ネットショップは、対面営業とは異なり、消費者と直接顔を合わせず、コンテンツのみでクロージングまで持っていく必要があります。
購買意欲をかき立てる文章を作れることは、売り上げに関わる重要なスキルです。

では、どのようなコンテンツを用意すれば、消費者の消費心理を刺激して、最終的にクロージングに至ってもらえるのでしょうか。

そこで今回は、クロージングできる文章を作成するために知っておきたいことを、心理学的要素を交えながら4つの切り口でご紹介します。

クロージングできる文章を作成する時に気をつけたい4つのポイント

1.希少性をもたせる

記事内で紹介する商品や商材に、*「希少性」*を持たせましょう。
希少性とは、需要に比べて供給が少ない状態のことです。

供給が少なくない場合でも「珍しい」「限定」などのキーワードで希少性をもたせることができますが、より訴求するためには数字の使用が効果的です。

以下の2つの文章を見て、どちらに希少性を感じますでしょうか。

A:珍しい商品のため、営業時間を短縮して販売します。
B:珍しい商品のため、1日1時間のみ販売します。

Aの文章にも希少性はありますが、Bの文章では「1日1時間」と具体的な数字を示しているため、リアリティーがあり、読み手がすぐに行動を起こしたくなりやすいです。

希少性については「希少性の法則」という心理学法則もあります。
需用量に比べて供給量が少ないのは、それ相応の理由があると感じてしまい、消費行動を起こしやすくなる、というものです。
1975年に,Worchel et al.が行った以下の実験からもその効果が伺えます。

クッキーが入ったビンを2つ準備する。
片方にはクッキーが20個、もう片方には2個が入っている。
どちらのクッキーもすべて同じものであったが、2個しか入っていないビンを受け取った被験者グループが20個入っていたビンを受け取った被験者グループよりも「このクッキーはとてもおいしい」という評価を下した。

このように、希少性は人間の消費行動に大きな影響を与えます。

2.購入のリスクを限界まで減らす印象を与える

2つ目のポイントは*「消費者に購入に対するリスクをなるべく与えない」*ことです。

リスクを全くゼロにすることは難しいですが、限りなく少ない印象を与えることは可能です。
なぜこのポイントが重要か、というと、人間は得をすることより損することを避ける性質があるからです。

これは、1979年に心理学者であるAmos Tverskyと心理学者であり、行動経済学者であるDaniel Kahnemanが提唱した「プロスペクト理論」という心理行動を表した理論で解説されます。

2つの選択肢が提示されたとする。
Aは100万円が無条件で手に入る、Bはコインを投げて表なら200万円が手に入るが裏が出たらなにも手に入らない。
この選択肢を被験者に提示したところ、堅実性の高いAを選択する人が圧倒的に多かった。

現時点で200万円の損失があり、同じように2つの選択肢が提示されたとする。
Aは無条件で負債が100万円減額されて負債額は100万円になる、Bはコインを投げて表なら全額免除だが裏なら負債額は200万円のままである。
この選択肢を被験者に提示したところ、上の質問で堅実性の高いAを選択した被験者のほとんどが、この質問ではBを選択した。

この2つの実験からわかるように、人間は目の前に利益があると「利益が手に入らない」というリスクを回避しようとし、損失が目の前にあると損失そのものを回避しようとします。

記事内で「プロスペクト理論」を利用した文章を書くには「30日間の返金保障つき」や「購入者には無料でメルマガを配信します」などの、購入しても損をしないという印象を与えるキーワードが必要となります。

なお、このようなキーワードを記事内に記載するためには、販売側も自信を持って販売できる商品や商材を提供しなければなりません。
消費者が「買って損をした」と感じれば、リピーターになることはほとんど考えにくく、口コミなどでその評判はすぐに広まってしまうからです。
消費者の行動心理を把握して商品や商材を販売するということは、「損をした」と感じさせてはいけない、ということを理解しておきましょう。

3.Call to Action

3つ目のポイントは「Call to Action」、つまり行動喚起になります。
希少性をやリスク回避を示しても、記事が尻切れとんぼで終わってしまっていては購入には至りません。
購入の直前まで記事を読んだ消費者は、レベルの高い見込み顧客とも言えます。
ここで最後の決め手となる購入手段に煩雑な部分があったり、ステップがわかりにくい、特殊な操作が必要、などの難しい操作があれば、消費者はすぐに離脱してしまいます。
さらに、インターネットが普及して様々なネットショップがある現在、類似商品を探せばすぐに出てきてしまう場合もありますので、他の店舗へ売り上げを渡してしまうことにもなります。

どのような支払い方法があるのか、購入の手順はどうなのかなど、消費者に「迷わせる」ことをしないようにわかりやすく順を追って説明することが重要です。
また、アクションボタンを目立つように色や大きさを工夫し、どこから購入できるのかが一目でわかるようにしておく工夫も必要です。

4.断る理由を与えない

最後のポイントは、*「消費者に購入を断る理由を与えない」*ことです。
これは1つ目の「希少性」、2つ目の「リスク回避」のコンビネーションを高める、3つ目の「Call to Action」の3つのパーツを正しく構成する、ということです。
もちろん「こんな便利な商品を購入しない手はありません!」というような文章を入れておくことも重要ですが、あくまで記事である以上構成は重要なポイントとなってきます。

訴求したい商品や商材のよって適切な文章の構成は異なりますが、読んでいて不自然さを感じさせないように、3つのパーツを組み合わせるようにしましょう。