顕在ニーズを引き寄せる。月間1,500件の問い合わせを獲得するオウンドメディアの作り方
前回の記事で、「自社のサイト運営で試行錯誤した中で、本当によかったものだけをクライアントに提供できるというのがSoLaboの強み」と語った株式会社SoLabo 代表取締役社長の田原 広一氏。
創業融資を受けたい人たちに役立つ情報やノウハウを提供する「創業融資ガイド」「inQup」「資金調達ノート」の3つのメディア運営の成功で毎月1,500件以上のインバウンド問い合わせを受けるという同社には、本業の創業融資と同じくらい自社メディア立ち上げの相談も寄せられる。そこで連載3回目となる今回は、SoLaboのサイト運営のノウハウについて深堀りして聞いてみることにしました。
無料でメディア運営を請け負う理由
ferret:まず初めに、SoLaboさんがメディア運営を請け負うことになった経緯について教えてください。
田原:リスティングなどの広告運用だけでは差別化ができないため、最終的には手数料の値引き合戦になってしまいます。私はかねてよりジャパネット高田の戦略に興味を持っているのですが、他ではなくジャパネットが買い続けられる理由は付帯商品をセットで色々とつけることで他社との比較ができなくなるために、結果として独自性を獲得できているからです。
私もそれにならって、一定以上の広告予算を任せていただけるクライアントに関しては、自社の強みであるメディア運営をサービスとして提供することにしました。任せていただいている予算のマージン分の中で請け負うので、最初に提案するとだいたい感動されますね。
ferret:単なるサービスとしてやっているわけではありませんよね?
田原:もちろんです。結果的に、クライアントのサイト評価を上げることで広告運用のパフォーマンスを上げ、扱い額を増やすことにつながります。通常、短期の刈り取り施策と長期のサイトづくりは同時に依頼されることはないので、長期の分を自主的に任せてもらうことでWIn-Winの関係をこちらから構築することができるのです。
ferret:それでは、実際にSoLaboさんがクライアントのサブメディアを立ち上げる時に行うことを、順を追ってご紹介いただきたいと思います。
STEP①:ドメインパワーを確認する
田原:最初に行うことは本サイト(コーポレートサイト)の「ドメインパワーの確認」です。極端な話、上場企業のサイトのサブドメインサイトであれば、絶対に成功します。そうでなくても、自社サービスや商品があると思いますので、それについてのメディアを作るのが基本です。
具体的な調べ方ですが、Ahrefsというツールを使って本サイト内コンテンツの検索順位を確認し、ある程度順位がとれているようならドメインパワーが強いと判断します。仮に順位が高くても自社サービス名関連のものは上がって当然なので、ビッグワードがいくつとれているかを見ています。
ferret:もしそのテーマで強い競合サイトがあった場合はどうすればよいでしょうか?
田原:正面突破という道もたしかにありますが、私ならニッチ戦略をとりますね。たとえば「融資」というキーワードで競合サイトが強ければ「創業融資」など少し軸をズラして勝てるポジションを見定めます。「融資」と「創業融資」では、検索ユーザーのニーズも微妙に違ってくるので、そのニーズに真正面から答えるサイトにすることで勝機が見えてきます。
ferret:ドメインパワーの確認以外に事前に調査することはありますか?
田原:トラフィックだけ増えてコンバージョンに結び付かないサイトを作っても意味がないので、まず事前調査としてリスティング広告を打つこともあります。どんなキーワードがコンバージョンがとりやすいかを把握し、そのキーワードを軸にコンテンツを作ることでトラフィックが収益に結び付くメディアにすることができます。
STEP②:とにかく「良質」なコンテンツを作成する
ferret:サイトの方向性が定まったら、次にやるべきことは何でしょうか?
田原:とにかく焦らずに、良質なコンテンツを積み重ねていくことです。一度だけ初期の頃に自社サイトでうまくいかなかった経験があります。その時はクラウドソーシングで初期に100本くらい記事を作成したのですが、記事の品質がよくありませんでした。その後、記事をどれだけ改善してもGoogleからの評価が戻ることはありませんでした。
ferret:どんなコンテンツを作っていけばよいでしょうか
田原:自社サービス・商品がテーマであれば、それに関連するコンテンツを増やしていくのが一番です。写真素材や動画もいくらでも使えますし、具体的な事例も紹介しきれないほどあるはず。また社内の専門家のコメントも使えますので、記事の更新性や専門性といったGoogleから評価される基準を満たしやすいのです。
ferret:本サイトとサブサイト(オウンドメディア)の棲み分けは?
田原:本サイトは「顕在ニーズ」を刈り取るサイト、サブサイトは「潜在ニーズ」を刈り取るサイトという役割分担がよいと思います。たとえば弊社が担当したパーティーハンター様の例を挙げると、本サイトでは「どのパーティー会場がよいか」というコンバージョンに近い情報が載っているので、サブサイトでは「歓迎会でのお礼メールの書き方」などの付帯的な情報を載せるようにしています。
また、意外と見逃せない副次効果として、サブメディアの情報が充実してくると、本サイトのドメイン評価も上がる傾向にあります。同じドメインの中で情報が親子構造になって充実してくるので、結果としてGoogleから専門性の高いサイトとして評価されるのです。
STEP③:リライトで既存記事を「磨く」
ferret:一度作成したコンテンツについて、ブラッシュアップは必要でしょうか。
田原:もちろんです。最初からGoogleに100点の評価を受ける記事を作るのは現実的ではありません。記事を公開してしばらくするとある程度の順位が見えてくるので、その段階で競合コンテンツの分析を行います。競合コンテンツにあって自社にないものを洗い出し、さらに「本当にユーザーの悩み解決に必要か」を吟味した上で、必要だと思ったら追記します。
ferret:その他にリライトのコツはありますか?
