2020年に入り、テレワークが注目されるようになりました。これからテレワーク導入を検討している企業もいるかもしれません。

しかし「実際のところテレワークってどうなの?」「テレワークでちゃんと仕事ができるの?」といった疑問や不安もあるでしょう。

今回はテレワークのメリット・デメリットをふまえ、うまく導入するポイントを解説します。

テレワークとは?

テレワークとは、家で業務を行う「在宅勤務」のことで「リモートワーク」とも呼ばれています。「在宅」とはありますが、自宅以外にもカフェや図書館、コワーキングスペースなどを仕事場として活用できます。

従来「仕事は会社に出勤して行うもの」という概念がありましたが、インターネットの普及やIT技術の発達に伴い、会社以外の場所で働くことも可能となりました。

2020年は東京オリンピックが開催される年。公共交通機関の混雑緩和を目的として政府主導でテレワークが広がっていましたが、2020年に入り新型コロナウイルスが拡大しているため、感染拡大を防ぐ目的として導入する企業も増えています。

参考:
テレワークに必要な4つの要素--「できることから始めてみる」が成功の鍵

テレワークのメリット

通勤時間の短縮化

テレワークの最大のメリットは、通勤時間を短縮できるということでしょう。例えば今まで1時間かけて会社に来ていた人は、自宅で働くことにより通勤時間をゼロにできます。

その1時間で家事や用事を済ませたり、仕事のスキルを磨いたり、さらなる向上のために資格の勉強ができたりと、時間を有効活用できるでしょう。

生産性の向上

2017年に総務省がテレワーク導入企業を対象に行った調査では、導入の目的として「生産性の向上」を挙げた企業が50.1%、そのうち82.1%が「目的とする効果を得た」と回答しています。

すなわち、テレワークは生産性の向上にも役立つ可能性が高い、という結果が得られたのです。

参考:
平成30年版 情報通信白書|テレワークによる働きやすい職場の実現|総務省

運営コストの削減

会社で働くならば人数分の椅子とテーブル、会議室、給湯室の備品、さらに電気代などが必要です。テレワークを導入すれば会社に出勤する人が減るため、これらの運営コストを削減できます。

働きやすい会社づくり

テレワークは仕事と家庭を両立しやすいです。特に育児や介護をしながら働かなければならない人にとって、ワークライフバランスがかなり重要です。

会社という場所に縛られず、仕事以外のことにも対応できる。そんな環境を実現して働きやすい会社づくりを行えば、おのず社員やスタッフの満足度向上、意欲向上にも繋がるでしょう。

人材の確保

テレワークによって働きやすい会社になると、優秀な人材が集まりやすくなります。さらに、場所を選ばないテレワークだからこそ、遠く離れた地方の人材も雇用可能に。

「その人を採用したい」と思っている企業、そして「その会社で働きたい」と思っている人にとって、win-winな関係が出来上がります。

テレワークのデメリット

勤怠管理・労務管理がしにくい

テレワークでは「いつ仕事をしているか」「何をしているか」がわかりづらく、しばしば勤怠管理が課題に上がってきます。中には「サボっているのではないか?」という心配をする上長もいるでしょう。

コミュニケーション不足による業務のトラブル

テレワーク中のやり取りは主にメールや電話となりますが、相手が近くにいないとコミュニケーション不足に陥りがちです。

確認を取らないといけない内容でも、すぐそばにいないことで確認に手間取ったり、後回しにして忘れてしまったりなどのトラブルが発生しやすいです。

急を要する事態が発生したときなどにもすぐ対処できるような体制が必要になるでしょう。

セキュリティリスクが高まる

会社の資料を持ち帰ることを禁ずる企業も多いですが、テレワークでは必然的に社内資料を社外に持ち出すことになります。それによりセキュリティリスクが高まることも忘れてはいけません。

また個人用のパソコンで仕事をさせるのもリスクが高いです。ウイルス対策ソフトを強化した会社用のパソコンを支給する方法もありますが、その分コストがかかるのも課題に。

テレワークをうまく導入するポイント

テレワークのメリットを最大限活かしつつデメリットをサポートするには、工夫しながらテレワークを導入していくことが重要です。そこで、テレワークをうまく導入するポイントを解説します。

「テレワーク・デイ」から始めてみる

「テレワーク・デイ」とは「その日はテレワークで働きましょう」という日のことです。総務省および経済産業省は、東京オリンピックの開会式が予定されている7月24日を2017年から毎年「テレワーク・デイ」として全国一斉のテレワーク実施を呼びかけました。

