ホームページを訪問した人が、あなたの会社に問い合わせしたり、商品を購入したりと、意図したゴールにたどり着くことをコンバージョンといいます。

成果を上げるため、Webマーケティングの世界では、リスティング広告やSNSを運用したりと多種多様な手法が採用され、その中にはコストをかけずにコンバージョン率を上げる方法が存在することをご存知でしょうか。その一つは、文章でホームページ来訪者の心を動かすことです。

そこで今回は、文章でホームページ来訪者の心を動かす"心理学"の要素を取り入れた、9つのライティングアイデアをご紹介します。

ホームページ来訪者の心を動かす、9つのライティングアイデア

1. 禁止する

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"禁止される"、とかえって気になってしまう心理学的な効果を*「カリギュラ効果」*と呼びます。禁止される分だけ「やってみたい」「覗いてみたい」「行ってみたい」「言いたい」という衝動に駆られてしまいます。

仮に、あなたが宅配役を頼まれたとします。そして、「この中身は絶対に見ないで!」と強く言われたらどうでしょうか。きっと中に何が入っているのか気になって仕方ないはずです。

それに近しい例が下記になります。


雑誌等でも袋とじページが付いているものがありますが、"買うまでは中を覗くことができない"というのは、人の好奇心を増長させる効果があります。


よく老舗の旅館や会員制ホテルなどで、「一見さんお断り」と書かれたお店を見たことがあると思います。すでに何度か行ったことがある人であれば何とも思わないでしょうが、そうした場所へ行ったことのない人にとっては「いつか行って見たい」と思うはずです。

まさに、この2つはカリギュラ効果の典型的な例といえます。

このように、禁止すればするほど、相手の興味をそそることができるのです。ただコンバージョン率を上げたいのであれば、ただ単に禁止するだけではなく、その理由も添えてください。


この化粧品は、多くの人に使ってほしくありません。数に限りがあるため、本当に価値のわかる人だけ手に取ってください。

このように禁止されることで、化粧品に興味がある人なら、購入するかどうか迷うでしょう。

しかし、次のような商品説明ならどうでしょうか。


この化粧品は、8日間の限定販売です。
今までのアンケート調査では、モニターの実に97.3%が非常に満足だと回答しています。なので、満足いただけない場合は、返金保証をつけます。

ただし、この化粧品は多くの人に使ってほしくありません。この商品は丹念に、職人が手作業で一つひとつ作っているため、数に限りがあります。

そのため、売れ過ぎてしまうと、本当にこの商品を求めているお客様の手に届かなくなってしまいます。本当に価値のわかる人だけ手に取ってください

単に禁止するだけではなく、「職人が手作業で一つひとつ作っている 」「売れ過ぎてしまうと、本当にこの商品を求めているお客様の手に届かなくなってしま う」と理由を付け加えることで、反応率が上がるのです。

2. 誰にでも当てはまりそうなことを書く

「現状の生活に、不満を感じていませんか?」

広告などで、このような表現をよく目にしたことがあるかと思いますが、不思議とこう言われると、「ドキっ」としてしまうものです。このように、誰にでも当てはまりそう表現を用いて、自分のことだと思わせる心理学上の効果を*「バーナム効果」*といいます。

誰にでも几帳面なところや大雑把なところがあるのに、「A型は几帳面だ」「O型は大雑把だ」と言われると確かにそうだと思うのは、このバーナム効果によるものです。

例えば、長文の最後に、こんなフレーズがあったらどうでしょうか。


「ここまで読んでくれたあなたは、非常に素直な方です」

長文を読み終えるくらいなので、いい加減な気持ちでは読んでないでしょう。
しかし、あえて、このように書くことで、相手は「何でわかったのだろう」「この人は私のことをわかってくれている」という気持ちになり、自然とこちらに対して信頼感を持ってくれます。

3. 際立った特徴を大きく見せる

ホームページやSNSのプロフィール欄を見て、「シリコンバレー在住」や「海外留学経験あり」といった記載があると、それだけで普通の人が書く記事よりも良い記事に見えてしまうことがあります。

