スマートフォンの普及などにより若者のテレビ離れが進んでいると言われている昨今。5G環境の整備などによって、今後ますますインターネットを通じてのメディア接触が増える傾向にあることは明らかです。そんな中、これからの時代の広告手法として、多くの企業が注目・実施しているのがインターネット動画広告です。

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画像出典:総務省 令和元年版 情報通信白書

総務省が発表している「令和元年版 情報通信白書」では2000年以降、テレビの視聴時間は右肩下がり。*一方で、インターネットの利用時間は、ほぼ全ての年代で右肩上がりとなっています。*依然としてテレビCMのインパクトが大きいとはいえ、SNSやYouTubeなどを使った動画広告戦略は避けては通れない道です。テレビCMの補完としてのインターネット動画広告、ではなくSNSやWebコンテンツとしての価値を最大化させるためには、いったいどのようなことをすれば良いのでしょうか。

本記事では、インターネット動画広告の成功事例を元に、マーケターはどのような視点で当社の動画広告を作っていけばいいのか、そして分析・評価していけばいいのかをご紹介します。

参考:総務省 令和元年版 情報通信白書

動画広告を伸ばすための分析指標とは

具体的な動画広告の成功事例を見る前に、そもそも動画広告とはどのように効果を評価すればいいのかについて触れておきましょう。いくらかっこいい動画が出来上がっても、広告の目的とズレていれば意味がありません。これから動画広告を導入する際には、目的に合わせたKPI指標を設定し、仮説・検証を繰り返していく必要があります。

動画広告の目的によって異なるKPI

動画広告と一言で言っても、その目指すべきゴールは異なります。
認知拡大、商品の購入、登録者や会員の獲得など、どこにKPIをおくかによって、動画広告をどう作っていくべきかという戦略が変わります。

例えば、新サービスを紹介するための動画広告を制作する場合。サービスの存在を知ってもらうのはもちろんですが、今までになかったサービスであれば「どんなサービスなのか」を訴求する必要があるかもしれません。

認知拡大のための動画広告であれば、KPIは視聴回数や、表示回数、ユニーク視聴者数、ブランド認知度などが考えられます。また、見込み客の獲得と商品・サービス購入の検討をしてもらうことが目的であれば、KPIは再生時間や視聴完了率などが挙げられるでしょう。その先の、実際の購入や問い合わせ獲得を目的とするなら、KPIは当然クリック率や問い合わせ件数、会員登録数、実際の売り上げなどになってきます。

効果を確認してPDCAを回そう

再生回数や視聴率、ユーザーの反応数など動画広告の目的に合わせたKPIを設定したら、実際に動画広告の効果を測定し、次の広告戦略へと生かしましょう。効果測定には、Google Analyticsや、YouTubeアナリティクス、Googleのブランド効果測定サービスなどが活用できます。

仮に再生回数をKPIとして設定しているのに、再生数が伸びないとしたら、サムネイルの改善や出稿先の検討、想定ユーザー層とのギャップなどが考えられます。また、視聴完了率が低い場合には、動画の構成や長さなども要因として考えられるでしょう。

動画広告成功事例

実際に、動画広告を成功させている企業の例を見て見ましょう。
動画広告と一口に言っても、SNSのコンテンツ形態で動画広告を制作する事例や、InstagramストーリーズやIGTV、TikTokの活用、YouTube広告など出稿先もスタイルも様々です。

アウディ(YouTubeインストリーム広告)

YouTubeの動画広告には、動画の前後や途中に挿入される6秒以上のインストリーム広告と、6秒と短尺のバンパー広告があります。
このインストリーム広告をうまく活用して成功を収めているのが、自動車メーカーの「アウディ」です。

YouTubeのインストリーム広告の特徴の一つが、広告再生から5秒を経過するとユーザーが動画広告をスキップできるところ。全て試聴した場合に課金され、スキップされた場合には広告費が発生しません。

そこでアウディが考えたのが、スキップされることを前提に考えた動画広告です。
この広告に登場しているアウディR8は、発進から3.5秒でトップスピードまで達せられるのが特徴の商品です。そこで、スキップ可能になるまでの5秒を①発進からトップスピードに達するまで(3.5秒)と、②社名・商品名の訴求(1.5秒)に集約。5秒で十分広告で伝えたい内容をまとめています。さらに、5秒後には「You can skip the ad now(もう広告をスキップしても大丈夫)」とテロップを出す徹底ぶり。

あえて、広告をスキップさせるという斬新な手法で、ユーザー行動を考えつつ、最小限の投資で最大限の広告宣伝効果を上げることに成功しています。商品訴求のためには、動画試聴完了率が必ずしも高くなくて良い、という好事例かもしれません。

参考:「5秒しばり」を逆手に取ったYouTube動画広告 〜アウディとオペル 2つの成功事例

ダスキン(YouTube動画広告)

ターゲット層に的確に届け、問い合わせ数増加に結びついた動画広告事例としてご紹介したいのが、ダスキンのアニメ広告動画です。40〜60歳女性というターゲット層に向けたこの動画広告では、アニメーションを使って介護支援サービス(ダスキン ホームインステッド)の内容をわかりやすく訴求。問い合わせ件数が倍増しています。

YouTube動画広告はスキップされてしまうのではないか……と思われがちですが、動画のクリエイティブの工夫と正しいターゲット設定により、効果を得ることも十分可能という事例です。

popin Aladdin(インスタグラムストーリーズ広告)

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画像出典:popIn Aladdin Instagramストーリーズ広告

動画広告はYoutubeのみならず、SNSでもよく目にするようになってきています。
例えば、Instagramであれば、フィード投稿だけでなく、ストーリーズでの動画広告活用事例も出てきています。

プロジェクターとシーリングライト、スピーカーの3つの機能を兼ね備えた「popin Aladdin」は、ストーリーズ上で動画を使って使い方を訴求。画面真ん中に動画を、下部にテキストを配置しています。ストーリーズ広告は動画広告とも相性がよく、Instagramアカウントへと誘導。気軽に広告が出稿できるので、CV単価もトライアンドエラーでよりよいものへとシフトできます。

的確な出稿先に動画広告を

今回はYouTubeの動画広告を中心に成功事例をご紹介しました。動画広告の世界は、他にもSNSなど出稿先のバリエーションは実に多彩。ターゲットを見極め、的確な出稿先に動画広告を出すとともに、媒体の特性を生かした広告内容の精査も考えてみましょう。

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