コロナ禍でD2Cブランドが注目されるのはなぜ?その理由を探る
消費者とダイレクトに繋がり、顧客起点で商品やサービスを展開していくD2Cビジネス。新型コロナウイルス流行前からももちろん注目されていましたが、コロナ禍においてさらに注目が集まっています。
では、その要因とはいったいどこにあるのでしょうか。SNS利用の拡大、外出自粛によるインターネットショッピングの利用頻度増加など、消費者の行動は、コロナ前と後では少しずつ変わってきているようです。
今記事では、これからのマーケティング戦略を考える上で知っておきたい、コロナ禍でD2Cに注目が集まっている理由をみていきましょう。
コロナ禍の消費者行動の変化
新型コロナウイルスの流行によって、私たちの生活に少なからず変化が訪れています。こうしたコロナ禍のライフスタイルの変化に伴い、消費者行動はどう変わり、D2Cビジネスにとってどんな影響を与えているのでしょうか?
まずはその点を見ていきましょう。
変化1:SNS利用時間の増加
画像出典:echoes「「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」結果」
アライドアーキテクツ株式会社がコロナ流行の真っ只中にあった、2020年4月に実施した調査では、新型コロナウイルスの流行により、SNSの利用者が増えている実態が浮き彫りとなりました。回答者の約3人に1人が、外出自粛期間中のSNS利用時間が「増えた」「すごく増えた」と回答しています。
D2Cビジネスは、消費者とのコミュニケーションや情報発信などにSNSを積極的に活用しているのも特徴の一つ。SNSの利用時間が拡大することで、よりD2Cブランドが消費者と接触する機会を得ているとも考えられます。
画像出典:echoes「「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」結果」
もう一つ、着目したいのがSNSごとの利用目的です。同調査では、TwitterやLINE、Facebookがコロナ関連のニュース等情報収集のために使われていたのに対し、Instagramが趣味や好きなことに関する情報収集に多く使われていたことも明らかになっています。
ファッション、コスメ、フードなどどちらかというと楽しみや趣味などを充実させる側面の強いブランドが多く進出しているD2C業界がInstagramを大いに活用していることを考えると、コロナによるSNSの利用動向の変化は、D2Cビジネスにとって追い風とも言える現象だったのかもしれない、と推測することもできるでしょう。
参考:
消費者は今企業SNSをどう見ている?「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」結果発表
変化2:EC利用の増加
画像出典:「2020年5月新型コロナウイルスにおけるEC利用動向調査」
SNS利用時間の増加とともに、外出自粛によって増えているのがEC利用です。MMD研究所が公表している「2020年5月新型コロナウイルスにおけるEC利用動向調査」では、2020年3月に比べて、外出自粛期間となっていた同年5月のEC利用頻度は、約3割の人が「増えた」と回答しています。
外で買い物がしにくい状況の中、インターネットでの購買活動はさらに加速。今まで使っていなかったECショッピング潜在層がコロナ禍をきっかけに掘り起こされた可能性も大きいでしょう。
画像出典:「2020年5月新型コロナウイルスにおけるEC利用動向調査」
また、ECを使って購入されることが多い商品は何かを見てみると、「書籍」「ゲーム・おもちゃ」「家電」などの巣ごもり消費アイテムが上位にランキング。ファッションや化粧品も次いで多くなっています。
こうした状況もD2Cビジネスにとっては、好機。コロナ禍による購買活動の変化が、D2Cビジネスが注目を集めている理由となっているのです。
「アフターコロナ」を見据えたD2C戦略とは
とはいえ、SNSの活用拡大やECショッピングの利用増加などはコロナ流行前から続いていた現象です。D2Cビジネスも、コロナ流行前から様々なブランドが立ち上がって、盛り上がりを見せていたのは間違いようのない事実。
冷静に今の状況を見てみると、コロナ禍という状況が確かにブランドにとって追い風となっている一方で、この状況に頼っているだけではアフターコロナでも通用するD2Cブランドであり続けることは難しいかもしれません。コロナ禍の今こそ、アフターコロナを見据えて、どうブランド戦略を練っていくかが大切な視点です。
では、いったいどんな戦略でD2Cビジネスを展開していけば良いのでしょうか?キーワードを挙げながら、一緒に考えてみましょう。
キーワード1「顧客体験」
新しい商品を企画し、販売し、消費者のもとに届けるまで、全てが顧客体験と密接に関わっているのがD2Cビジネスの特徴です。