こうした際立った特徴をより大きく見せることでカリスマ性を示したり、自分のポジションを高めたりする効果のことを、*「ハロー効果」*と呼びます。

先ほどの例でいうと、実際には「シリコンバレーに住み始めてまだ1ヵ月」かもしれないですし、「10年以上も前に3ヵ月だけイギリスに留学していた」のかもしれません。しかし、先ほどのように特徴の詳細には触れず、抽象的に見せることで、相手に良いイメージを持たれやすくなります。

また、本人によるハロー効果だけでなく、本人以外の人によるハロー効果というものもあります。


出版業界を例にいうと、新人作家が書籍を出版した際、本の帯に「●●氏の推薦!」と有名人のコメントが書かれているだけで、この本は面白いのではと興味・関心が増す場合があると思います。

まさにそういうを指しており、Webライティングの場合は、ライター本人だけではなく、著名人と一緒に記事を書くことで、ライター自身のポジションも上げることが可能です。

4. 記事の露出を増やす

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何度も見たことのあるテレビCMは、記憶に残るだけでなく、初めて見るCMよりも好感も持てるものです。

このように、接触回数が増えるほど好意を持ってしまう心理学上の効果を、*「ザイオンス効果」*と呼びます。

ブログやホームページを例に考えてみます。月に一度、渾身の記事を一本掲載するよりも、接触回数が多すぎると嫌悪感を与えかねないので投稿本数等は考える必要があります、記事の質にバラつきがあっても毎日ブログやホームページを更新しているほうが好感度が高まります。

5. 無理な要求のあとに受け入れやすい要求を出す

テレビショッピングで、番組(コーナー)の冒頭で、ある商品に高額な値を付けられていたとします。しかし、終盤になってその商品の値段が極端に下げられて、「この価格なら購入しても良いかも」と思った経験ありますよね。この手法は、心理学において*「アンカリング効果」*と呼ばれています。

高級ブランドショップでは、商品を案内する時に、価格が高いものから順に案内します。


60万円のバッグを勧めた後に、今度は40万円のバッグを案内します。

すると、60万円のバッグの後に40万円のバッグを紹介された時のほうが、最初から40万円のバックを勧められる場合と比べて、購入する確率が高くなります。

「アンカリング効果」は、最初にインプットした数字や価値観が、その後の判断に影響を及ぼすという認知バイアスの一種で、先ほどの例でいうと、60万円のバッグを比較対象として登場させることによって40万円のバッグが相対的に低く感じてしまいます。

数字は「アンカリング効果」を引き出しやすいのでよく使われますが、Webライティングにおいては、Aを紹介したいのであれば、Bという比較対象を出すことでAを高めることができます。

6. 権威ある人の意見の後に自分の見解を書く

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「このお茶を飲めば気分が爽快になる」

この場合、「誰が発信している情報なのか」が重要で、お医者さんが言うのと、素人が言うのとでは、信憑性が変わってきます。先の例で言うならば、信憑性の高いお医者さんを信じる人が多いと考えられ、説得の成否を決める上で非常に重要です。
しかし、"経過時間"と”記憶にどれだけ残っているか"というのは反比例の関係にあり、「誰が発信者だったか?」に関する記憶は徐々に薄れていき、結果として「このお茶を飲めば気分が爽快になる」という事実だけが頭に残ります。

そのため、仮に、信憑性の低い人が同じ意見を発信してもメッセージの説得力が増大するという効果が見られ、心理学上ではこれを*「スリーピー効果」*と呼びます。

若手のWebライターは、その「若さ」が最大の武器であると同時に泣き所にもなります。そのため、情熱を持って素晴らしい意見を伝えても、同世代と比べて年配層にメッセージが届きにくいことも多く、そういうときは同じ考えを持った実績のある方の意見を先に出すことで、自分の主張が伝えやすくなります。


