コロナウイルスが流行したことを受けて、政府やWHOは感染対策としてさまざまな施策を打っていきました。その一環として知られているのが、ソーシャルディスタンス。ある一定の距離感を保つことで飛沫や接触を避けることで、感染するリスクを軽減するというものです。

実際にその施策が導入されるようになることで、予防に対する意識の向上にもつながり、より危機感を持つことができる環境構築が可能となりました。しかしソーシャルディスタンスに加えて、フィジカルディスタンスという言葉が使われ始めています。

この2つの単語は非常に似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。今回はフィジカルディスタンスについての解説を中心として、ソーシャルディスタンスの違いや、なぜこの言葉が生まれたのかといった経緯についても紹介していきます。

フィジカルディスタンスとは?

ではフィジカルディスタンスが持つ意味について見ていきましょう。まずは言葉の意味を知り、根本的な理解を進めていくことが重要となります。コロナ時代を生きるためには知っておく必要のある言葉なので、しっかりと押さえてください。

WHOが推奨しているコロナ対策の一環

フィジカルディスタンスはWHOが推奨する感染予防策の1つです。物理的に一定の距離を保つことで、コロナウイルスなどに感染することを防ぐ効果があるとされています。具体的な距離感としては2mといわれ、実際に距離をとってみるとコロナ以前と比べかなり距離感を感じるもの。

コロナ以前の生活を知っている人にとっては、2mの距離感をとるとなると違和感があるはずです。それほど慎重に予防対策をしていこうという指針が見えます。

参考:ソーシャルではなく“フィジカル”ディスタンス 新型コロナ対応の学術知見発信、放送大学

ソーシャルディスタンスと混同する可能性が高い

しかしフィジカルディスタンスの意味から考えると、ソーシャルディスタンスと混同してしまう可能性が非常に高いです。というのも2つの言葉の違いはかなり近いものであり、微妙に内包している意図や意味合いが異なっているという違いしかありません。

とはいっても今後の社会が円滑に回るためには、フィジカルディスタンスに込められた想いについても理解していくことが重要。withコロナ時代を生きていくとすれば、別の言葉として認識しておきましょう。

ソーシャルディスタンスとフィジカルディスタンスの違い

では2つの言葉にどのような違いがあるのかを見ていきます。似ている言葉ですが、時代感やなぜこの言葉が推奨されるのかが理解できれば、より違いを明確に意識できるでしょう。ぜひ本項でさらに理解を深めていきましょう。

ソーシャルディスタンス

2つの単語の違いを示す前に、ソーシャルディスタンスという言葉の定義を今一度確認していきます。ソーシャルディスタンスは、日本語訳で「社会的距離」となりますが、コロナウイルス感染予防を意識した距離感のことです。

コロナウイルスを始めとする感染症は、飛沫感染や接触による感染の防止が見込めます。もし距離感をとるという概念が発信されていなかったとしたら、予防を意識してしまったとしても無意識のうちに人が密集してしまいかねません。

そこで政府から一定の距離感を保つよう呼びかけることで、社会全体が感染しない環境を作っていこうとする取り組みとなっているのです。次第に社会にも浸透し、現在では街のいたるところでソーシャルディスタンスを意識した施策が打たれています。

参考:新型コロナウイルスに関連する3密、ソーシャルディスタンスとは?クリニックフォアグループの医師が解説します。

ソーシャルディスタンスとの違い

ではフィジカルディスタンスとソーシャルディスタンスの違いについて紹介していきましょう。簡単にいうと違いはほとんどありません。というのも施策などの中身自体は同じなので、実際に違いを定義するとなると、施策をおこなっていく中での精神的な側面に焦点を当てることになります。

フィジカルディスタンスは、ただ物理的に距離をとることを強調する形で生み出された言葉になります。そのため長い間続くコロナとの戦いを続ける中、生まれた問題点を改善するのがフィジカルディスタンスなのです。

精神面への配慮がコロナ時代には必要

コロナウイルスとの戦いは長期化し、多くの人が以前の生活よりもストレスフルになりました。そのため少しのストレス要素であっても、傷ついてしまうことを想定する必要があるでしょう。その施策の1つとしてフィジカルディスタンスといった言い方の変更なども重要になるのです。

またソーシャルディスタンスという言葉は、よりコロナウイルスが脅威となりこれまでの生活が遠くにあることを意識させる解釈もできてしまいます。何度も使われる言葉であることからも、通常よりも慎重なネーミングが求められるのです。

少しの違いにはなりますが、これからの生活を乗り越えるための施策としては有効な手段といえるでしょう。