従来型のマーケティングであれば、売り場からの声や顧客アンケートなどを通じて消費者の声を把握。売れ行きなどもかけ合わせながら、次の企画や新商品開発をしていくのが一般的でした。顧客にとってこうした従来型マーケティングにおいて、「自分たちが関わっている」「私たちの声が反映されている」という意識を消費者に感じてもらうのは簡単ではありません。
一方で、D2Cビジネスは、SNSなどを通じて消費者の声を直接企業が収集でき、よりダイレクト活スピーディーに次の展開へと歩を進められます。消費者にとって、「自分ゴト化」できる商品は、他の商品と比べて思い入れも深くなり、より強固な固定客となってくれる可能性が広がります。
キーワード2「フラットなコミュニケーション」
もう一つ、D2Cビジネスにおいて大切なのが顧客(見込み客/潜在顧客を含む)とのコミュニケーションです。顧客体験の一部でもありますが、より重要となるファクターなので詳しくみてみましょう。
画像出典:「PHOEBE BEAUTY UP」公式Instagram ストーリーズ
例えば、美容メディアとD2Cブランドコスメを展開する、株式会社DINETTEの運営する「PHOEBE BEAUTY UP」は、コスメのD2Cブランドとして有名です。「PHOEBE BEAUTY UP」では、Instagramのストーリーズ上で商品に関する質問などを募集。丁寧に答えていくことで、より親密な消費者とのコミュニケーションを図っています。
店頭で買い物をするのが難しくても、このように気軽に質問できる環境が整っていれば、消費者にとっても購入前に知りたいことを知れて安心です。新型コロナウイルス流行によって、不安要素となった店頭での接客販売に変わる手段として、D2Cビジネスの手法は多いに注目されているのです。
また、今回のコロナ流行は、これまでブランドとこうしたコミュニケーションをとってこなかった消費者が、今までになかったブランドとのコミュニケーションをとる方法を知るきっかけともなりました。店頭では「買わされるのでは……」と遠慮して、ショップスタッフになかなか質問しにくかった消費者にとって、手軽にSNS上でコミュニケーションをとりながら購入を検討できる仕組みは、便利なものとして受け入れられていくのではないでしょうか。
なぜ「今」D2Cが受け入れられているのかを考える
生活スタイルが少なからず変わった方も多い今。コロナ禍は消費者に対して、D2Cビジネスの利便性の高さを知ってもらう機会になったのかも知れません。
今後のD2C戦略を考える上で大切なのは、なぜ消費者がこうしたD2Cブランドを受け入れているのか、という点です。そこをしっかりと見極めた上で、自社のビジネスに活かすためのコミュニケーション手法や何を打ち出すのかなどを考えてみましょう。
注目のビジネスモデル「D2C」
日本のD2C成功事例から読み解く、成功の共通点
アパレル、コスメ、フードなど業界を超えてメーカーと消費者がダイレクトに繋がるD2Cビジネスは、国内外で注目を集めています。今回は、日本企業のD2C事例を紹介。成功事例から、日本市場でのD2Cビジネスを軌道に乗せるための戦略を考察します。
日本でその波は来るか!? 米・ミレニアル世代に人気のD2C企業
新型コロナの流行により、消費者のデジタル消費が高まる今。顧客体験もデジタルエクスペリエンスの重要性がますます高まっています。こうした中で、今改めて注目されているのがD2C(direct to consumer)というビジネスの形です。すでにアメリカでは多数のD2Cブランドが成長しています。ミレニアル世代に特に人気のD2C企業を例に、日本市場でのD2C戦略を考えていきましょう。
- インターネット
- インターネットとは、通信プロトコル(規約、手順)TCP/IPを用いて、全世界のネットワークを相互につなぎ、世界中の無数のコンピュータが接続した巨大なコンピュータネットワークです。インターネットの起源は、米国防総省が始めた分散型コンピュータネットワークの研究プロジェクトARPAnetです。現在、インターネット上で様々なサービスが利用できます。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- Twitterとは140文字以内の短文でコミュニケーションを取り合うコミュニティサービスです。そもそもTwitterとは、「小鳥のさえずり」を意味する単語ですが、同時に「ぺちゃくちゃと喋る」、「口数多く早口で話す」などの意味もあります。この意味のように、Twitterは利用者が思いついたことをたくさん話すことのできるサービスです。
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