょう。分析担当は、営業部のマネージャーなど管理職の方でもいいですし、営業アシスタントの方に任せてもよいでしょう。

単に「SFAのデータを分析する」といっても、「受注に至るまでの適切な訪問回数を知りたい」「クライアントの業種と提案商材の相性を知りたい」「営業マン別の、提案から受注までのリードタイムを知りたい」など、いろんな分析目的が考えられるため、「分析したいこと」と「その分析を行うためにはどのようなデータが必要か」ということまで、事前に社内の関係者で話し合っておくことが大切です。

SFAの運用が定着していく中で、「データが蓄積されてきたから、そろそろ営業傾向が見えるかもしれない」と段階的に分析を始める企業もありますが、導入前の時点で「どのような分析をして、何を知りたいか」ということを方向性だけでも決めておきましょう。そうすることで、無駄の無い入力・運用ルールを制定しやすくなります。

一方で、「そもそも何を分析すべきかがわからない」「分析したいけれど、人手が足りない」という場合には、支援サービスの充実したベンダーからSFAを導入することをおすすめします。ベンダーによっては、定例会を開いたり、遠隔サポート体制を敷いたり、多くの企業の課題解決実績を持ったコンサルタントの専属サポートを受けられたりと、手厚い運用支援をメニューとして有料提供している会社もあります。また、SFAを活用するためのセミナーや、他社の事例紹介の機会を定期的に設けているベンダーもあります。「導入して終わり」という姿勢のベンダーではなく、「運用やデータ活用まで支援してくれる」ベンダーからSFAを導入するとよいでしょう。

導入する部署の優先順位をつける

SFA導入に重要なのは各部門がそれぞれ独立して目標を追うのではなく、「協力してお客様に貢献しよう」という共通意識を持つことが必要です。協力体制を構築するために複数の営業グループで同じSFAを導入する際には、まず優先度の高い部署から導入して運用のメリット・デメリットを洗い出し、使い勝手が良ければ別部署で導入するなど、段階的に導入した方が成功しやすいでしょう。

まとめ

SFA導入の成功事例を知ることで「SFAを導入するだけで、現状が大きく変わるのではないか」と大きな期待を寄せ、SFAを導入する企業も多いかもしれません。しかし、SFAはあくまでツールであって、その導入目的や運用ルールを決めて実際に活用するのは、営業担当者やマネージャーなどの「人」です。SFAを使いこなすためには、きちんとした知識と目的意識が無ければいけません。それらがないとただの「データを溜める箱」になってしまい、「入力が面倒だ」という気持ちを呼ぶだけで運用も定着しません。

そうならないためにも大切なのは、導入前・ベンダーからの情報収集前に、まず自分たちで「今、何のためにSFAを導入しようとしているのか」「その目的のためには、どのようなSFAが必要か」を話し合って整理しておくことです。その際に、この記事で解説してきた、「SFAの導入が失敗に終わってしまうパターン」や、「SFA導入を成功させるためのポイント」を活用いただければ幸いです。

最後に大切なのは、SFAの導入をゴールとしないことです。導入後も、定期的に現場に対してSFAの運用状況をヒアリングしたり、SFAを導入して改善されたことや解決した課題、これから検討が必要な事項をまとめたりするなど、しっかりとPDCAサイクルを回していくことが大切です。

「SFAを導入して良かった」と思えるように、導入準備からしっかりと進めていきましょう。

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