「アインシュタインも言っていたのですが……」
「イチローも実践していたことなのですが……」

つまり上記のような前置きをあなたの主張の前に入れるだけでも、説得力が増し、あなたの意見がより引き立ちます。

7. 話を曖昧にしながら別の話に切り替える

テレビ番組でCMに入る直前、この後の予告をチラっとだけ見せることで「早く次が観たい」と視聴者に思わせる、実はここにも心理学上の効果が使われています。ご存知だったでしょうか。この効果のことを心理学上では、*「ツァイガルニク効果」*と呼びます。


ホームページやブログでリード文の後に「続きを読む」というリンクを入れたり
CMや車内広告で「続きはWebで」というコピー

これらを目にしたことがあると思いますが、普段の生活の中にも、先ほどのテレビCMの例同様、ツァイガルニク効果がよく使われています。

「ツァイガルニク効果」は、まだ達成できていない、未完了の中断された事柄のほうが、完了・達成できた事柄よりもよく覚えているという現象のことをいいます。一見どんな仕事をしているのかわからない人に会うと、「この人はどんな仕事をしているんだろう?」と好奇心が湧いてきます。曖昧さや不確かさに出会うと、脳はその情報を補完しようとするのです。

相手にあなたの商品やあなた自身のことを印象深く覚えてもらいたいのであれば、相手に全ての情報を与えてはいけません。この効果だけを使ってコンバージョン率を上げることは難しいですが、注意・注目を惹きつける方法なので、ぜひ覚えておいてください。

8. 一番伝えたいことを話しの一番最後に持ってくる

社長や校長先生のスピーチを聴く時に、話の出だしの部分よりも、後半のクライマックス部分のほうが記憶に残っていることがよくあります。これは、話の重要性だけでなく、話す順番にも大きく影響してきます。

箇条書きで提示されたリストを記憶する際に、そのリストの順番によって、各項目の記憶保持状態に大きな差異があることは、実験によって証明されています。こうした心理学上の効果を、*「系列位置効果」*と呼びます。

比較的前のほうにあるものよりも、後ろのほうにあるもののほうが記憶が残りやすく、これは聴覚情報だけでなく、視覚や嗅覚、文字情報などにも関係します。あなたがホームページブログで伝えたいことがある場合には、最も伝えたいことは始めではなく終わりに持ってきたほうが、より伝えやすくなります。

9. 読者に「あなた」と呼びかける

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友人とパーティー会場に出かけ、立食を楽しんでいると仮定します。
パーティーにはたくさんの人がいて、周囲の騒音は計り知れないものです。しかし、その中にあってもあなたは自分が話している相手の声だけはしっかりと聴くことができます。周囲で話している人の声はほとんど頭に入ってこないのに、自分が話している相手の声はなぜか聞き取れてしまうものです。

このように、「自分が対象となっている場合」にのみ、相手を強く意識するという効果を、心理学では*「カクテルパーティー効果」*と呼びます。

この効果をWebライティングに置き換えて考えてみると、登場人物は"自分と読者の2人だけ"になります。つまりは、それ以外の騒音が気にならなくなり、読者は読むことだけに集中することになります。

それでは、Webライティングを行う場合、相手の注意をそらさないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。
答えは、読者に「あなた」と呼びかけることです。

名前を呼ばれると、自分に関係があることだと認識できるのですが、ホームページブログでは、読者の名前を知ることはできません。ですから、「あなた」と呼びかけて「あなた」と「私」という関係性を作り、相手と関連性の高い内容を書いていくと、それだけで相手の意識を書き手に向けることが可能になります。メールマガジンを発行する場合など、相手の名前を使うことができる場合には、相手の名前を呼びかけるように書くとより効果的です。

まとめ

色彩や全体的な印象など、ホームページでコンバージョン率を上げる方法は様々ありますが、その中でも言葉は相手の行動を促す上で最も有効な手段の一つです。心理学的な効果をテクニックとして使うことで、興味を持ってくれる人が増えるなら、これほど嬉しいことはありませんよね。

今回紹介したライティングアイデアの中で、使えそうなものがあれば、ぜひ活用してみてください。