全行程を理解することで初めて自分ゴト化できる

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塚田氏:今阿部さんがいわれたことに近いです。まず対クライアントとの向き合い方でいうと、クライアントの抱える課題って、どんどん高度化していくと思っていて。

本当にいろんなものがデジタル化しますし、SNSもあれば実店舗もある中で、大手広告代理店のように顧客の課題を聞く人、プランニングする人、運用する人が分断された体制では高度化した問題にそもそも立ち向かえないと思っています

それは優秀な一人が全顧客の課題を聞いて、考えて、運用して、ってコンサルタントのようにやることでしか立ち向かえないと思っているので。スケールを目指すというよりかは、少数精鋭になるのかもしれないですけどクライアントの課題にしっかり寄り添えるといいのではと思ってます。

今までみたいなやり方を望むクライアントもいるとは思います。その一方で、先の環境の変化も分かっていて、それでいてしっかり並走してくれるような広告代理店にお願いしたいというクライアントも一定数いると思っていて。我々のクライアントはそこだと思っているので、そのクライアントの要望にしっかりそこに応えられるような体制なり組織なり作っていきたいなというのが1つ。

もう1つがこれもさっき阿部さんがいってるんですけど、中にいる人たち、働いてる社員たちが自分ゴトであり続けるにはどうしたらいいかっていう視点で考えるということ。クライアントに価値を届けるまでのプロセスが分断されて、全行程のうちの一部しかやってない、その前後は分からないっていう人は自分ゴトにできないと思うんですよ。

1から10まで自分たちでやれていて、少なくとも周りを見渡せばその前後をやってる人たちがいて、自分たちで全行程を理解できてる状態で、初めて自分たちが世界に対してどういう価値を届けられてるかってことが理解できるので。

その状態をキープしたまま会社としてどういう成長を遂げるかっていうのは、結構チャレンジだなと思っていて。今の世の中の向かう方向はこっちだと思っているので、うまく作れたらいいだろうなって思ってます。

個を排除されたい人なんていない

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ferret:会社のカルチャーや作りたいプロダクトだけでなく、組織や事業に対する考え方にも共通点があるように感じました。おそらく別々のアプローチから共通の考えに至っているのだと思いますが、どのようなきっかけでこの考えになったのでしょうか?

阿部氏:教科書などにもよく書かれてますが、「事業を拡大するのであれば属人性を排除しなきゃいけない」というセオリーのようなものがありますよね。

これ、ずっと違和感があったんですよ。属人性を、個人を排除されたい人って世の中のどこにいるんだろうと思ったときに、何かつまらないなと思ったというか。でも、それがセオリーだよっていわれても、時代は変わっていくので、その逆はあるんじゃないかなってちょっと思ったんですね。

その世界を考えてみたときに、多分その方が楽しい。組織が急激に大きくなるか分からないですけど、元々無理して大きくしようと思って組織を作ってなかったんです。楽しくスペシャルな十何人くらいのメンバーで、みんな満足のいく報酬。楽しそうじゃないですか。そういうのできるんじゃないかなって思ったのがきっかけではありますね。

あと、やっぱり分業で悩んでる子たちが多かったっていうのも理由です。採用面接をしてると「お客さまに会ったことがない」っていうんですよ。

一番嫌だったのは「よく分からないけど怒られること」だって。やれっていわれたことをやっただけなのに、何か怒られた、みたいな。間に営業が入ると、「コノヤロー!」も「ありがとう!」も直接は届かないんです。

そういうことをうちの初期の社員がいってて、その後に入ってきた元同じ会社の子も同じで。みんなそうなのかと思って。何か不思議だなって思って。

ferret:セオリーがあるなら、あえてその逆もあるということでしょうか?

阿部氏:世の中にそういうセオリーというか、固定概念があるのであれば、僕は逆のアプローチでやってやろうと思いました。成功するかは分からないけど、ベンチャーなんだからトライしてみようと。そのために必要なことを洗い出したって感じですね。

かと言って、綺麗事をいってサラリーが低いのは意味がないと思っていて、そうじゃなくて綺麗事をいってちゃんと利益が出て、ちゃんとしたサラリーが出せるそうじゃないと意味がないかなと思っていて。

資本主義を卑屈に捉える方っていらっしゃるじゃないですか。僕はそうじゃなくて、ルールがあるならルールの中でどうやるのかっていうのが一番大事だと思ってます。

ferret広告運用にも通じることですね。

阿部氏:そうですね、本当に。ルールの中でも自由度は一定あるわけだから、その中で正しい方向に発揮すればいいんです。今はテクノロジーがあるし、それができる時代だと思う。