Googleトレンドで見る、コロナ禍で関心が寄せられているサービス

ここからは、withコロナ/afterコロナにおいて一般消費者が実際にインターネット検索をする際に、どんなキーワードに関心を寄せているかを検索ボリュームから検証します。

移動手段・旅行サービス関連

移動手段や旅行スタイルにおいて、「ソーシャルディスタンスを保つ」「高度にプライベート化」というスタイルが注目されそうだ、ということは先述しました。

実際にGoogleの検索ボリュームを過去1年間で調べると、例えば「車 サブスク」というキーワードがコロナ禍以降、昨年と比較して伸長していることが分かります。

Googleトレンド「車 サブスク」過去1年間のチャート
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with/afterコロナで移動手段に関して、感染リスクを伴う公共交通機関を選択するより、ソーシャルディタンス及びプライベート化を実現できる「車」を選びたい、でも急に大きな出費や、長期にわたる車の維持コストは負担したくない、あるいはモノの所有自体をできるだけ避けたい、といった昨今の消費者心理を反映したものだと推測できます。

車のサブスクは、最近では大手自動車メーカーではトヨタが「KINTO」というサービスに参入し、続いて日産も参入を始めています。

今後もwith/afterコロナ時代が長く続くと仮定すると、「車のサブスク」といった移動手段に関する新サービスは、これから消費者に求められるものの一つになっていくかもしれません。

Googleトレンド「軽キャンピングカー」過去1年間のチャート
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「移動手段」及び「旅行スタイル」に関連するもう一つのワードとして「軽キャンピングカー」の検索ボリュームも、過去1年間を通してみると、afterコロナで上昇傾向にあると言えます。

旅行には行きたいけれど、ソーシャルディスタンス及びプライベート空間を保って移動や、さらには滞在そのものも楽しみたい。でも、本格的なキャンピングカーより、もっと気軽な「軽キャン」のほうが現実的に手を出せそう。そんな消費者心理が伺えます。

Googleトレンド「コテージ」過去1年間のチャート
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「旅行」関連では、ソーシャルディスタンス及びプライベート空間をしっかりと保つことができる「コテージ」に消費者の高い関心が寄せられていることが分かります。1年前の夏休みシーズン(2019/7/28ごろ)にも高い水準をマークしていますが、afterコロナにチャートはどんどん右肩上がりとなり、現時点で1年前より高い水準をマークしています。

このように「移動手段」「エンタメ(旅行)」に関して、「人との接触を極力避けつつ過ごしたい、楽しみたい」といった消費者のニーズが見て取れます。

各種サービスのオンライン化

続いて、「各種サービスのオンライン化ニーズ」についてもGoogle検索ボリュームからみていきます。

コロナ禍において「オンライン飲み会」「オンライン授業」「オンライン帰省」など、以前は対面式であったサービス・行動のオンライン化、非対面化に関するワードはよく耳にしました。

そのニーズは、after/withコロナ時代にますます加速していくと考えられます。

教育関連

Googleトレンド「オンライン模試」過去1年間のチャート
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大学進学を目指す高校生が受ける「模擬試験」もオンライン化が始まっており、afterコロナにおいてその検索ボリュームは大きく伸長しています。

駿台予備校は、2020年7月22日に大学共通テスト対策の国内初「オンライン模試」の申込者数が4万人を突破したと発表。従来、新しい模試には受験者が集まりにくいものだそうですが、各家庭のテレワーク環境が進んだことや、地方在住の学生も受験できるメリットなどもあり、初回としては驚くべき申込者数を記録したとのことです。

参考:模試もオンライン、駿台とAIスタートアップが4万人規模で実施へ|日経ビジネス

Googleトレンド「オンライン家庭教師」過去1年間のチャート
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同じ教育関連では「オンライン家庭教師」という検索ワードもコロナ禍以降、高い関心を集めています。かつては「対面式」が当たり前だった教育関連サービスも、「ニューノーマル(新しい日常、新しい当たり前)」では「非対面式」が高く求められていると言えます。

教育関連サービスのデジタルシフトも今後ますます、消費者に求められるサービスになっていくことでしょう。

ショッピング関連

Googleトレンド「お取り寄せ」過去1年間のチャート
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Googleトレンド「食材宅配サービス」過去1年間のチャート
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ショッピング関連では、「お取り寄せ」「食材宅配サービス」という検索ワードがいずれも、コロナ以前より急激増加していることが分かります。

