デジタルマーケティングの分野に身を置いている方なら、一度は耳にしている「アドベリフィケーション」という言葉。とはいえ、説明を求められると答えに窮する方も少なくありません。

アドベリフィケーションとは、Web上に載せた広告がちゃんと見られているか、不適切なサイトに貼られてブランドに傷がついていないか、という点について測定ツールを使用し、広告の配信コントロールを行うことを指します。

この記事では「そもそもアドベリフィケーションとは何なのか」「どのような役割やメリットがあるのか」を詳しく解説します。Web広告の効果をさらに高めたい方は必見です。

アドベリフィケーションとは?

アドベリフィケーションは「アド(ad)」+「ベリフィケーション(verification)」からなる単語で、アド(広告)をベリフィケーション(要求に沿ったものか検証する)する、と捉えるとわかりやすいでしょう。つまり、Web広告を打った後に、適切なサイトに掲載されているか、どれくらい見られているのか検証することを意味しています。

なぜアドベリフィケーションが必要なのか

Web広告検証の難易度は非常に高いものです。その理由について説明するためには、まずWeb広告の仕組みについて解説しなければなりません。

Web広告はよく看板に例えるとわかりやすいです。一般的に、国道沿いなど交通量の多い場所に設置する看板は広告料が高く、反対に、交通量の少ない場所にある看板は広告料が安いです。同様に、アクセス数の多いサイトは広告料が高く、アクセス数が少ないサイトは広告料が安くなるのです。

しかし、これは広告主とサイトの保有者が直接交渉をした場合の話。Web広告は質量を持たずデータ上のやり取りで完結してしまうので、一度に大量の広告を掲載できます。そのため、広告主とサイトの保有者が広告掲載の交渉を都度行うことはありません。

参考:アドベリフィケーションとは|デジタルマーケティングラボ

Webマーケティングの礎となっているDSP

このような特性を持つWeb広告業界で誕生したのがDSP(Demand-Side Platform)です。広告の大量配信を可能にする役割を果たしているため、現代のWebマーケティングにおける基盤ともなっています。

多くの方がインターネットを利用するようになり、無数に存在するWebサイトには、毎日数え切れないほどの人々が訪れるようになりました。そして、数あるWebサイトの中から、自社サービスのターゲット層をより多く呼び込んでいるサイトに広告を出したい、と考える広告主が増加した結果、それを叶えるツールとしてDSPが生まれたのです。

DSPによって配信される広告の品質

これまではGDN(Google Display Network)やYDN(Yahoo Display Ad Network)を活用して利用する媒体を一つずつ選んでいましたが、DSPによって広告の一斉配信が容易になりました。

一方で、広告主側が把握しきれないほど多数のサイトに広告が配信されてしまうため、先ほど述べたようにブランドイメージを傷つけるようなサイトにも広告が配信されてしまう可能性が生まれてしまったのです。

そのため、Webマーケターには新たに「広告の品質をチェックする」という業務が発生。これがアドベリフィケーションが必要な理由であり、役割と言えます。

アドベリフィケーションの役割

アドベリフィケーションは、大きく2つの役割を果たします。それは「ブランドイメージの保護」と「広告費用対効果の向上」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

広告主のブランドイメージを守るための施策

アドベリフィケーションによって広告を検証する目的は様々ですが、主な目的は「ブランドイメージの保護」です。

Web上には様々なWebサイトが生まれていますが、その全てが健全なものではありません。中にはアダルトサイトや、違法にアップロードされた動画や音楽を掲載しているWebサイト、内容がなく信頼性の薄いWebサイトも存在します。

例えば、ブランドイメージの良い大企業が打った広告がアダルトサイトに掲載されてしまうと、閲覧者に企業の悪い印象を与えてしまいます。サイトの持つ雰囲気やイメージが広告にも波及的に影響を与えてしまうためです。

こういった状況を防ぐために、一度打ったWeb広告をそのままにせず、どのサイトに貼られているのかを確認し、不適切なサイトに自社の広告が掲載されている場合は、掲載を停止するなどして広告の品質を高める必要があるのです。

広告の費用対効果を高める

アドベリフィケーションにはブランドイメージ保護の他にも「広告費用対効果の向上」という役割があります。先述したとおりWebサイトに掲載される広告は、道路沿いの看板広告と同じような役割を果たすものです。つまり、顧客の認知や購買意欲を刺激し、ブランドイメージや集客力の増加が目的となります。

そのため、「広告を見てもらう」だけでは意味がなく、その上で顧客の心理に呼びかけられる仕組みが必要なのです。高齢化が進む地域に20代向けの広告を打ち出したとしても、目には入りますが購買には繋がりにくいでしょう。

Web広告にも同じことが言えます。どれだけアクセス数が多いサイトであっても、広告をクリックしてもらえなければ、広告主が伝えたかった情報を上手く伝えることはできないのです。

クリックしてもらえない理由としては、掲載したWebサイト広告のターゲットが合致していないことや、広告の掲載場所やデザインがターゲットのニーズと合致していないことなど、様々な原因が考えられます。

いずれにせよ、効果の出ていないWebサイト広告を貼り続けていては広告費の垂れ流しになってしまうので、広告の掲載をストップして効果を高めるための施策を考えたり、効果測定を行ったりする必要があるでしょう。

このように、「効果の出ているサイト」と「効果の出ていないサイト」を見分けるためにもアドベリフィケーションは有効な施策と言えます。

アドベリフィケーションでWeb広告の最適化を

Web広告配信において、完璧な整備が行われているとはまだまだ言い難い状況にあります。そのため、広告配信を最適化するアドベリフィケーションは、これからさらに注目を集める施策となるでしょう。

これまでは広告といえばテレビ番組の間に差し込まれるCMが主流でしたが、これからは破竹の勢いが止まらないOTTが広告の主戦場になる、という見方もあり、アドベリフィケーションの重要性がより高まると予想されます。

また、国内ではアドベリフィケーション問題を解決すべく、「アドベリフィケーション推進協議会」も2017年に発足されています。

アドベリフィケーションについて正しい知識を備えておくことで、様々なメリットを享受できるので、ぜひこの記事を参考に今一度自社のWeb広告を見直してみてはいかがでしょうか。

参考:
OTT、アドベリフィケーション他 インターネット広告関係者が予測する業界トレンド――IAS調査
アドベリフィケーション推進協議会

DSPの基本についてはこちら

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