CM総合研究所は、新型コロナウイルス感染症の流行によるテレビCMへの影響をオンエアログをもとに検証した。ACジャパンのCMは、政府が小中高校などに対して臨時休校を要請した2月27日を境に急増し、緊急事態宣言が発令された4月7日に100回を超えたことが分かった。

2月の臨時休校要請を境にACジャパンのCM急増

ACジャパンのCMは、1月中旬に国内初の感染者が確認されて以降、目立った変動はなかった。だが、政府が小中高校などに対して臨時休校を要請した2月27日を境に急増した。

4月1日、2日はそれぞれ111回、118回を数え、翌日からは減少。緊急事態宣言が発令された4月7日に再び100回を超えた。2011年3月の東日本大震災発生直後ほどの大きな影響はないものの、業種や表現によっては出稿を控えたCMが多かったことがうかがえる。

ferret_cmdb.png出典:CM総合研究所

2020年の新作CMは観測開始以来最少の78篇

各商品カテゴリの3月度(2月20日~3月19日)の放送回数を前年比較すると、耐久消費財カテゴリの出稿量が減るなど、中国の生産ラインが中断した影響が見受けられたとのこと。なかでも自動車の車種CMは前年同月から2,000回近く減少。4月1日には毎年平均約130篇の新CMが放送されるが、2020年は2001年の観測開始以来最少の78篇にとどまった。

急速に広まったテレワーク関連では、SB C&M『Zoom』、シスコシステムズ『Cisco Webex』のCMが放送。

通常のCM表現も変化

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどが「臨時休園中」であることを表記し、アフラックのCMでも新型コロナウイルス感染者が保険の対象だと伝えるテロップが入った。

ネスレ日本『キットカット』は香取慎吾が「いっしょにがんばりましょう」と描かれたアートを創作するCMを開始。ジャパネットたかたは「今だから気付けること」をキーワードに、さだまさしや西川貴教らが医療関係者へのねぎらいや体調管理の徹底を語りかけるCMを放送した。

大塚製薬『ポカリスエット』は、中高生が自撮りした動画を用いて、力強い“合唱”を披露するCMをWebで公開。「渇きを力に変えてゆく。」をコピーに、マイナスをプラスに変えることができるというメッセージを込め、4月17日にテレビでもオンエアされる。

このように、新型コロナウイルスの影響でCMの出稿だけでなくクリエイティブ面でも変化が確認された。

プレスリリース:新型コロナウイルスとテレビCM