国が提唱する「新しい生活様式」の中で「出前・通販も積極的に利用しましょう」と呼びかけられていたこともあり、多くの人がネット上で日常づかいの食材や、ちょっとした贅沢グルメに関する情報を探していることが伺えます。

最近では、食のデリバリーに関連して「ゴーストレストラン」という概念も生まれています。これは、実店舗を持たずにUber Eatsなどのフードデリバリーサービスと連携し、宅配専業レストランとして営業するレストランのことです。

また、オンライン発で顧客と直接繋がりながら事業を展開する「DtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」という業態も日本国内で少しずつ拡大しつつあり、スイーツなど、食の分野でも注目を集め始めています。

従来、「食」「グルメ」の分野も実店舗を持って「対面式営業」が当たり前でしたが、これからはオンラインのみを起点としたり、フードデリバリーサービスとの連携で実店舗を持たずに営業するなど、新たなスタイルのサービスも消費者に受け入れられ、成長の見込みがある分野だと言えそうです。

参考:5坪のキッチンで7業態が営業、月商500万円。いま話題のゴーストレストランのトップランナー、「ゴーストキッチンズ」代表・吉見悠紀氏インタビュー|FOOD STADIUM
完売続出のチーズケーキD2Cに学ぶ アフターコロナの戦い方|日経クロストレンド
シェフならではの「体験設計」が肝 好調スイーツD2Cの学び|日経クロストレンド

おうちエンタメ関連

Googleトレンド「オンライン陶器市」過去1年間のチャート
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2020年のゴールデンウィークに開催された「益子陶器市」は、Google検索ボリュームで見てもコロナ禍において大きな関心が寄せられました。

これは、毎年栃木県内でリアルイベントとして開催している陶器市をECに移行し、「オンライン陶器市」として開催したもの。全国の益子陶器のファンの注目を集めて想定の4倍の売上を記録し、物販を伴うオンラインイベントの成功事例となりました。

参考:EC移行で広くファンが集結 想定の4倍を売り上げた益子陶器市|日経クロストレンド

Googleトレンド「オンライン観光」過去1年間のチャート
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先述した地方の陶器市にも当てはまることですが、従来では現地に行かないと楽しなかったような「観光」も「オンライン化」が注目され始めています。

Googleの検索ボリュームで見ると、「オンライン観光」という言葉がコロナ禍以降、やや伸びてきていることが分かります。

オンライン観光」とは、例えば、地方の酒蔵、ビール醸造所、養鶏場といった場所をビデオ会議ツール「Zoom」などを使ってオンラインで見学する体験などが当てはまります。ただ画面越しに産地を見学するだけでなく、申込者には事前にビールなど現地の産品が届いて、それを味わいながら視聴したり、画面の向こうにいる生産者と双方向に会話をしながら案内をしてもらうこともできます。

あくまでオンラインなので現地の空気や気候、自然などを直接味わうことはできないものの、参加者は自宅など好きな場所に居るわけですから、子供やペットと一緒に参加することも気軽なものとなり、「対面式」と比較すると各自がプライベート空間を保ちつつ、リラックスして思い思いのスタイルで参加することが可能になる、というメリットがあります。

参考:自宅にいながら旅しよう! Zoomで産地見学ツアー「おこもりツーリズム」|ヒトサラMAGAZINE

このように「地方の産直市のEC化」や「オンラインツーリズム」に消費者のニーズがあることを踏まえると、「コロナ禍だから……」と開催を諦めていたイベントも、アイデア次第でオンライン化、EC化することで商機があると言えそうです。

フィンテック

最後に、フィンテック分野のニーズについてです。

Googleトレンド「株 アプリ」過去1年間のチャート
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長期化するコロナ禍で消費者の節約意識が高まり、「節約(出費を抑える)」という行動への関心から「投資(お金を増やす)」という行動にまで関心が及んでいくだろう、ということは既に先述しました。

それを裏付けるように、コロナ禍以降において「株 アプリ」の検索ボリュームが大きくなってきています。

コロナショックによる市場の動揺で株安となり、「買い」のタイミングが訪れたこともあり、これからは「投資」でお金を増やそうと考えている人が増えている様子が伺えます。

投資初心者でも気軽に株を購入・管理できるようなアプリなど、フィンテック分野のさらなる成長もまた、消費者に受け入れられるサービスの一つだと言えるのではないでしょうか。