この数年で音楽市場は、Apple MusicやSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスの台頭などによって大きく変化しています。
今回は国際レコード産業連盟(IFPI)が発表した、2018年の世界音楽市場に関する調査結果を元に、実際にどのように音楽市場が変化しているのか、数字とテクノロジーの面から解説します。

2018年における売上高はストリーミングを含めて191億ドル

国際レコード産業連盟(IFPI)は、2018年の世界音楽市場に関する調査結果を発表しました。2018年の物理メディアやストリーミングをあわせた音楽市場の売上高は191億ドル(約2兆1285億円)であり、前年と比べると9.7%増で、4年連続の増加となりました。また、この数字はIFPIが1997年に調査を始めてから、最高の成長率となっています。

売上のトップはストリーミングサービス

注目すべきは、売上の内訳です。CDなどの物理メディアは前年に比べて10.1%減、ダウンロード音楽は同21.2%減となっており、全体売上の比率に対して、7.7%減となっています。それを補完したのがストリーミングサービスです。総売上高の46.8%に相当する89億ドル(約9918億円)が、ストリーミング音楽配信サービスの売上であり、同サービスによる売上高の前年比は34.0%増と大きく成長しています。

アジア地域の音楽市場は世界2位

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参考:
GMR2019.pdf

オーストラリアを含めたアジア地域の売上増加も見逃せないトピックです。BTSのように韓国国内だけではなくブラジルのリオのファンの心まで掴んだアーティストの躍進は目覚ましいものです。このような韓国ミュージシャンの売上増加を含め、日本や中国を含めアジア地域は世界で2番目の音楽市場となっています。デジタルメディアの売上は26.8%増で、そのうち有料サブスクリプション型ストリーミングサービスは29.5%増となっています。その反面、ダウンロード販売は7.1%減となっています。

物理メディアの売上は全体で減っていますが、アジア地域では売上が増加しています。インドで21.2%、韓国で28.8%、また日本でも2.3%売上が増加しています。デジタルメディアの躍進は目覚ましいところですが、物理メディア自体が魅力をなくしたというわけではなさそうです。とくに日本は、売上の71%は物理メディアによる売上です。日本ではまだ物理メディアで商売ができると考えるか、これからストリーミングサービスに移行していくと考えるかはマーケッターによって見解が分かれるところです。

国を超えて世界へ発信するアーティストたち

音楽を販売する場所はデジタルメディアによって、国境を超えるようになりました。デジタルメディアの進化する市場によって、アーティストはグローバルに世界へ飛び出す機会をつかむことになります。アーティストと連携して動く企業と、その環境によって音楽は支えられていることがこれらの数字からわかります。さまざまな音楽が世界に配信され、アーティストは地域に限定されず、世界的な成功を収める可能性を秘めています。国内市場だけではなく地球規模で、収益を出せるような仕組みが今できあがってきています。