田原:検索ユーザーは具体的な悩みを抱えて検索をするので、記事の内容もなるべく具体的にしていくことが重要です。たとえば「飲食店を開業するときはお金がかかります」ではふわっとしすぎているため、「30坪の飲食店を開業するには1,000万円程度が必要です。」と書くことで具体性を高めます。
また、絶対に嘘をつかないこと、ユーザーから愛されることしかしないということも重要です。自社で運営している「創業融資ガイド」で記事作成する中では、カードローン等の話題も避けては通れませんが、その際も「おススメのカードローンはこれ」と紹介するのではなく、「仕方なくカードローンを使うときは」と正直に書くことが重要です。本来おススメしてはいけないカードローンを「おススメです!」と書くことは、ユーザーに嘘をついていることになります。
ferret:なるほど。コンテンツの読者に対しても、対面で向き合う顧客と同じように親身になって向き合うことで、結果的にGoogleからもポジティブな評価を受けることができるということですね。本日はありがとうございました。
編集後記
徹底した「正直経営」が生み出すもの
急拡大中のベンチャーにしては珍しく、常に誠実で落ち着いた語り口を貫く田原氏。全3回に渡ってSoLaboさんを取材する中で、最も印象的だったのが「徹底して正直であること」だ。その姿勢が顧客からの信頼を勝ち取り、同時にGoogleからの評価にもつながっている。これからの時代に必要とされる企業の在り方を先頭をきって体現している会社、それが株式会社SoLaboである。
バックナンバー
「0→1」「1→10」がどちらも叶う。異色のメディアカンパニーが導入する「武者修行制度」とは
誰かの「夢」が1つの事業としてカタチになっていく「0→1」の段階から、次に売上拡大のためにマーケティングを始める「1→10」の段階まで一気通貫して支援する同社ならではの働きがいとは。さらに、同社の成長の秘密でもある「武者修行制度」とは。同社代表取締役 田原 広一氏と、取締役の大石田 一真氏に話を伺いました。
お金は借りたほうがお得!?創業資金調達のプロがこっそり教える「逆説のマネー論」
創業融資支援とデジタルマーケティングのサポートという一見異質な2つのサービスを組み合わせ、数多くの創業者の「夢」をカタチにしてきた株式会社SoLaboの代表取締役 田原広一氏に、目からウロコの「お金」の話を伺います。「いつかは独立」を考える起業志望の方はもちろん、今どき経営者にはすでに常識となっている「お金のリテラシー」を知っておきたいビジネスパーソンも必見の内容です。
- インバウンド
- インバウンドは英語で「入ってくる」という意味で、マーケティングの分野ではプル型(受け身)のマーケティング手法として使われます。
- 広告
- 広告とは販売のための告知活動を指します。ただし、広告を掲載するための媒体、メッセージがあること、広告を出している広告主が明示されているなどの3要素を含む場合を指すことが多いようです。
- 広告
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- 広告
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- コーポレート
- コーポレートとは、日本語の「企業」のことです。インターネット上で「コーポレートサイト」という場合は、企業のホームページであることを表します。また、コーポレートは接頭語として使われることが多く、「コーポレートガバナンス(企業内統制)」などのように、他の単語と組み合わせて使うことが多いようです。会社そのものを指すことが多い「カンパニー」とは使い方が異なります。
- ドメイン
- ドメインとは、インターネット上で利用可能なホームページやメールなどを識別するときの絶対唯一の綴りを言います。電話番号や自動車ナンバーが同一のものがないのと同様に、インタネットにおいても、2つとして同じドメインは存在できない、といった唯一無二の綴りです。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
- ドメイン
- ドメインとは、インターネット上で利用可能なホームページやメールなどを識別するときの絶対唯一の綴りを言います。電話番号や自動車ナンバーが同一のものがないのと同様に、インタネットにおいても、2つとして同じドメインは存在できない、といった唯一無二の綴りです。
- ビッグワード
- ビッグワードとは、多くのユーザーが検索するキーワードのことを言い、主に検索連動型広告、SEOを行う際に用いられる用語です。
- ドメイン
- ドメインとは、インターネット上で利用可能なホームページやメールなどを識別するときの絶対唯一の綴りを言います。電話番号や自動車ナンバーが同一のものがないのと同様に、インタネットにおいても、2つとして同じドメインは存在できない、といった唯一無二の綴りです。
- リスティング広告
- リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果ページに、ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を、有料で表示するサービスのことです。ユーザーの検索結果に連動した形で広告が表示されるため「キーワード連動型広告」「検索連動型広告」とも呼ばれます。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
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- クラウドソーシング
- クラウドソーシング(Crowdsourcing)とはcrowd(群衆)とsourcing(業務委託)を組み合わせた造語であり、webサービス上のやり取りで不特定多数の人々に仕事を依頼する新しい雇用形態の一種です。
- Googleとは、世界最大の検索エンジンであるGoogleを展開する米国の企業です。1998年に創業され急激に成長しました。その検索エンジンであるGoogleは、現在日本でも展開していて、日本のYahoo!Japanにも検索結果のデータを提供するなど、検索市場において圧倒的な地位を築いています。
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