長期的な関係を築くことが大切

顧客と直接つながりを持ってニーズを掴むことは、サブスクリプションビジネスの収益に関わる契約期間にも大きく寄与すると桑野氏は話し、その事例として、スナック菓子のサブスクリプションサービスを提供する「Graze」を挙げて解説します。

「Grazeは定期的に4つのスナック菓子が送られてくるサブスクリプションサービスです。このGrazeが徹底したのは、利用者からそれぞれのお菓子の好き嫌いをフィードバックとして取得し、利用者の好みを把握することです。この好みのデータをもとに、4つのお菓子の中に利用者の好みの商品と、好みからは少し違うような商品を混ぜて送付しました。すると利用者は毎回何が届くのかが楽しみになり、飽きること無く長期的に契約をしてくれるようになりました」(桑野氏)

最後に、顧客と長期的な関係を築くポイントとして、価格にあった価値を提供することも重要であると桑野氏は話します。

「サブスクリプションビジネスは顧客の幸せの上に成り立つビジネスモデルです。つまり、顧客は何を求めているのか、何に満足するかをしっかりと見極めることが必要です。提供する価値が価格より大きければ継続となりますし、その逆は解約です。定額制サービスのサブスクリプションの収益化には、契約期間を伸ばしてLTVを最大化することが非常に重要となります。そのため、顧客がサービスを十分に利用できていない際には、ダウングレードプランや、一時的な契約休止などをサービス提供側から提案することもLTVの最大化につながるのであれば必要となります」(桑野氏)

サブスクリプションビジネスを正しく認識することが重要

サブスクリプションビジネスの成功には、正しくビジネスモデルを認識することが必要だと言えます。既存の売り切り型のモデルとはことなり、常に顧客の視点に立ってニーズを掴みながら長期的な関係を創ることが必要です。そのためにはブランディングやマーケティング、セールスなど多くの部署の認識・文化を変化させていく必要があるでしょう。

桑野順一郎氏プロフィール

桑野順一郎氏
Zuora Japan株式会社 代表取締役社長。外資IT企業でマネジメントを経験した後、ライトナウテクノロジーズ、キリバ・ジャパンの代表として国内ビジネスの立ち上げに従事。2015年2月、米Zuora社の日本進出に伴い、日本法人の代表取締役社長に就任。国内企業に対してサブスクリプションビジネスへの変革を支援している。