最近では娯楽や情報収集のメインとして、インターネットを利用している方が多くなってきています。まさにここ数年のインターネットの広がりは凄まじく、5Gが本格的に活用させれるようになれば、ますます拍車がかかるでしょう。

とはいえ、昔から長く情報提供をしてきているテレビの影響力やその情報量はまだまだ侮れません。企業の広告マーケティングにおいても、引き続きテレビを活用しておく必要があるでしょう。

特にテレビCMの視聴率は、広告マーケティングにおいて重要な概念です。
そこで今回はその視聴率について、初歩的な知識から計算方法など詳しく解説していきます。

GRPとは

GRPとは、延べ視聴率を表しており、ある一定の期間に流した1本のCMの視聴率合計のことです。Webサイトで考えるのであれば、インプレッションのようなものと言えるでしょう。

投下したCMの結果分析はもちろん、新しく投下するCMでどの程度の露出を行っていくかを決める指標にも使われます。

たとえば、前回1,000GRPが取れたようなCMで、まだリーチが見込めれば今回は強気に2,000GRPを狙っていこうといった具合です。

GRPに応じてCMへの投下額も決定していく必要がありますし、それにはCMが投下させる番組の視聴率も考慮していく必要があります。

参考
RP(延べ視聴率)とは・意味|MBAのグロービス経営大学院
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11635.html)

視聴率の定義

一言で視聴率といっても、実は大きく2種類に分類されています。

視聴率には「個人視聴率」と「世帯視聴率」というものがあって、それぞれに特徴が異なっているのです。加えて最近では、近年のテレビの視聴方法に合わせた「タイムシフト視聴率」もあります。

ここからはそんな視聴率の定義について、ひとつずつ解説していきます。

個人視聴率

個人視聴率は、非常に細かい分類によって算出される視聴率です。
調査の対象になっている世帯の一人ひとりを細かく以下のような項目に分けていきます。

  • 年齢層
  • 性別
  • 職業

他にもいくつか項目があり、これに基づいて個人視聴率を決定していきます。

たとえば、調査の対象になっている世帯の男性かつ20~34歳が20人でそのうち5人が番組を観ていた場合は、個人視聴率は25%となります。

このように、同じ番組であっても世代や年齢・職業などにマッチしているかどうかが確認できるのです。

世帯視聴率

一方の世帯視聴率は、先ほどの個人視聴率のように細いものではなく世帯ごとに区切った少し「ざっくりとした」視聴率です。つまり、あくまでも「調査対象になっている世帯のうち何世帯が観ていたか」という意味合いになります。

さらに、実際にその番組を見ていていたかどうかは関係がなく、テレビがついていたかどうかでの計測です。つまり必ずしも該当する番組を「視聴」していたとは言えないのです。

ちなみに、GRPの計算対象になる視聴率や一般的に言われている視聴率は、この世帯視聴率が該当していました。しかし、近年の「個人データの重視」の流れから、先程紹介した個人視聴率を活用する流れに2018年頃からなっているようです。

タイムシフト視聴率

上記のような個人データの重視を活用する流れによって、最近ではタイムシフト視聴率というものもあります。

このタイムシフト視聴率は、リアルタイムでの視聴に関わらず「観る」と視聴率としてカウントするというものです。つまり、録画しておいた番組を見た場合も視聴率にカウントされます。

視聴率の3つの調査方法

上記のように、視聴率には何を基準にするかによって違いがあります。
また、その基準に基づいて、視聴率には様々な調査があります。

  • ピープルメータシステム
  • オンラインメータシステム
  • 日記式アンケート

上記の調査方法は地域ごとにどれを活用するか異なっています。
その対象地域とともに、ひとつずつ解説していきます。

参考:
視聴率の調査方法は? | テレビCM検討編 | 日テレ 広告ガイド

ピープルメータ(PM)システム

このピープルメータシステムは関東・関西・名古屋地区で行われています。

大きな特徴としては、世帯視聴率と個人視聴率と7日間のタイムシフト再生率同時に測定できることです。

ひとつの家庭に対して最大8台までが測定でき、視聴者は視聴の始めと終わりにボタン入力を行います。そのデータは毎日収集され集計の単位も1分となっており、比較的正確な視聴率の収集が可能です。また、ピープルメーターシステムは2019年4月から北部九州地区でも実施されています。

オンラインメータシステム

オンラインメータシステムは、現在ピープルメータシステムが採用されていない地域で行われている調査方法です。

オンラインメーターでは世帯視聴率調査のみが可能になっており、測定できるテレビの台数も最大3台までなっています。このように、データ収集という面ではややざっくりとしたものになっています。

ただし、これらのデータは全て自動でオンライン上で吸い上げられるため、視聴者がボタン入力をする手間はありません。また、集計の単位も1分とピープルメータシステムと同様になっています。

日記式アンケート

日記式アンケートは関東・関西・名古屋地区を除く民放が3局以上あるエリアで実施されています。

これは個人視聴率をアンケート記入で調査するもので、調査員によって対象者に調査票が届けられます。視聴記録は最大3台までとなっており、調査は一週間継続して実施されます。一週間が経過すると調査員が再び訪問して記録を回収し、不明点のチェックを行います。データ入力自体はほとんど自動的にできますが、他のものと比べて少し手間のかかる調査方法と言えるでしょう。

集計の単位は最小5分となっています。視聴者に手書き記入してもらうことからも、他の調査方法と比べるとやや精度は落ちてしまうかもしれません。

GRPの計算方法

GRPが大きければ大きいほど、多くの視聴者にテレビCMのメッセージを届けられるようになります。

GRPは視聴率の枠に投下したCMの本数によって求められます。
たとえば、世帯視聴率20%の枠に10本投下した場合のGRPは200です(20%×10)。他にも複数の番組に投下した場合はその合計値が最終的なGRPとなります。

つまり、GRPはテレビCMを打てば打つほど高めることができるのです。ただそうなると、気になってくるのはその予算でしょう。

一般的なGRPの単価は10万円程度と言われており、GRPが200の場合であれば2,000万円の予算は必要ということです。

まとめ

このように、視聴率には様々な調査方法や考え方があります。
効率的なマーケティング広告の運用をするためには、やはり「基準や根拠となる数字」が重要です。もちろん、それはWebサイトであってもテレビCMであっても同様。GRPをきちんと理解して、より効果的なテレビCMを世に送り出しましょう。