この運動を参考に「毎月○日はテレワーク・デイ」とテレワークのプレ導入をしてみることをおすすめします。実際のテレワークがどんなものか、経営者・社員ともに実感できるでしょう。

参考:
政府が「テレワーク・デイズ2019」の実施方針を公表しました。

月に数回・週に数回の出勤日を作る

テレワークは「出勤日がゼロ」になる制度ではありません。かなりの遠方でなければ、月に数回・週に数回の出勤日を作るのも良いでしょう。

出勤日を作ることでコミュニケーション不足を補い、しっかりと進捗報告やマネジメントができます。また顔を合わせることで、団結力や仕事に向かう意欲も高められらるでしょう。

評価体制とフォローアップ制度

テレワークでは「何をしているか」が見えづらいゆえに、正しく評価できない可能性があります。そこで、改めて評価体制を見直しましょう。

テレワークに最適な評価体制は「成果評価」です。働いている時間の長さではなく「どれくらいの成果を出せたか?」という営業成果、「どこまで仕事を進められたか?」という進捗評価の体制を徹底しましょう。

成果評価を取り入れることでテレワークにより「成果が出せた人」と「成果が出なくなってしまった人」が浮き彫りになります。成果が出せなくなった人に対しては、フォローアップ制度を用意し、しっかりとマネジメントを行います。

すべて社員に丸投げするのではなく、会社側も体制を整えることがテレワーク成功の秘訣です。

テレワークは選択肢の1つとして用意する

テレワークを導入することで働きやすくなる社員が増えるでしょう。しかしその一方で、働きにくさを感じる社員もいることを忘れてはいけません。

「これからはテレワークにしましょう!」と一方的に決めてしまっては、社員の混乱を招きかねます。テレワークは選択肢の1つとして用意し、社員が働き方の選択権を持つことが、本当の意味での“柔軟性”です。

社員によってはオフィスで働いた方が集中できる人もいる。または、用事がある日だけ自由に動きたいからテレワークにしたい社員もいる。それぞれのニーズに応える手段として、テレワークを導入しましょう。

テレワークに必要なツール

スムーズにテレワークを進めるためにツールは欠かせません。最後に、テレワークに必要となるツールを見ていきましょう。

チャットツール

テレワーク中のコミュニケーションがメールというのは、やりにくさが残ります。そこで、1対1とグループの両方で活用できるチャットツールを利用しましょう。

最近はビジネス向けのチャットツールが増え、コミュニケーションの他にタスク管理・ファイル共有・プロジェクトごとのグループ分け・音声や映像通話などができるようにもなっています。

グループウェア/オンラインストレージ

複数人でプロジェクトを進める場合には、グループウェアが便利です。ワークフローの確認、進捗管理、スケジュール管理、ファイル共有、掲示板によるお知らせなどで業務を効率化できるでしょう。

さらにクラウド上にファイルを保管できるオンラインストレージは、気軽にファイルを共有できるため必要であればぜひ取り入れたいツール。社外からアクセスしても必要なファイルを呼び出せるのがメリットです。

チャットツールとの違いは、情報を留めておけるところ。チャットツールでは古い情報は後ろに流れてしまうため大勢の利用にはあまり向きませんが、グループウェアやオンラインストレージは10人以上が利用しても、スピーディーに必要な情報を引き出せます。

Web会議システム

遠く離れた人と会議を行い、効率よくコミュニケーションや情報共有などを行えるのがWeb会議システム。チャットツールにも通話機能が付いたものがありますが、Web会議システムの方が画面共有ができたり、接続可能数が多かったりと便利です。

会議のために出勤するという手間を省け、重職や管理職が出張に行っていてもしっかりと情報共有ができるというメリットがあります。

クラウドPBX

業種によっては電話対応が必要になります。電話は回線に依存するため、テレワークでの電話対応は向いていないと思われてきましたが、クラウドPBXでは、インターネット上で通話・通信を行い、スマートフォンで代表の電話番号を使った受発信ができるようになったのです。

電話対応で必要な業種にもテレワークを導入する場合には、ぜひクラウドPBXも合わせて導入しましょう。

まとめ

テレワークという働き方自体は数年前からありましたが、注目され始めたのは最近のこと。テレワークによって柔軟な働き方を実現できれば、危機的状況下でも業務をストップさせることなく執り行えるため、結果的に会社を救うことにもなるでしょう。

今後ますますテレワークを導入する企業が増えていくことが予想されます。その波に乗り遅れないように、ぜひテレワーク導入を検討してみてください。